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墨袋は破らずに丁寧に取り除き、
塩水に1時間しっかり漬け込む

古くは保存食として重宝された干物。奈良時代は各地で作られた干物が宮廷への献上品や租税として納められ、平安時代には干物を「からもの」と呼び酒宴に欠かせない肴であったという。

冷蔵冷凍技術が発達した現代では、干物は魚をさらに美味しくする加工のひとつとして知られる。魚は死後、時間が経つにつれ、筋肉中に蓄えられたATP(アデノシン三リン酸)という物質が旨み成分のひとつであるイノシン酸に変化する。また、乾燥させることで水分が抜け、旨みが凝縮される。このふたつの作用によって、干物は美味しさを増すのである。

そこで、塩漬けした素材を乾燥させるだけの簡単な塩干しの作り方を、東京・柳橋で居酒屋『玉椿』を営む山本功さん(52歳)に指南いただいた。

調理指導 山本 功さん(『玉椿』店主)

調理指導 山本 功さん(『玉椿』店主)

山本さんはいう。

「スルメイカの塩干しであれば、冷蔵庫で容易に作れます。イカを下処理し、塩水に漬ける時間を守れば難しいことはありません」

下処理する際、皮や軟骨を取り除く必要はないという。海水と同じ約3%の塩水に1時間漬けることで筋繊維の隙間が狭くなり、旨みを閉じ込め、弾力も増す。そして、ラップをせずに冷蔵庫で2日間乾燥させればできあがりだ。

【材料(2人分)】

手前は新鮮なスルメイカ2杯、奥は下処理したイカを漬ける塩水の塩30gと水1L。

手前は新鮮なスルメイカ2杯、奥は下処理したイカを漬ける塩水の塩30gと水1L。

 

【手順】

背面(表面の色が薄いほう)を上にして、内臓を傷つけないように胴部に庖丁を入れる。

背面(表面の色が薄いほう)を上にして、内臓を傷つけないように胴部に庖丁を入れる。

開いたら、わた(赤丸部分)を残し、内臓や墨袋(指でつまんでいる部分)、膜を取り除く。

開いたら、わた(赤丸部分)を残し、内臓や墨袋(指でつまんでいる部分)、膜を取り除く。

頭部に切り込みを入れ、カラストンビと呼ばれる口( 上顎と下顎)を取り除く。

頭部に切り込みを入れ、カラストンビと呼ばれる口( 上顎と下顎)を取り除く。

目玉は表面の膜を切り、外側から指で押し上げると簡単に取れる。潰れやすいので注意。

目玉は表面の膜を切り、外側から指で押し上げると簡単に取れる。潰れやすいので注意。

約3%の塩水に常温で1時間漬けたら取り出し、水気をしっかり拭き取る。

約3%の塩水に常温で1時間漬けたら取り出し、水気をしっかり拭き取る。

容器に網を置いてのせ、ラップをかけずに冷蔵庫で2日間置けば完成となる。

容器に網を置いてのせ、ラップをかけずに冷蔵庫で2日間置けば完成となる。

弱火で炙って味わう。イカは焼くと丸まってしまうので、上に網などをのせるといい。

弱火で炙って味わう。イカは焼くと丸まってしまうので、上に網などをのせるといい。

二夜干しにしたスルメイカを、わたも一緒に焼き上げると酒肴に最適な一品になる。噛むほどにイカの旨みが広がり盃が進む。

二夜干しにしたスルメイカを、わたも一緒に焼き上げると酒肴に最適な一品になる。噛むほどにイカの旨みが広がり盃が進む。

玉椿

●玉椿
東京都台東区柳橋1-6-1
電話 050・5869・3616
営業時間 17時~22時30分(最終注文21時)
日曜、祝休日 60席(カウンター9席)。要予約。

※この記事は『サライ』2018年12月号の「魚料理大全」特集より転載しました。本文中の年齢・肩書き等は掲載時のものです(取材・文/関屋淳子 撮影/宮地工)。

 

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