むっちりとした皮の中に、豚肉の旨みが凝縮。あっさりとした薄味でしつこくない。冷蔵の保存は4~5日、冷凍での保存は約1か月。

鹿港(ルーガン)とは、台湾中部の都市・台中の西に位置する古都の名である。店主の小林貞郎さんは日本語教師として台湾に赴任していた時に、鹿港にある老舗の肉包(ローパオ)店の肉まんの美味しさに衝撃を受けた。その味が忘れられず、その店で2年間の修業を経たのち東京・世田谷に『鹿港』を開業。今でこそ肉まん専門店は珍しくないが、開店時の22年前は、夏に肉まんを食べる客がいるのかと言われ、出店の物件を探すのもひと苦労だったという。

シンプルでやさしい味

門外不出の本場の味を忠実に再現した肉まん。その皮は国産と外国産の小麦粉を配合し、練った生地をうどん用製麺機で延ばす。これが独自の製法で、きめ細かくコシのある生地に仕上がる。餡は国産豚肉のみで、バラ肉ともも肉を合わせ、エシャロットを用いた台湾油葱で風味を付ける。生地で餡を包み2時間ほど寝かせて一次発酵、さらにホイロ(発酵庫)で30分ほど二次発酵させる。発酵時間は、その日の温度と湿度、生地の膨らみ具合を見ながら微調整する。

次々と手早く肉まんが手包みされていく。包み方に決まりはなく、回して捻りながら上部が開かないようにしっかり閉じる。

蒸し上がった肉まんは、弾力があり、ほんのり甘い皮と豚肉の旨みが口内でほどよく調和し、食べ飽きない。滋味にあふれるシンプルでやさしい味わいだ。

15~20分ほど蒸籠で蒸して完成。肉まん1個250円。持ち帰り用の冷ました肉まんもあり、箱入りは5個で1250円。

「熱々の蒸し上がりをかぶり付いていただくのもいいですが、翌日に温め直して、手でちぎりながら食べるのもおすすめです。皮と餡がしっとり馴染む、その違いを感じてほしいですね」と話すのは店長の辻隼利さん。肉まんのほかにあんまんや辛口肉まんなどを、辻さんはじめ熟練のスタッフが朝から1500個ほど手作りする。蒸籠から上がる蒸気が覆う店内で、生地作りや手包みを手際よく、連携しながら行なう様に圧倒される。肉まん専門店の先駆けとして、本場の味を伝える店として、歴史を刻んでいる。

鹿港

住所:東京都世田谷区世田谷3-1-12
電話:03・5799・3031
営業時間:9時~18時30分(売り切れ次第終了)
定休日:木曜、第2・第4水曜(7月、8月は毎週水曜・木曜)
交通アクセス:東急世田谷線上町駅から徒歩約2分

取り寄せはオンラインショップhttps://www.lu-gang.net/などで。

取材・文/関屋淳子 撮影/高橋昌嗣

 

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