17世紀はじめ、豊臣秀吉の朝鮮出兵に出陣した佐賀藩祖・鍋島直茂が日本に伴った朝鮮の陶工たちのなかの李三平らが有田の泉山に白い磁器の原料となる石を発見。1637年に窯場の整理統合が行われたこととあいまって、有田は一大窯業地として歩み出しました。
やがて17世紀中期になると、カラフルな上絵具による「色絵」、繊細な線描と濃密な塗り埋めの「染付」、精緻な型を駆使した「成形」など様々な技を駆使した格調高い磁器が生み出されました。


戸栗美術館で開催の「伊万里・鍋島に映った四季-和の意匠-展」は、日本の四季や自然を映した作品を一堂に会します。(4月3日~6月21日)
本展の見どころを、戸栗美術館の学芸員、黒沢愛さんにうかがいました。
「江戸時代に誕生した伊万里焼は、意匠面で中国から大きな影響を受けていました。しかし、中国の王朝交代の影響により貿易が停滞した17世紀半ば頃から、日本に根付いていた意匠をより積極的に取り入れていきます。
「薄瑠璃釉染付 桜文 折紙形皿」は初出展の作品。桜は言わずと知れた日本の代表的な花で、中国磁器にはあまり描かれません。和紙で花を包む意匠は、きものや小袖雛形本などにも確認できます。

日本の名峰である富士山も、17世紀半ばから伊万里焼の意匠としてあらわされるようになりました。絵画の流れを汲んで、「三峰形」と呼ばれる頂上が3つに分かれる姿が基本です。濃い青色を背景に富士を明快な構図で描いた「染付 富士文 皿」のほか、富士山をかたどった変形小皿も展示します。

伊万里焼の技術を基に、佐賀鍋島藩が献上や贈答用として製作させたのが鍋島焼です。17世紀後半に本格的に焼造がはじまる鍋島焼にも、和様の意匠が採り入れられました。
鍋島焼の植物文様の描き方は同時代に刊行された和刻の絵手本類と類似することが指摘されています。背景の青海波文が爽やかな「色絵 水葵文 皿」も、その一例と言えます。

ほかにも様々なモチーフを取り上げますので、日本の四季や自然が美しく映し出された約80点をぜひご覧ください」

器や皿の小さな空間に広がる大きな世界!! 会場で極上の景色をお楽しみください。
【開催要項】
伊万里・鍋島に映った四季-和の意匠-展
会期:2026年4月3日(金)~6月21日(日)
会場:戸栗美術館
住所:東京都渋谷区松濤1-11-3
電話:03・3465・0070
公式サイト:https://www.toguri-museum.or.jp/
開館時間:10時~17時、金・土曜日は~20時(入館はいずれも閉館30分前まで)
休館日:月・火曜日、5月7日(木)※5月4~6日は開館
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照
取材・文/池田充枝











