・腰痛改善には体幹インナーマッスルのトレーニングが不可欠
・体幹インナーマッスルが強くなると飛距離が伸びる
7月から筆者の腰痛トレーニング研究所に通っているSさん(50代女性)は、わずか1か月ほどで腰痛が改善しただけではなく、ゴルフで大幅に飛距離アップすることができました。
それまではドライバーの飛距離が130~140ヤードだったところ、先日のラウンドでは150~180ヤードまで伸びました。
普段グリーンに3~4オンだったところ、飛距離が伸びたため2~3オンできるようになったので、スコアもかなり縮みました。
これは決して珍しいことではありません。
腰痛トレーニング研究所に腰痛治療のために訪れるゴルファーは、多かれ少なかれ飛距離が伸びる、球筋が安定する、スコアが良くなる、などの効果がみられます。
それはなぜか?
腰痛を改善するためには体幹インナーマッスルのトレーニングが不可欠ですが、それによって体幹が強くなると、ゴルフだけでなく、スポーツパフォーマンスが向上します。
多くのアスリートが体幹トレーニングに取り組んでいることからも、その重要性がわかると思います。
体幹インナーマッスルとその役割
体幹とは、人間の体の手足と首を除いた胴体の部分です。
体幹には多くの筋肉がありますが、腰のあたりを輪切りにしてみると、下図のように外側から内側に何層かに筋肉が重なっています。
この一番内側に位置する腹横筋や多裂筋などの筋肉が、体幹深層筋=インナーマッスルと呼ばれています。
体幹インナーマッスルには様々な役割がありますが、とくに大事なのが
1 腹圧をかけて腰(背骨や骨盤)を内側から支える
2 他の体幹筋とともに上半身と下半身をつなぎ、下半身のパワーを上半身に伝える
この2つの役割です。
1は腰痛を改善するのに大切な機能です。
2はスポーツなどで大きなパワーを発揮するために大切な機能です。
これが、腰痛を改善するための体幹インナーマッスルトレーニングをおこなうと飛距離が伸びる理由です。
逆にインナーマッスルが弱いとどうなるかを考えてみましょう。
1 腹圧が弱いため腰をしっかり支えられず腰痛になってしまう
2 下半身のパワーを上半身に伝えられないため、スポーツのパフォーマンスが落ちる
となってしまいます。
どうでしょう?体幹インナーマッスルの重要性がおわかりになるでしょうか?
やってはいけない体幹インナーマッスルトレーニング
体幹インナーマッスルのトレーニングと言うと、下図のようなものを思い浮かべる方も多いかもしれません。
アスリートがこのようなトレーニングをしているのを見たことがある方もいるでしょう。
しかし、腰痛がある方がこのようなトレーニングをおこなうと、かえって腰を痛めてしまうことがあります。
いきなりこのようなトレーニングをおこなうのはおすすめできません。
なぜなら、腰痛経験があると体幹をうまく使うことができないからです。
腰痛経験があると、体幹をうまく使うことができない
腰痛がある、または過去に腰痛を経験したことがあると、体幹の筋力が落ちるのは当然ですが、それだけでなく体幹の筋肉自体にうまく力が入らなくなってしまうことがあります。
とくに影響を受けやすいのが腹横筋や多裂筋などです。
強い痛みを受けたために、これらの筋肉にうまくスイッチが入らなくなってしまうのです。
そのために筋力が落ち、体幹をうまく使うこと=体幹の細やかなコントロールができなくなってしまいます。
そうするとまた腰痛を起こしやすくなり、それによってますます筋力が低下する……、という悪循環に陥り腰痛が慢性化してしまうのです。
しかし大丈夫!
まずはこれらの筋肉に力を入れる練習をすることで、筋力を回復し、腰痛を改善することができます。
ゴルファーの腰痛を改善する体幹インナーマッスルトレーニングの方法
筆者の腰痛トレーニング研究所では、まず腹式呼吸を使ったトレーニングからおこなうことをおすすめしています。
以下を参考におこなってみてください。
※画像では専用のポールに乗っておこなっていますが、床に寝たままおこなっても同じような効果があります。
床にあおむけになり両膝を立てた姿勢をとる。
1.腹式呼吸の要領で、鼻から息を吸ってお腹を膨らませ、口をすぼめて天井に息を吹きかけるようにしっかりと吐き切る。
2. 息を吐きながら下腹部と肛門(骨盤底筋)を締める
3.息を吐きながら下腹部と肛門(骨盤底筋)を締め、恥骨を引き上げて腰を丸め、床に押し付ける。
このトレーニングを1日30回を目標におこなってみましょう。
いっぺんに30回でも構いませんし、10回ずつ朝昼晩のように分けても構いません。
トータルで30回が目安です。
30回以上できるようなら、やればやるほど効果は出ます。
しかし、腰や背中、脚などに余計な力みがあると、かえって痛みを起こすことがありますので、その点はご注意ください。
また効果が出てくるまでには少し時間がかかります。2週間から1か月程度は根気よくトレーニングを続けてください。
このトレーニングをおこなうことで痛みが出たり、または痛みのためにこのトレーニング自体ができないようでしたらやめてください。
以下の記事でも腰痛改善トレーニングをご紹介しています。
腰痛・坐骨神経痛ゴルファーに一石二鳥!痛み克服&飛距離アップトレーニング【川口陽海の腰痛改善教室 第17回】
椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症 手術をしても治らなかったらやるべきこと【川口陽海の腰痛改善教室 第20回】
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1日10回で腰痛・坐骨神経痛を改善!|誰でもできる簡単ヒップリフトエクササイズ【川口陽海の腰痛改善教室 第10回】
拙著「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい」が、全国書店にて発売となっています。
お読みいただけると幸いです。
文・指導/川口陽海 厚生労働大臣認定鍼灸師。腰痛トレーニング研究所代表。治療家として20年以上活動、のべ1万人以上を治療。自身が椎間板へルニアと診断され18年以上腰痛坐骨神経痛に苦しんだが、様々な治療、トレーニング、心理療法などを研究し、独自の治療メソッドを確立し完治する。現在新宿区四谷にて腰痛・坐骨神経痛を専門に治療にあたっている。著書に「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい(発行:アスコム)」がある。
【腰痛トレーニング研究所/さくら治療院】
東京都新宿区四谷2-14-9森田屋ビル301
TEL:03-6457-8616 http://www.re-studio.jp/index.html