江戸の文化と手業が生きる街、日本橋。日本橋川北岸には家康の時代から300年以上にわたって魚河岸があり、その記憶が日本橋の老舗に残っています。
移転で注目を浴びる築地市場ですが、そもそも魚河岸は、大正12年(1923)の関東大震災を機に日本橋から築地へ移転したという経緯があります。
今回は『サライ』2016年7月号の東京特集から、日本橋で手に入れたい「老舗の旨いもん」を5つご紹介しましょう。
■1:『にんべん日本橋本店』のだし
元禄12年(1699)創業の鰹節専門店『にんべん』は魚河岸の記憶を語る代表格。手軽に出汁が引ける「薫る味だし」は、削りたての本枯(ほんがれ)鰹節を小袋に詰めた製品で、豊かな香りで最上級の品です。
本枯というのは、複数回、黴(かび)付けして熟成させる製造法で、『にんべん』では4回以上黴付けをしたものを本枯鰹節と呼んでいます。かつおとかつお昆布の2種類(8g×6袋・500円)。店内では「薫る味だし」の試飲もできます。
【にんべん日本橋店】
住所/東京都中央区日本橋室町2-2-1 コレド室町1
営業時間/10時~20時(だし場は19時まで)
休業日/不定
http://www.ninben.co.jp/honten/dashiba/
■2:『神茂』の半ぺん、蒲鉾
元禄元年(1688)創業の『神茂』(かんも)は、鮫のすり身に山芋などを混ぜ合わせ、手作業で型取った半ぺんが人気。『手取り半ぺん』は1個約110g・390円、蒲鉾「和燦」の紅、白は1本約280g・3300円。
生のグチとフエダイの身、天然調味料のみを使用しています。
【神茂】
住所/東京都中央区日本橋室町1-11-8
営業時間/10時~18時
休業日/日曜、祝日
https://www.hanpen.co.jp/
■3:『千疋屋総本店 日本橋本店』のフルーツ、ジャム
日本初の果物屋といわれる『千疋屋総本店』。創業は天保5年(1834)、果物と野菜を商う店として徳川家御用商人を務めてきました。幕末から果実の輸入も始まり、今でも多彩な果物が揃います。
本店限定で“日本橋美人シリーズ”といったジャムも販売。同シリーズのイチジクジャム(150g・1000円)は江戸期に伝わった蓬莱柿(ほうらいし)という無花果で作られたもの。
【千疋屋総本店 日本橋本店】
住所/東京都中央区日本橋室町2-1-2 日本橋三井タワー
営業時間/9時~19時
休業日/不定
http://www.sembikiya.co.jp/
■4:『山本海苔店』の海苔
嘉永2年(1849)創業の『山本海苔店』は江戸で“海苔は山本”といわれるほどの随一のお店。明治2年には醤油などで味付けした味附海苔をスタートしています。
海苔を具材で挟んだ「おつまみ海苔」や日本橋本店限定販売の「極吟味焼海苔」などさまざまな海苔製品が魅力。「おつまみ海苔」(20g・500円)はうめ味など6種類。最上級の海苔を厳選した「極吟味焼海苔」は48袋・1万円。
【山本海苔店 日本橋本店】
住所/中央区日本橋室町1-6-3
営業時間/9時30分~18時
休業日/無休
http://www.yamamoto-noriten.co.jp/saiji/honten/
■5:『榮太樓總本鋪』の大福
安政4年(1857)に店を構えた『榮太樓總本鋪』は魚河岸で働く人たちに評判だった和菓子店です。
創業当時からある「西河岸大福」はせっかちな江戸っ子のために、歯切れの良い餅を使っているそう。大ぶりで餡が多めの「西河岸大福」は紅、白、草の3色が揃い、1個230円。
【榮太樓總本鋪】
住所/東京都中央区日本橋1-2-5
営業時間/9時30分~18時
休業日/日曜、祝日
http://www.eitaro.com/
以上、日本橋で手に入れたい「老舗の旨いもん」を5つご紹介しました。
かつて魚河岸の記憶が残る日本橋。海の幸を最上に仕上げたものや魚河岸の人々の生活を感じられるものなど、日常使いも贈答用も揃うのも日本橋ならでは。日本橋で“江戸の味わい”に出会うのも楽しそうです。
※この記事は『サライ』2016年7月号掲載の東京特集の記事「温故知新の『日本橋』」(取材/諸井里見)記載の情報を元に、Web用に再構成したものです。(Web版構成/庄司真紀 )