写真・文/矢崎海里
9月1日は「防災の日」です。
2024年は元日から災害に見舞われ、最近では南海トラフ地震臨時情報も発表されたこともあり、防災について考える機会は多かったのではないでしょうか。
缶詰やレトルトパウチなどの日持ちする食品を備蓄することも大切ですが、少ない水の量・ガスで作るポリ袋調理もおすすめです。
防災グッズの点検とともに、ポリ袋調理も覚えて、いざというときに備えましょう。
ポリ袋調理とは
ポリ袋調理とは、材料と調味料をポリ袋に入れ、湯煎で調理する方法です。水やガスを節約しながら、同時に複数品の調理ができるので、災害時にも活用できる調理法です。
湯煎した水はそのまま再加熱して次の湯煎調理に再利用できます。ポリ袋は厚さ0.01mm以上、食品用の高密度ポリエチレンのものを使用し、カセットコンロやカセットボンベも用意しておきましょう。
ひとつのポリ袋で調理できる量は、2人分までです。いざという時に備えて、ポリ袋調理を覚えておくといいでしょう。今回は基本のごはんの炊飯方法と、パスタ、豚すき煮のレシピをご紹介します。
ポリ袋調理の準備
ごはん
【材料】(1人分)
白米 1/2合
水 120ml
【作り方】
1.ポリ袋に分量の米と水を入れ、空気を抜き、袋の上部でしっかり口をしばる。30分以上浸水させる。
豚すき煮
【材料】(1人分)
豚肉(バラ、こまなど) 100g
玉ねぎ 1/4個
醤油 小さじ2
みりん 小さじ2
酒 小さじ2
砂糖 小さじ1
おろし生姜 少々
【作り方】
1.玉ねぎは薄切りにする。
2.すべての材料をポリ袋に入れ、空気を抜き、袋の上部でしっかり口をしばる。
ツナと塩昆布の和風パスタ
【材料】(1人分)
スパゲティ 50g
ツナ油漬け缶 1/2缶
塩昆布 適量
水 100ml
めんつゆ(3倍濃縮) 小さじ2
【作り方】
1.破れないよう、ポリ袋を二重にし、すべての材料を入れる。ツナ缶は油ごと使用する。空気を抜き、袋の上部でしっかり口をしばる。
ポリ袋調理
1.鍋に6分目くらいお湯を沸かし、耐熱皿を底に敷く。
2.ポリ袋を入れ、ふつふつと沸く程度の弱中火で加熱する。(袋が鍋肌につかないよう注意)
【加熱目安】
ごはん:20分加熱、火を止め10分蒸らす。
豚すき煮:20分加熱
パスタ:表記のゆで時間の2.5倍程度(5分茹でなら12分半)
ごはんは蒸らし後、やけどに気をつけながら空気を含ませてほぐすことで、ふわっとした仕上がりになります。
写真のようにポリ袋の口を切って広げ、お皿にかぶせて食べると、お皿を汚さず食べることができ、節水にもなります。
パスタは早ゆでタイプのものを使うと、短い時間で調理できます。
温かく、汁気もあるので一緒に水分も摂れておすすめです。
乾麺は日持ちするので、災害用だけではなく、日常的に活用できるローリングストックの食材として常備しておきましょう。
今回ご紹介した以外にも、野菜を食べやすい大きさに切ってポリ袋調理をすれば蒸し野菜に、卵と牛乳と砂糖を入れてポリ袋調理をすれば災害時にホッと一息つけるプリンに、などポリ袋調理のアイディアは無限大。
災害時には停電なども想定されるので、調理方法を検索できないことも多いため、いくつかレパートリーを持っておいたり、レシピをメモしておくとよいでしょう。
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災害に備えて食材を備蓄していても、乾パンなどはいざという時には食べにくく感じるかもしれません。
ポリ袋調理と合わせて、レトルト食品などは日ごろから食べなれたものを備蓄しておくこともおすすめです。
文/矢崎海里(やざき・かいり)
管理栄養士やフードスペシャリストなどの資格を生かし、企業で働く傍ら、Webメディアでも活動。おいしく食べて健康になれるごはんを研究中。