美しい日本庭園で知られる足立美術館は2020年11月3日に開館20周年を迎えます。これを記念して、同館が所蔵する北大路魯山人(1883-1959)の作品を展示する専用の施設「魯山人館」を4月1日に開館しました。

魯山人館の開館に合わせて開館記念展が開かれています。(9月30日まで)


魯山人館外観

本展の見どころを、足立美術館主任学芸員の織奥かおりさんにうかがいました。

「魯山人館は、魯山人作品を鑑賞するために設計された展示施設です。展示室内は、やわらかな光が空間を包み込み、落ち着いた雰囲気の中で作品をご覧いただけます。

魯山人館展示室内

魯山人は、自作の料理を盛るための器づくりから作陶を始め、そこから食事をする空間を彩るための花器や絵画などの制作へと広がりました。膨大な数の作品を生み出しており、いずれも大胆で独自の美的感覚にあふれています。

北大路魯山人「椿鉢」昭和15年(1940)頃 足立美術館蔵

紅白の椿が描かれた『椿鉢』は、直径40㎝を超える大鉢です。やや楕円形のため、様々な角度から眺めると、器の内外を彩る椿の変化を楽しむことができます。

北大路魯山人「金らむ手津本」昭和15年(1940)頃 足立美術館蔵

『金らむ手津本』は、赤い器体に金で葡萄の葉や実が描かれ、雅な趣です。土を石で叩き、自然な器肌と反りをつくり出した『かに平向 六人』は、ひょっこりと姿を現したような蟹が描かれ、魯山人の中でも最も愛らしい作品です。また、漆器の制作も行っており、『桃山風椀 十人』は、黒漆の上に朱漆で秋の野を暗示するような文様が優雅な椀です。こうした器には何の料理が盛られたのかと、想像しながら見るのも楽しみ方のひとつです。

北大路魯山人「桃山風椀 十人」昭和19年(1944)頃 足立美術館蔵

魯山人の芸術は、書、篆刻、陶芸、絵画、漆芸と多岐にわたります。本展では120点の多様な作品を展示しています。魯山人が作り出した美の世界を、ぜひご堪能ください」

北大路魯山人「かに平向 六人」昭和34年(1959)頃 足立美術館蔵

美しい庭園にふさわしい瀟洒なたたずまいの魯山人館にぜひ足をお運びください。

【開催要項】
魯山人館開館記念展 美の創造者 北大路魯山人―新収蔵品を含む名品を一挙公開―
会期:4月1日(水)~9月30日(水)
会場:足立美術館 魯山人館(本館内)
住所:島根県安来市古川町320
電話番号:0854・28・7111
http://www.adachi-museum.or.jp
開館時間:9時から17時30分まで
休館日:年中無休

取材・文/池田充枝

 

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