
横浜中華街の東門にあたる朝陽門に隣接する『北京飯店』は、北京ダックやフカヒレ、燕の巣など伝統的な北京料理の老舗として知られる。そして昭和30年の創業時から店の一角で供しているのが「五目にくまん」である。当時、食べ歩きや持ち帰り用に売る肉まんは非常に珍しかったという。
「北京は米が穫れず、小麦を使った料理が発達しました。蒸しパンの饅頭が主食であることから、一品料理として通用する、食べ応えがあり具沢山の肉まんを考案しました」と説明するのは3代目を継ぐ王子惠真(おうじえま)さん。その五目にくまんは、5~6時間煮込んだ豚の角煮と小松菜、筍、椎茸があふれんばかりに皮の中に閉じ込められている。餡を受け止める皮は、小麦の香りとしっかりした弾力がある。現代人の味覚に合い、小腹を満たすための間食というよりも、食事というべき満足感が得られる。
食べ歩きの楽しみが定着し新店が林立する中華街で、長く愛される名店の味である。


北京飯店
住所:神奈川県横浜市中区山下町79-5
電話:045・681・3535
営業時間:11時30分~21時
定休日:無休
交通アクセス:横浜高速鉄道みなとみらい線元町・中華街駅より徒歩約1分
取り寄せはホームページhttps://pekinghanten.com/の注文用紙を使いFAXで注文。
取材・文/関屋淳子 撮影/宮地 工
