写真・文/矢崎海里
6月4日~10日は「歯と口の健康週間」です。
歯と口の健康について理解を深め、歯科疾患の予防、早期発見・治療などが目的として挙げられています。
むし歯や歯周病の予防や早期治療はもちろん、80歳に20本以上の歯を残す「8020運動」も知られています。
いつまでも自分の歯でおいしいものを楽しみたいですよね。
今回は歯と口の健康を保つためのポイントと、おすすめレシピをご紹介します。
噛む回数を増やして歯と口の健康を保つ
よく噛んで食べることは、食べ物を小さくして飲み込みやすくしているだけでなく、唾液分泌や消化・吸収などさまざまなはたらきと深く関係しています。
よく噛むことの8つの効果
よく噛んで食べることで、さまざまな健康効果があります。噛むことの大切さを知ってもらうため、「卑弥呼の歯がいーぜ!(ヒミコノハガイーゼ)」という標語があり、それぞれの文字を取って8つの効果を表しています。
・ひ:肥満の防止
よく噛むことで早食いを防止して、満腹中枢を刺激します。
・み:味覚の発達
食べ物の形やかたさを感じ、味覚情報の伝達を助けます。
・こ:言葉の発達
口の周りの筋肉を動かして、表情を豊かにし、顎の発達により歯並びや発音がきれいになります。
・の:脳の発達
噛むことで脳を刺激して、活性化します。
・は:歯の発達
唾液分泌を促し、食べかすや細菌を洗い流して口腔内を清潔に保ちます。
・が:がんの予防
唾液に含まれる酵素が食品中の発がん性物質を抑制するはたらきがあります。
・い:胃腸快調
唾液の分泌を促し、消化を助けます。
・ぜ:全力投球
健康的に過ごすことで、何事にも全力で取り組むことができます。
よく噛むためのポイント
よく噛むことで歯並びがきれいになり、かみ合わせもよくなります。また唾液の分泌が増えることで口腔内を清潔に保ち、むし歯や歯周病予防にも効果的です。
よく噛んで食べようと思っても、毎食意識してゆっくり食べるのは難しいですよね。具体的によく噛んで食事をするためのポイントをご紹介します。
・噛みごたえのある食品を取り入れる
れんこんなどの根菜類やたけのこ、切り干し大根、きゅうり、いかなど、噛む回数が自然と増える食品を多く取り入れましょう。調理時にも火を通しすぎずに食感を残す、大きめに切る、繊維を断ち切らずにカットするなどの工夫をしてみてください。白米に雑穀米などを混ぜるのもおすすめです。
・水分で流し込まない
食べ物が口に入っているときに飲み物で流し込まずにしっかり噛むことがポイントです。しっかり噛むことで唾液も出て、食べ物も細かくなるので水分を摂らなくても自然と飲み込めるようになります。
・家族や友人と食卓を囲む
会話を楽しみながら食事をすることで、自然と早食いを防ぎ、時間をかけて食事をすることができます。
ここからは、噛む回数アップにおすすめのレシピをご紹介します。
イカとごろごろ野菜の黒酢炒め
【材料】(2人分)
イカ 1杯分
れんこん 150g
人参 1/2本
長芋 100g
★黒酢 大さじ2
★醤油 大さじ1
★酒 大さじ1/2
★みりん 大さじ1/2
★片栗粉 小さじ1
サラダ油 大さじ1/2
青ねぎ(小口切り) 適量
【作り方】
1.イカは胴と足を離し、わたを取り出しておく。内蔵や汚れを取り除き、胴は輪切りに、足は食べやすい大きさに切る。
2.れんこん、人参は大きめの乱切りにする。長芋は7mm程度の半月切りにする。
3.人参は耐熱容器に入れ、水大さじ1(分量外)をかけてふんわりラップをする。600Wの電子レンジで3分加熱する。
4.★の調味料を合わせる。
5.フライパンにサラダ油を熱し、2、3を中火で炒める。
6.野菜に火が通ったら1を入れてさらに中火で炒める。
7.イカに火が通ったら弱火にして4を加えて炒め合わせ、火を止める。青ねぎを散らして完成。
咀嚼回数が多いイカ、れんこん、人参、長芋を使った炒め物です。
人参はあらかじめ電子レンジで加熱してから炒め合わせます。
具材を大きめに切ることで、さらに自然と噛む回数を増やして、唾液分泌を促し満腹中枢を刺激。
時間をかけてしっかり噛んで食事することができますよ。
エネルギー:206kcal
食塩相当量:1.8g
* * *
歯の健康はカルシウムやたんぱく質などの栄養素だけでなく、「よく噛む」という日々できる簡単なことでも保つことができます。
よく噛むことで得られる効果はほかにもたくさんあります。
ぜひ毎日食事で噛むことを意識してみてください。
文/矢崎海里(やざき・かいり)
管理栄養士やフードスペシャリストなどの資格を生かし、企業で働く傍ら、Webメディアでも活動。おいしく食べて健康になれるごはんを研究中。