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文/印南敦史

『痛み かゆみ 便秘に悩んだら オシリを洗うのはやめなさい』(佐々木みのり 著、あさ出版)の著者は、1998年に皮膚科医から肛門科医に転身したという人物。

以来22年にわたり、約10万人のオシリを診てきたのだという(なお本文内の表記に従って、ここでも「オシリ」と記す)。

つまりはオシリの専門家といって差し支えないのだが、実績に基づくその主張はなかなか衝撃的だ。

なにしろ、「オシリを洗えば洗うほど、オシリは汚くなります」と、はっきり断言しているのである。そうした現実を受け入れ、早急に対応することが必要なのだと。

急速に温水洗浄便座が普及しだしたこの20年間、「洗いすぎによる肛門のトラブル」が増えています。肛門がムズムズする、かゆい、ブツブツが出てきた、ヒリヒリする、ベタベタするなど、症状はさまざまですが、ひどくなると刺激を受け続けたことによって肛門が狭くなり、便が出しにくくなるなど、排便に支障をきたします。(本書「はじめに」より引用)

それどころか、温水洗浄便座が原因と思われる性病の患者さんが増えてきているというのだから驚きだ。また最近では、新型コロナウイルスに感染した人の便に、感染力のあるウイルスが含まれていることが示されており、トイレでほかの人に感染する可能性も指摘されているのだとか。

にわかには信じがたいほどだが、恐ろしい話である。にもかかわらず、多くの人がこうした現実を知らないままに日常生活を送っているというのだ。

そこで著者は、「オシリに不調を感じるときは、まず2週間、洗うのをやめてみてください」と訴えている。場合によっては、それだけでオシリの不調がなくなるかもしれないというのだ。

温水洗浄便座での洗浄機能を使わず、お風呂でも肛門にシャワーを直接当てたり、石鹸やボディソープで肛門近くを直接洗ったり、ボディスポンジやボディブラシ、タオルなどでゴシゴシこすることもしてはいけません。
手のひらで石鹸やボディソープを泡立て、オシリにやさしくつけるだけ。肛門にはつけません。決してボディスポンジやボディブラシなどでこすったりせず、手でなでるくらいにしましょう。(146ページより)

シャワーは、お腹や胸、背中、肩などに当てるのみ。流すだけで十分きれいになるそうだ。

当然のことながら、はじめのうちは気持ち悪さや物足りなさを感じるかもしれない。だが、「洗わないこと」を習慣にすれば、やがて洗うことをストレスに感じるようになるという。

ところで排便後には、何回オシリを拭いているだろうか?

「つい神経質になって何度も力を入れて拭いてしまう」という方も多いのではないかと思うが、ここにも知られざるポイントがあるようだ。

22年間、10万人以上の患者さんのトイレ生活を調査してきて私がたどり着いた、これならオシリの薄い皮膚にも負担にならないという回数が、3回です。
回数だけでなく、拭き方も大事です。ゴシゴシこすらず、紙を丸めて優しくポンポンと押さえ拭きをしましょう。
拭いた紙は、必ずチェックしてください。3回拭いたあとの紙に便がついていたら、出残り弁がある可能性があります。拭いた紙は、排便のバロメーターになります。必ずチェックをしましょう。
便がついていたら、もう少し拭きましょう。
押さえ拭きでぽんぽんぽんと3回、忘れずに試してみてください。(本書148ページより引用)

とはいえ、何回拭いても紙に便がついてしまうとか、しっかり洗えないことが苦になるかもしれない。ニオイが気になる、下着が汚れる、不潔な感じがするなどと感じることもあるだろう。

そんな方のために著者は、皮膚にかかる負担が少ない「座浴」を勧めている。やり方は、次のようにいたって簡単だ。

1.大きなタライにぬるま湯を張る(浴槽にオシリが浸かるくらいぬるま湯を張るのもOK)
2.オシリをぬるま湯につけ、パチャパチャと汚れを洗い落とす
(本書150ページより引用)

この場合も、わざわざオシリの穴のまわりをこすったりしなくてもOK。汚れは自然に落ちてくれるからだ。タオルで拭くときも、こすらずにやさしく押さえ拭きをすれば大丈夫。

ついゴシゴシとやりたくなるところだが、実際にはその必要はないらしい。

* * *

他にも、トイレの正しい使い方、排便時の正しい姿勢、生活習慣や食事に関してなど、オシリにまつわる意外なトピックス満載。

オシリの話というと、気恥ずかしさも手伝って、つい「いまのままで大丈夫だろう」と思ってしまいがちだ。しかし本書は、我々が信じている“常識”がいかに間違っているかを実感させてくれる。

より快適な毎日を送るために、ぜひとも読んでおきたい一冊である。

『痛み かゆみ 便秘に悩んだら オシリを洗うのはやめなさい』

佐々木みのり 著
あさ出版

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文/印南敦史 作家、書評家、編集者。株式会社アンビエンス代表取締役。1962年東京生まれ。音楽雑誌の編集長を経て独立。複数のウェブ媒体で書評欄を担当。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)、『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)などがある。新刊は『書評の仕事』 (ワニブックスPLUS新書)。2020年6月、「日本一ネット」から「書評執筆数日本一」と認定される。

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