マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の問題を解説するシリーズ。

国家資格の枠組みが市場を守る旧態依然なイメージの強い弁護士、税理士、会計士等の士業業界も類にもれず、急速な世の中の変化に伴い大きな変革を求められている分野の一つです。法律やテクノロジーの変化で急速なAIの発達や、対面からオンライン、書面からデジタルと従来とは異なる「常識」にいよいよ向き合う必要に迫られています。ここではそういった背景については割愛させて頂きますが、私のコンサルタントとしての経験から、敢えて士業業界と大きく括った上での「向き合うべき経営課題」と対策について述べさせていただきます。

1:不人気ビジネス化

資格合格者の数は増加傾向のものが多いにもかかわらず、多くの事業所が人手不足のため業務を制限している状況を目にします。有資格者も事務作業者も足りない、そんな声が溢れています。

理由は、採用マーケティングを怠ってきたことが一番でしょう。

多くの業界が優秀な人材を確保するために、採用市場での優位性を確保するための努力を行ってきました。そして、それぞれの業界内でも零細中小も大企業に負けないようにと創意工夫を凝らしてきました。

そういった企業群と相対的に比較した時、国家資格によって守られた市場にいることに甘んじて、採用市場での努力を怠った、「企業としての魅力を身に付けよう、発揮しよう、アピールしよう」という努力を怠っていた業界と言わざるをえません。

では、採用市場における優位性を確保するために必要なこととはなんでしょうか。

まずは、採用マーケティングの担当者をアサインしましょう。社内の他業務の兼務でも外部委託でもかまいません。採用母集団形成のKPI(重要業績評価指標)を設定し、データを蓄積し、どんな小規模な事業所であっても年間採用に取り組みましょう。ヒトの縁は巡り合わせです。欲しい時に都合よく採れるものではありません。ヒトへの投資、という言葉は、人的資本経営という話になると必ずでますが、ではどこにまず投資をすべきか、は迷いなく採用です。

2:数字が「読める」けれど「使えない」

業種特性として、数字や文章といった記号を読解し分析することに長けている方が多いにもかかわらず、数字が使えていない事業所が多いと感じます。

数字が「読める」の定義を、読解分析力とすると、数字を「使える」の定義は、KPIやKGI(経営目標達成指標)の設定を行い、その数字を動かすための行動を管理できる力と言えると思います。

経営においての数字は「動くターゲット」です。その時々において適切なKPIを設定し、そこに対しての勝ち負けを分析し、具体的な行動を導くための指標です。決して、アウトプットしたものを測定するだけの目盛りではありません。

数字を使える力を養うためには、プロジェクトリーダーであれば、事業所内の労働生産性や顧客管理に関する満足度にあたるKPIやKGIを明確に目標設定する、メンバー(作業者)であればスケジュールをガントチャートやタスク管理ツールなどで期限に対しての遅速を目標設定する。そして、週間でそのフィードバックをプロジェクトリーダーとメンバーで行い、未達不足に対してのアクションを策定することを習慣化しましょう。

3:優秀な人材が独立する

人材流出は大きなコストになります。育つと辞めてしまうので資格を取らせないようにする、という苦肉の策を講じるのはお互いにとって無意味です。なぜなら個人の成長こそがチームの成長の源泉だからです。

大型化する、もしくは売上利益が高水準に達する事業所の特徴として、高度に労働集約化がなされていることです。また、個人の属人的な処理能力に依存する組織になればなるほど、離脱によるリスクが高まることも要注意です。

高度に労働集約化がなされている状態とは、タスクレベルは専門職が手を付けずに完了し、専門職がその力を発揮できる部分への接点を最大化できている状態です。この状態は専門職の人材にとっても自身の知的好奇心の充足と対価の引き上げと言う利益を生み、集団での業務にメリットが生まれ、それが独立のメリットに勝れば離脱しません。

高度な労働集約化に必要なものは組織図の可視化、ジョブの明文化です。士業はまさにジョブ型に最適な業種です。

この時のポイントですが、できる限り個々の能力に依存しジョブを作るのではなく、役割機能としてジョブを再定義し組織を再編することが重要です。その際にトップは「やるべきこと」「やらないこと」を明確にしてジョブを定義し、それぞれが集中できる環境を準備してあげることが重要です。そうすることで、個人はその集団の中での自己実現の達成可能性が高まり強い帰属意識が生じます。


以上、3つのポイントが1つでもなされていないのであれば、速やかに手を付けることをお勧めします。

識学総研:https://souken.shikigaku.jp
株式会社識学:https://corp.shikigaku.jp/

 

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