製氷店やスーパー、コンビニなどで購入できる氷は4種類。果たして形状によって飲み物の味は変わるのだろうか。プロに検証してもらった。
氷の総合ショップ『やまね』の山根雅洋さんによると、現在流通している氷の形状は4種類あるという。即ち、丸いアイスボール、大きな氷を不定形に割った搗ち割り氷、四角いキューブアイス、細かく砕いたクラッシュアイスである。山根さんはこう話す。
「氷屋は48時間かけてゆっくり水を凍らせるのです。そうすると透明な氷になります。それを様々な形にするのが私たちの仕事。氷屋の世界は鋸の世界なのです」
そのプロの作った氷で飲み物を作ると、形状によって味が変わるのだろうか。検証するのは、銀座『ロックフィッシュ』のバーテンダー・間口一就さんと、サントリー酒類ウイスキー部の菊池友里さん。試したのはサントリー角瓶のハイボール。オン・ザ・ロックよりハイボールの方が氷の違いが顕著に出ると考えたからだ。
「ハイボールは炭酸の爽快感とウイスキーの冷え冷え感が命なので、氷の影響は大きい」と菊池さんがいえば、間口さんも「ウイスキーはハードなお酒ですから、氷を使うことでカジュアルな飲み物になる」と応酬。
間口さんによると、従来、氷の表面積と溶ける時間の関係しか語られてこなかったが、グラスを口に当てたとき、唇から口中へ伝う酒と炭酸と氷の感覚が味に影響するはずだという。菊池さんは、グラスに当たる氷の音の違いでも味は違ってくるという。さすがにハイボールに対する造詣が深い。
まずはアイスボールを一口。
間口「香りを楽しむならこれ。ウイスキーの深みが出ますね」
続いて搗ち割り氷でぐびり。
菊池「氷がグラスに当たる音がいいですね。耳で楽しむ飲み方です」
それではキューブアイスは。
間口「あまり揺らさないで飲むと優しいハイボールになります」
最後にクラッシュアイスで。
菊池「元気な味。ピチピチです」
想像していた以上に氷の形状が味を左右した。間口さんはキューブアイスの優しい味が、菊池さんはクラッシュアイスの元気な味がお気に召した様子。この夏、氷の形状の違いを味わいながら、暑さをしのいでみては。
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