1986年に開館したオルセー美術館は、1848年から1914年までの西洋美術の全容を紹介し、この時代の豊かで輝かしい芸術生活を特徴づけたすべての形態、すべての様式を網羅しています。特に印象派の作品については世界最大のコレクションと、最も貴重な装飾芸術の傑作が収蔵されています。

印象派といえば、光あふれる戸外の風景がまず浮かぶのではないでしょうか。とはいえ、彼らの最初のグループ展が開かれたのは、近代化が急速に進む1870年代のパリ。現代生活の情景を好んで画題とした印象派の画家たちは、室内を舞台とする作品も手がけました。

フレデリック・バジール《バジールのアトリエ、ラ・コンダミンヌ通り》 1870年 油彩/カンヴァス
オルセー美術館、パリ
(C)GrandPalaisRmn(musée d’Orsay)/Gabriel de Carvalho/distributed by AMF

バージルのアトリエは芸術家の交友の場となっていて、画中の人物はルノワールやモネ、小説家のゾラたちであるといわれます。

国立西洋美術館で開催の「オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語」は、「室内」をテーマに印象派の魅力を紹介します。(10月25日~2026年2月15日)

本展の見どころを、広報事務局にうかがいました。

「本展では、印象派の殿堂ともいわれるオルセー美術館所蔵の傑作約70点を中心に、国内外の重要作品も加えたおよそ100点により、室内をめぐる印象派の画家たちの関心の在り方や表現上の挑戦をたどります。

ことに今回、若きドガの才気みなぎる代表作《家族の肖像(べレッリ家)》が日本で初めて展示されることが注目されます。肖像画の名手、ドガの鋭くも抑制のきいたトーンで語られる家族の情景。ドガ渾身の傑作です。

エドガー・ドガ《家族の肖像(べレッリ家)》1858-1869年 油彩/カンヴァス
オルセー美術館、パリ
(C)photo:C2RMF/Thomas Clot

印象派の代表格、ルノワールは穏やかな光と親密な雰囲気をたたえた室内風景を多数描きました。微笑みながらピアノに向かって身を寄せ合う少女たち。暖色を基調としたまばゆい色彩の協演は、室内に満ちる音楽をも視覚化するかのようです。

ピエール=オーギュスト・ルノワール《ピアノを弾く少女たち》 1892年
油彩/カンヴァス オルセー美術館、パリ
(C)GrandPalaisRmn(musée d’Orsay)/Hervé Lewandowski/distributed by AMF

「印象派」という名の生みの親、モネは家族とともにセーヌ河畔のアルジャントゥイユで1870年代をすごしました。この住まいでのひと時を描いた《アパルトマンの一隅》の、光と影、暖色と寒色のドラマチックな対比。この作品には、モネの光の効果に対する鋭敏な感覚があますところなく発揮されています。

クロード・モネ《アパルトマンの一隅》 1875年 油彩/カンヴァス
オルセー美術館、パリ
(C)GrandPalaisRmn(musée d’Orsay)/
Martine Beck-Coppola/distributed by AMF

印象派の画家たちが浮世絵など日本美術に強い関心を抱いていたことはよく知られていますが、マネの《エミール・ゾラ》にもそれがかい間見られます。小説家ゾラは美術評論家としても知られ、マネの作品の擁護者でした。この作品は、芸術家たちの友情と共闘を物語るマネが手がけた肖像画の代表作です」

エドゥアール・マネ《エミール・ゾラ》 1868年 油彩/カンヴァス
オルセー美術館、パリ
(C)GrandPalaisRmn(musée d’Orsay)/Adrien Didierjean/distributed by AMF

印象派の大作が一堂に会す展覧会です。ぜひ会場に足をお運びください」

【開催要項】
オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語
会期:2025年10月25日(土)~2026年2月15日(日)
会場:国立西洋美術館 
住所:東京都台東区上野公園7-7
電話:050・5541・8600(ハローダイヤル)
展覧会公式サイト:https://www.orsay2025.jp
開館時間:9時30分~17時30分、金・土曜日は20時まで(入館は各閉館30分前まで)
休館日:月曜日(ただし11月3日、11月24日、1月12日、2月9日は開館)、11月4日(火)、11月25日(火)、12月28日(日)~1月1日(木・祝)、1月13日(火)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 

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