室町時代の豆腐田楽にルーツを持ち江戸時代にはファストフードとして庶民に親しまれてきた「おでん」。今も昔も暖簾をくぐると“だし”の香がふわり漂う──そんな酒場で気取らぬ一杯を。

ふくよかな旨みの“だし”にピリッときかせた生姜醬油

姫路では昭和初期から生姜醤油でおでんを食べていたという。だし自慢の『能古』は生姜醤油をおでんだしで割り提供。

姫路は生姜の産地で、隣のたつの市の名産は醬油。ゆえに姫路のおでんに生姜醬油がつきものになったとか。市内で姫路おでんを出す店は100軒ほどもある。

2005年にオープンした『おでん処能古(のこ)』はその代表格だ。一番のウリは“だし”。義母と店を切り盛りし、開店当初からだしとおでん種の仕込みを担当してきた女将の大橋ひとみさんが言う。

「利尻昆布を1時間ほど煮出して鰹節を1分ほどさっとくぐらすと最高の香りに。いまや昆布が貴重品になってきたので等級を調整しながらブレンドで工夫しています」

おでん鍋には大根と厚揚げ、餅巾着、椎茸のほか、滋賀の名物「赤こんにゃく」も定番に入る。ごぼう天、ワカメ、湯葉などは注文を受けてから鍋に入れる。おでんは各220円〜(変更の予定あり)。

鍋には姫路名物がずらり

厚揚げと焼き豆腐は『西本豆腐店』、焼売(シューマイ)は『東來春(トンライシュン)』、練り物は『ハトヤ』、巾着の餅は『杵屋』と、おでん種は地元の老舗の一級品を揃える。

播磨灘で揚がるタコも定番おでん。一品料理としては穴子も。いずれも時価。

「亡くなった義母が試行錯誤しながら選りすぐったものばかり。仕入れ先はいっさい変えていません」

しっとりとだしの染み込んだ弾力ある厚揚げは、生姜醬油をつけるとピリッと締まってまた旨い。

ゆっくり飲み食いしてほしいという思いで、女将が選んだ日本酒の豊富な品揃えがなんとも嬉しい。

義母が考案したオリジナルおでんはベーコンを白菜で巻いた「白菜巻」。冬場には欠かせぬ変わり種。合わせる日本酒は高知の「桂月 吟之夢」。ほかに「龍力(たつりき)」と「雪彦山(せっぴこさん)」など兵庫の日本酒を軸に「至(いたる)」「黒龍(こくりゅう)」といった女将好みの酒がそのつど10数種類揃う。グラス(小)650円〜
ひとりで切り盛りする大橋さん。仕込みが終わり営業がスタートすれば、女将もカウンター内で盃を重ねていく。

おでん処能古

兵庫県姫路市白銀町107白銀ビル1階
電話:079・284・7345
営業時間:17時〜22時(最終注文21時30分)
定休日:日曜、祝日
交通:JR姫路駅より徒歩約5分

取材・文/一志治夫 撮影/小林禎弘

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