とにかくカッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落込む、急に顔が熱くなったり、汗が止まらない、どうしてこんなに頭が痛いの?など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調が現れるもの。
実は、その不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか?
私の不調にも漢方が効くのか知りたい!どうすれば根本解消できるの?
そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。
第26回のテーマは、「怒りっぽい」です。あんしん漢方の監修医である木村好珠先生に教えてもらいました。
1.イライラを抑えられない!怒りっぽい性格じゃなかったのに…
マイさん(仮名) 51歳女性の方からご質問を頂きました。
「最近、些細なことで怒りっぽくなったと感じています。昔はおおらかな性格だったはずなのに、40代を迎えたくらいから無性にイライラすることが多くなりました。
大したことじゃなくても、ちょっとしたことで夫や息子に当たってしまいます。つい声を荒げて、家族に『どうしたの?』といわれてしまうこともしばしば。しばらく時間が経ってみてから自分の行動を考えると『なぜあんなに怒っていたんだろう?』と疑問に思ってしまうことが多くて…。
将来のことを思うと過度に不安になってしまったり、感情的になって涙がこぼれてしまったりすることも。感情の起伏の激しさに自分でも驚いてしまうことがあります。これって更年期が関係しているのでしょうか?」
ご質問ありがとうございます。
些細なことでイライラしてしまい、周囲の人を巻き込んでしまい後悔…つらいですよね。家族との関係もギクシャクしてしまいますし、人間関係の悪化は人生そのものにも影響してしまいます。
更年期はからだと心が変化しやすい時期です。マイさんのイライラも、更年期が原因の可能性があります。
2.更年期のイライラの原因はホルモンバランスの乱れ
更年期を迎えると、性格とは関係なく、穏やかな人が怒りっぽくなってしまったり、不安や焦燥感に駆られたりすることがあります。
ホルモンバランスが大きく変化する更年期には、エストロゲンというホルモンが減少するといわれています。エストロゲンは、ストレスホルモンを制御する脳内の神経伝達物質のひとつであるセロトニンを生成するホルモンです。更年期には、ホルモンバランスが崩れ、ストレスを制御するセロトニンが減少することにより、感情をコントロールしにくくなってしまうのです。
また、内面の変化とともに人生の変化が起きるのも更年期の特徴。子どもが自立したり、夫が定年退職したり、介護が始まったりと、更年期は心労の要因が増える時期でもあります。そういった内外の変化がストレスとなり、よりイライラを悪化させてしまうのです。
3.怒りっぽさを抑えるセルフケア
更年期の不調の治療法のひとつに、ホルモン補充療法があります。これは、不足しているエストロゲンを薬で補い、ホルモンバランスの乱れを和らげていく方法です。 効果もありますが、同時に副作用などのリスクもありますので、通院して治療する必要があります。
ホルモン療法は怖いという方や、通院する時間がないという方には、漢方の考え方によるアプローチがおすすめです。
3-1.適度な運動をする
翌日に響かない程度の軽い運動は更年期のストレスを軽減してくれます。また、副交感神経の活動を活発化させることにより、血行の改善や筋肉の緊張を解消し、肉体的なストレスを和らげてくれます。
運動は気分転換や心のケアにもつながります。「運動する習慣がない」という人は、家の近所を軽くウォーキングすることから始めてみましょう。
3-2.睡眠をしっかりとる
睡眠と健康には密接な関係があります。睡眠の質を上げ良質な睡眠をとることは、更年期においても非常に重要です。冷え性の人は、手や足の先をしっかりと温めるだけでも睡眠の質が上がり寝つきやすくなります。
また、良い睡眠をとるためには、寝る直前にスマホやパソコンなどに触れるのはやめましょう。スマホやパソコンから発生するブルーライトと呼ばれる光は、睡眠ホルモンのメラトニンを減少させるといわれています。そのため、寝る直前にブルーライトの光を見すぎると、睡眠の質も低下してしまいます。
3-3.趣味の時間を作る
趣味を見つけ自分だけの時間を作ることは、心の安息をもたらします。趣味を持つことで視野が広がり、心の余裕も生まれます。また、日々のストレスから開放されて気分転換にもなるでしょう。
心の余裕を持つことは、更年期のイライラから開放されるひとつの手段。音楽や映画の鑑賞など、気軽にできることから始めてみるのもおすすめです。日常から少し離れることで、客観的に自分を見つめることができます。
3-4.怒りっぽさに悩む方におすすめの漢方薬
女性ホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経や身体症状には漢方薬がおすすめです。
神経がたかぶり、怒りやすい、イライラ、落込みなどの症状に効果が認められている漢方薬は何種類もあります。
漢方は、人間のからだの営みに即した自然の摂理を利用した治療法です。自然の恵みである動植物や鉱物の有効成分を見出して、それを人間の心身の症状の改善に役立てるために、長い歴史を経て、実際に効果のある様々な処方を確立してきました。そのため、一般的に、西洋薬よりも副作用は少ないといわれております。
そして漢方は、表面に出ている症状や苦痛を緩和する対症療法だけでなく、不調の原因となっている体質を改善することを目的に働きますので、根本的な解決につながります。ですので、同じ症状を繰り返したくないという思いにも応えてくれます。
バランスの良い食事や適度な運動を実践するのは難しい…という場合も、漢方薬なら、ご自身の症状や体質に合うものを毎日飲むだけですので、無理せず継続することが可能です。
以下に、怒りっぽいことに悩む女性におすすめの漢方薬をご紹介します。
<怒りっぽいことに悩む女性におすすめの漢方薬>
更年期の女性特有の症状によく用いられる漢方のひとつです。精神不安やいら立ちのある方に向いています。
・桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
血の巡りをよくしてイライラや不安を鎮めます。また、頭痛や肩こり、便秘のある方にも用いられます。
・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
体力中等度以上の方に用いられます。精神不安や動悸、不眠や神経症のある方に向いています。
・桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
精神疲労があり、神経が過敏になって寝つきが悪い方のイライラや不眠に向いています。
ただ、漢方薬はその人の体質に合っていてこそ効果が現れるものです。体質に合っていないと、効果が見込めないだけでなく、副作用がおきることもあります。自分に合う漢方薬を選ぶのはなかなか難しいものですが、最近ではA Iを利用した「オンラインA I漢方」などのサービスも充実してきましたので、こうした専門的なサービスを利用するのもいいでしょう。
4.イライラを解消して本来のあなたに
更年期の心とからだの変化は誰もが戸惑うものです。今回紹介した様々な対処法や漢方を使い、体調をコントロールしていくことで上手に更年期のイライラと付き合っていけるでしょう。自分の変化を受け入れ、悩みの原因をしっかりと知ることはとても大事なことです。本来の自分を取り戻し、前向きに明るく歩んでいきましょう!
<この記事を書いた人>
精神科医/漢方医 木村好珠
渋谷金王坂クリニック非常勤医、一般社団法人国際統合治療協会理事
医学部在学中より東洋医学を学び、精神科と東洋医学科が充実している慶応義塾大学病院での勤務を経て、西洋薬の即効性等と漢方薬の根本的な治療をバランスよく使い分ける事を信条とする。
渋谷の漢方内科で非常勤医として勤務する傍ら、テレビや雑誌、インターネットテレビ、Webメディアなどで、精神疾患、心理学、生活習慣病など様々なテーマを精神科医・漢方医の立場で解説も行う。
・木村好珠監修あんしん漢方: https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0026
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