1945年の日本の敗戦により、朝鮮半島は日本の植民地支配から解放されます。しかし、それとほぼ同時に北側をソ連軍、南側を米軍が統治することとなり、1950年に起きた朝鮮戦争を経て、半島は朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国に分断されました。
1965年、日本と大韓民国は国交を正式に樹立。これにより、一気に両国間の交通が開けました。
戦後80年、隣同士の日本と韓国を、アートの交流という観点からとらえた「横浜美術館リニューアルオープン記念展 いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年」が開催されています。(12月6日~2026年3月22日)

ビデオ・インスタレーション サイズ可変 個人蔵
本展の見どころを、広報担当者にうかがいました。
「本展は、以下の5章で構成されています。
1章 はざまに―在日コリアンの視点
この章では、日本と朝鮮半島の「はざま」にいた在日コリアンを軸に、1945年の終戦から日本と大韓民国の国交が正常化する1965年の約20年間をたどります。また、この時代をテーマとした2010年以降の日韓両国の作品も展示することで、現在の視点から、国交の「空白期」をふりかえります。

2章 ナムジュン・パイクと日本のアーティスト
現在、世界的なビデオ・アーティストとして知られるナムジュン・パイク(白南準)は、日本の植民地時代の朝鮮半島に生まれ、1950年に来日して東京大学に学び、その後ドイツ、アメリカで活躍しますが、パイクは生涯にわたって日本のアーティストやクリエイターたちと親交を結びました。ここでは、パイクを中心に同時代の日韓のアーティストたちとのつながりを紹介します。

1978年 写真 27.9×35.6cm
東京都現代美術館蔵 (C)Estate of Shigeo Anzaï, Courtesy of Zeit-Foto
(Anzaïの「ï」はiの上の点が2つ)
3章 ひろがった道 日韓国交正常化以後
この章では、1960年代後半から80年代を中心に、両国の同時代美術がどのように相手の国に紹介されたかをみます。またこれによって、日韓のアート界がいかに刺激を与えあっていたかを探ります。

4章 あたらしい世代、あたらしい関係
この章では、1992年にソウルで開催された中村政人と村上隆による伝説的な2人展「中村と村上展」を起点に、同時代のソウルで活躍をはじめていたイ・ブルの作品を紹介します。

5章 ともに生きる
1987年に韓国では民衆の力により軍事独裁政権が終わりを迎えました。民主化に連帯する動きは韓国外のアーティストにも広がり、アートが社会問題と結びつく作品が生まれます。最後は、現在、そして未来を「ともに生きる」ための気づきを作品から見つけてほしい、との願いを込めた章です。

日韓の国公立美術館の共同企画で、50組以上の作家による約160点の作品が集う国際的にも初の大規模展示です。ご来場をお待ちしています」
日本初公開の作品、本展のための新作も出品されます。どうぞお楽しみに。
【開催要項】
横浜美術館リニューアルオープン記念展 いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年
会期:2025年12月6日(土)~2026年3月22日(日)
会場:横浜美術館
住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
電話:045・221・0300
公式サイト:https://yokohama.art.museum/
開館時間:10時~18時(入館は17時30分まで)
休館日:木曜日、年末年始(12月29日~1月3日)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照
取材・文/池田充枝











