管理職に昇進された方は、嬉しい反面不安もあるかと思います。マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」から、管理職に対する不安の解消方法を学びましょう。
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管理職への昇進の打診をされてうれしい反面、今より責任の重い立場になることに不安を覚える人は少なくありません。確かに、管理職は一般職よりプレッシャーもある立場ですが、その分やりがいも感じられます。
管理職としての不安を感じている人でも、その不安を解消することで、自信が持てるようになるのではないでしょうか。管理職の不安の原因や解消法、学ぶべきスキルなどを解説します。
管理職とは企業のなかにある組織の責任者
企業のなかで、管理職は任意のチームや組織の最高責任者です。管理職にはどのような役割が与えられているのかをおさらいし、管理職として働くことの魅力について見ていきましょう。
管理職の役割
企業における管理職は、自分の部や課を持ち、その組織の長として目標達成の責任を担う人を指します。
一般的には部長や次長、課長など、最近はゼネラルマネージャーと呼ぶ企業もあります。一定の裁量権があり、部下やメンバーを統率しながら、与えられた業務を遂行するのが仕事です。
与えられる権限は企業によって異なりますが、予算管理や人員管理、売上管理に関する権限を付与されることが多いようです。
管理職の魅力
一般社員より業務範囲が広く責任が重い管理職ですが、その分やりがいや達成感を感じられる役職でもあります。
管理職になると裁量権が与えられるので、自分が仕事を動かしていると実感でき、充実感があります。
また、部下の人材育成に直接携われるので、成長を身近に感じられるでしょう。部下が成長することは、自分の業務負担が減少することに直結するため、やりがいを感じる人は少なくありません。
はじめての管理職で感じやすい不安とは
管理職になるのが不安という人は、どのようなことを感じているのでしょうか。管理職に対する不安や悩みを紐解いていきましょう。
自分がリーダーシップを発揮できるか不安
男女問わず、自分がリーダーシップを発揮できるのかという不安はよく見られる悩みのひとつです。
管理職には自分の持つ課や部、チームにおいて目標達成のために部下を引導するリーダーシップが求められるため、部下が自分についてきてくれるか不安になる人は多いでしょう。
リーダーシップは、部下からの信頼があってはじめて活きるものです。部下の失敗をフォローして、上司として責任をとり、挽回できる方法を一緒に考えることで、部下からの信頼もより強くなると考えられます。
ワークライフバランスが保てなくなるかもしれない不安
管理職になると業務量が増えるため、今よりも業務時間が長くなってワークライフバランスが保てなくなるのではと不安になる人も多いようです。
特に、女性の管理職の悩みで多いのが、結婚や出産のライフイベントを迎えた際にプライベートとの両立ができるかどうかという点です。そうした不安から、管理職への打診を断る人もいます。
確かに、これまでの業務にマネジメント業務も加わるとタスクが増え、調整が必要となるシーンが増えたり、業務時間が長くなったりする傾向がないとは言い切れません。
仕事はひとりでするのではなくチームでするものと捉え、自分の業務負担をどうすれば減らせるのかを考えて、判断する能力が必要になるでしょう。
求められる結果を残せるか不安
これまでは個人の目標達成だけを求められていたものが、管理職になるとチーム全体の目標達成の責任が生まれます。チームとして成果を残せるかというプレッシャーや責任感によって、不安が生まれることもあるでしょう。
また、トラブルが発生した際には、リスクを伴う判断を求められることもあります。
管理職になったら、チームとして目標達成するためには、自分ひとりが頑張るのではなく、部下に自分の成果を達成してもらうことが重要です。部下が目標達成できるよう導き見守ることが管理職の役目であると認識を持ちましょう。
管理職としての資質や能力があるか不安
そもそも自分は管理職に向いているのか、その資質があるのかと不安になる人も多いようです。事実、管理職には向き不向きがあることは否めません。
自身のモチベーションが高く責任感が強いのはもちろん、他のメンバーが良い結果を出せるようアドバイスをしたり、経営理念や求める業務内容を正しく伝えたりして、相手が結果を出すことを喜びと感じられる人は管理職向きといえます。
反対に部下を信用できずすべての業務を自分だけで抱え込むタイプは、管理職として成功するのは難しいでしょう。
自分に不足している部分に向き合い、足りていないスキルや知識を補おうとする姿勢が必要です。
上司と部下の間に挟まれる不安
管理職は上司と部下との板挟みになるのでは、というのも不安の原因のひとつ。
上司が示す方向性と部下の要望が異なる場合や、上司が求める成果を出せるだけのスキルが現場に足りていない場合などが当てはまります。
その場合に、中立な立場で上司と部下の橋渡し役を担う管理職には、高いコミュニケーションスキルや課題解決能力が求められます。
管理職には自信が必要?
管理職が不安と感じるのは、自信のなさが起因していることも少なくありません。
確かに、管理職には自信が必要といわれることも多いです。しかし、必ずしもそうとはいえない部分もあるため、管理職と自信の関係を紐解いていきましょう。
管理職にはほどよい自信が必要
管理職自身に不安があると自信が持てないため、部下がついていきたいと思える管理職にはなれないといえます。
自分に自信がなければ、部下に自信を持たせるのも難しいでしょう。そのため、管理職には自信が必要といえます。
ただし、自信がありすぎるのは逆効果です。自分の実力を見誤って大きなトラブルを引き起こしてしまったり、部下が委縮してしまったりするかもしれません。謙虚な気持ちを忘れず、ほどよい自信を持つことが大切です。
自信は未来に対して抱くもの
自信を持つなら過去の功績に対してではなく、未来の自分に持ちましょう。過去の実績は事実として受け止め、自信にしないことがポイントです。
自分は素晴らしい管理職になれる、管理職として成果を出せると未来に向けて自信を持つことで、未来のためにどうするべきか考えるきっかけになり、現在の自分の弱みと向き合えるはずです。
未来に向けて、管理職の仕事をリスクと思わず、チャンスと思って取り組めば、おのずと自信はついてくるでしょう。
管理職の不安を解消する方法
管理職を務めるには、さまざまな不安がつきまといます。先述したように管理職にはある程度の自信が必要ですが、そのためにはまずは不安を解消することが大切です。
管理職の不安を解消する方法を紹介します。
自分自身の成長の機会を設ける
管理職として能力不足なのではないかと不安なら、部下にだけ成長を求めるのではなく、自分に足りないスキルを伸ばすなど、自分自身が成長する機会を積極的に設けるのがおすすめです。
勉強会やセミナーへ参加するなどして、不足しているスキルを身につけましょう。また、異業種交流会などに参加すれば、社外のさまざまな人と交流でき、視野が広がったり知見が深まったりします。
管理職の努力する姿勢は、部下のモチベーションも向上させる効果をもたらします。
管理職が身につけておくべきスキル
管理職として身につけておきたいスキルは、大きく分けてテクニカルスキル、コンセプチュアルスキル、ヒューマンスキルの3つです。それぞれどんなスキルなのか見ていきましょう。
テクニカルスキル
業務を行う上で必要な知識や技術をテクニカルスキルと呼びます。日本語では業務遂行能力です。例えば、営業であれば、商品に関する知識、ニーズ把握力、市場分析力、商談スキルなどが挙げられます。
テクニカルスキルには、専門的な業務知識はもちろん、ビジネスマナー、マネジメントスキル、語学力、人事評価能力なども含まれますが、どんなスキルを求められるかは、業種によって異なります。
コンセプチュアルスキル
コンセプチュアルスキルは、概念形成力ともいわれるものです。現状を分析して物事の本質を見抜いて課題を発見し、解決する能力のことを指します。
管理職には、チームや部門、ひいては企業全体といった広い視野で、組織の発展のために何をすべきかを理解することが求められます。さらに、業務を行うなかでさまざまなトラブルが発生した場合、それらに対処できる能力も必要です。
正しい判断をするために洞察力や多面的視野、ロジカルシンキング能力などのコンセプチュアルスキルが求められます。柔軟に対応できる力や応用力も重要です。
ヒューマンスキル
ヒューマンスキルとは、対人関係能力のこと。社内、社外にかかわらず、関係者と良好な人間関係を築くことができる能力です。
部下を分析して適切に配置したり、部下ひとりひとりに適した対応をしたりすることが管理職には求められるため、部下との良好なコミュニケーションは欠かせません。さらに、リーダーシップを発揮して業績を上げたり、部下のモチベーションを高めたりすることも必要です。
社外に対してはニーズ把握のためのヒアリング力や交渉を円滑に進めるネゴシエーション力も求められます。
オンオフを切り替えてしっかりリフレッシュする
責任やプレッシャーを感じやすい管理職の仕事は、疲労感やつらさを感じやすいともいえます。
そのような状況になると、不安も感じやすいでしょう。オンオフをしっかり切り替えて、リフレッシュする時間を設けてください。休みの日にも家で仕事をしたり、仕事のことを考えてばかりいたりすると、心身ともに十分に休めずパフォーマンスが低下してしまいます。
仕事とプライベートを区別してメリハリをつけ、趣味や家族との時間を持つなど、プライベートを充実させて気分転換することで、前向きに仕事に取り組めるように意識してみましょう。
良い管理職像にとらわれすぎない
管理職になると、良いリーダー像にとらわれすぎて本質を見失ってしまうこともあります。
管理職に求められているのは、組織の成長のためにチームがどうあるべきかを考えること、そして、それを実践できるようにチームを作り、チームメンバーが最高のパフォーマンスを出せるよう、サポートする立場に回ることです。
素晴らしい人格者や完璧なリーダーでないといけない、というわけではありません。管理職の役割を理解して、目標達成のために自分がどう動くのか、メンバーにどう動いてほしいのかを共有して、チームが一丸となって頑張れる仕組みを考えましょう。
管理職になるのが不安なら役割を正しく認識しよう
はじめて管理職を任されると、責任感やプレッシャーから不安を感じてしまうかもしれません。不安を解消するには、適度な自信を持つことと、管理職の役割を正しく認識することが重要です。
管理職は、すべてにおいて完璧な人間である必要はありません。重要なのは、チームが目標達成できるようメンバーをサポートし、仕事をしやすい環境を作ることです。正しく役割を認識して、管理職の仕事を全うしましょう。
【この記事を書いた人】
識学総研 編集部/株式会社識学編集部です。『「マネジメント」を身近に。』をコンセプトに、マネジメント業務の助けになる記事を制作中。3,000社以上に導入された識学メソッドも公開中です。
引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/
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