このところ愛好者が増加している「角打ち(かくうち)」をご存知だろうか? 酒屋の店内に設けられたカウンターで、買った酒を気軽に立ち飲みすること。アテも乾きものや缶詰が中心なのでリーズナブル。なにより、気負う必要がないのがうれしい。
そんな角打ちの魅力を凝縮した書物がある。“全国名物立ち飲み酒屋特選”と銘打たれた、『男の聖地 角打ちに憩う』(小学館)である。
酒好きにはたまらない数々の角打ちを紹介している同書をひもときつつ、「これぞ正統派!」というべき東京の名店4軒をご紹介しよう。
■1:三国屋酒店(東京・木場)
昭和42年創業の「三国屋酒店」の常連客には、木場、東陽町界隈のサラリーマンが多い。残業帰りに立ち寄る人が大半なので、ピークタイムは8時、閉店時刻も10時半と、一般的な角打ちよりも遅めになっている。
ソーセージ缶を火で炙って余計な脂分を落としてからしょうゆをたらすなど、ちょっとした手間をかけてくれるのもありがたい。
【三国屋酒店】
住所:東京都江東区東陽5-5-13
電話:03-3647-0012
営業時間:17時〜22時半
土・日・祝定休
■2:内田屋西山福之助商店(東京・芝)
明治時代からの酒店で、12年前に角打ち形式にしたという内田屋西山福之助商店。生粋の芝っ子である店主が、1人で店を切り盛りしている。
界隈のサラリーマンを中心とした常連客からは“角打ち王国”と呼ばれているそうだが、なるほど店内はいつも混雑。しかし、なぜか居心地は悪くない。厚揚げや鴨スモークなど、店主による肴も魅力だ。
【内田屋西山福之助商店】
住所:東京都港区芝4-7-1
電話:03-3451-0386
営業時間:17時〜20時頃
土・日・祝定休
■3:飯田屋酒店(東京・鮫洲)
創業は昭和8年。現店主は3代目だという飯田屋酒店。平日の客層は近隣にオフィスのあるサラリーマン、週末には地元のお客さんも訪れるという。
色とりどりの酒がガラス扉の向こうに美しく整然と並んでいることから、“大人の水族館”とも呼ばれているのだとか。
工夫好きのご主人によるつまみも絶品。昼にはランチも始めたという変わり種だ。
【飯田屋酒店】
住所:東京都品川区東大井1-2-7
電話:03-3474-7308
営業時間:16時半〜23時(土〜22時)
日・祝定休
■4:大林酒店(東京・池袋)
豊島区役所の新庁舎が入る49階建てタワービルのふもとで、数分歩けば雑司ヶ谷霊園。変貌する池袋と、昔ながらの雑司ヶ谷がないまぜになったエリアで、43年にわたって営業を続けてきたのが大林酒店だ。
つまみは乾きものや缶詰の他に、客自らレンジで解凍して食べる冷凍食品なども。気軽に楽しめる、まさに正統派の角うちだ。
【大林酒店】
住所:東京都豊島区南池袋2-43-14
電話:03-3971-0858
営業時間:16時〜21時
土・日・祝定休
以上、今回は書籍『男の聖地 角打ちに憩う』から、「これぞ正統派!」というべき東京の名店4軒をご紹介したが、いかがだろうか?
このように、角打ちといってもスタイルも雰囲気もさまざま。一軒ずつ回ってみて、自分好みの店を探してみるのもいいだろう。
文/印南敦史
【参考図書】
角打ちファン待望の必携書!
全国名物立ち飲み酒屋特選『男の聖地 角打ちに憩う』
(本体700円+税、小学館)
昨今、「立ち飲み」「大衆酒場」など、安く気軽にお酒が飲める店が人気ですが、日本では、古くから”酒屋で立ち飲み”する「角打ち」という文化があります。一見すると普通の酒屋のため、その奥の世界はあまり知られていませんが、酒好き達が隠れ家のように集まり、夜ごと好きな酒を飲んでいる、ちょっとディープなその光景を店の紹介とともに伝えます。
昔ながらの正統派からバル風の新スタイルまで、全国54店舗を紹介。読めば必ず、あなたも行ってみたくなる、今までどこにもなかった本格角打ちガイドブックです。