新米の季節がやってきた。長年、「コシヒカリ」を愛食してきた筆者だが、近年は故郷・山形が開発した新品種「つや姫」を愛食している。デビューから7年目を迎え、認知度が高まってきているブランド米だ。
新品種の開発には時間がかかる。つや姫の育成が開始されたのは、平成10年。開発といっても、畑を観察し続け、毎年優れた苗だけを選抜していくという地道な作業だ。こうして、10万分の1の確率で生き残ったエリートが、新品種となったのである。
その特徴は、コシヒカリとの比較がわかりやすい。
親にはコシヒカリと、コシヒカリと同じ系譜の「亀の尾」が交配されているため、味の傾向は非常にコシヒカリに近い。しかし、コシヒカリよりも粒が大きい。そして、その大きさのばらつきが少なく、栽培しやすさや収穫量においても優位性があるという。食味の評価については好みとなるが、コシヒカリを上回る結果も出ている。
さて、そのように筆者が贔屓(ひいき)にするつや姫だが、今年も新米が届いた。そこで早速、茸(きのこ)の炊き込みご飯を炊いた。
じつは、『サライ』2008年3月号の「続・男の料理 基本のき」企画で紹介した、銀座の日本料理店『大野』の作り方が、筆者の定番。研いだ米2合に、水360ml、醤油大匙2、茸類(舞茸とシメジ各20g、椎茸4個)を適当にちぎって加えて炊飯するだけという、実に簡単な方法だ。
茸の旨みが出汁となる、非常に手軽で優れたレシピである。是非、お試しいただきたい。
写真・文/大沼聡子
※本記事は「まいにちサライ『食いしん坊の味手帖』」2013年11月11日掲載分を転載したものです。