リーダーシップをどのように身につければいいのか、悩まれる方も多いでしょう。マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」で、リーダシップについての知見を得ましょう。
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「リーダシップは生まれつきの能力?」「それとも後天的に培われるもの?」
今からリーダーを目指す方や、日々マネジメントの課題に直面しているリーダーなら、このような疑問を持つことが多いのではないでしょうか。
カリスマ性など、生まれつきの能力としての要素はあるものの、後天的にリーダーに必要なスキルを身につけ、磨くことも可能です。
この記事では「リーダーに向いている人」や「不向きな人」の特徴、リーダシップに必要なスキルを育成する方法について詳しく解説します。
リーダーシップは「生まれつき」で発揮される能力ではない!
事実として、リーダーとして活躍するにあたって、先天的な能力が少なからず関係してくることもあるでしょう。生まれ持ったカリスマ性やコミュニケーション能力は、リーダーシップを発揮するうえでの強みです。
しかし、経験や努力によりリーダーとして必要な能力を高めることは可能です。多くの研究や実例を見ると「リーダーシップは生まれつきの資質だけでは決まらない」ということが明らかになっています。
1940 年代まで「リーダーは作られるものではなく、生まれながら持つ資質である」という考え方で、その資質は何かという研究がされました。ところが、リーダーは状況によって変わり、特に決まった資質はないことが次第にわかってきました。
厚生労働省公式サイト研修資料「リーダーシップを発揮しよう」
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000815837.pdf
ちなみに、リーダーシップには次の2つの種類があります。
・特性型リーダーシップ…固有の特性や性格、資質に基づいて組織を管理するリーダー
・機能型リーダーシップ…リーダーが果たすべき役割や機能に注目しながら、組織を管理するリーダー
どちらのリーダシップ論が正解かどうかは、企業や業務によっても変わるでしょう。ただ、市場変化が激しい現代においては、状況に応じて役割を変えられる「機能型リーダシップ」が適しているといえます。
リーダーに向いている人の特徴や必要なスキルを理解し、リーダー育成のステップを踏めば、誰にでも優秀なリーダーになれるチャンスはあるのです。
リーダーに向いている人と向いていない人との違い
リーダーに向いている人と、そうでない人との違いは明確に存在します。リーダーとして活躍したいなら、まずは「どんな人がリーダーとして適しているのか?」をよく理解するようにしましょう。
リーダーに向いている人の特徴(1):明確なビジョンを持っていること
リーダーに向いている人の特徴(2):高い目標達成意識があること
リーダーに不向きな人の特徴(1):自己中心的
リーダーに不向きな人の特徴(2):決断力がない
リーダーに向いている人の特徴(1):明確なビジョンを持っていること
成功するリーダーのひとつ目の特徴は「明確なビジョンを持っていること」です。
優秀なリーダーのほとんどは、会社の方向性や年度予算などに基づく目先の目標だけではなく「組織全体が向かうべき中長期的なビジョン」を持っています。
下記のようなビジョンを持つことができれば、より望ましいでしょう。
(1)明確性:明確かつ具体的なビジョン
(2)先見性:市場環境や自社の状況を踏まえ将来の可能性を見据えたビジョン
(3)共感性:チームメンバーから共感を得られるビジョン
(4)実現可能性:夢物語ではなく実際に達成可能なビジョン
明確なビジョンを持つリーダーのもとなら、メンバーは迷うことなく、ひとつの方向性に向かって邁進できます。
リーダーに向いている人の特徴(2):目標達成意識が高いこと
ふたつ目の特徴は「目標達成意識が高いこと」です。目標に対し強いコミットメントができるリーダーであれば、メンバーも同じ目標を持って取り組めるでしょう。
一方、リーダー自身の達成意識が曖昧だったりすると、メンバーは「やってもやらなくてもよい」という意識にかられ、チーム目標の達成は難しくなります。
リーダー自身の内発的な達成意識が強ければ強いほど、メンバーは困難な問題に直面しても乗り越えようと努力するでしょう。
そして、リーダーの達成意識がメンバーの成長を促すのです。高い目標達成意識を持つリーダーは、自らがビジョンや目標に向かって情熱的に取り組むだけでなく、その情熱をチームや組織のメンバーにも伝え共有します。その結果、組織全体のモチベーションは上がり、生産性も上がります。
リーダーに不向きな人の特徴(1):自己中心的
一方、リーダーに不向きな人には「自己中心的な傾向」が見られます。メンバーからの意見を聞き入れず、自分の意見だけを貫き通したり、上司の意見さえも聞き入れなかったりする人がいます。
このような自己中心的なリーダーが率いるチームは一体感がなく、それぞれが自己判断で物事を進めるため、さまざまなリスクを抱えることも多いでしょう。
また、自己中心的な人は自己評価が高く、自己課題を改善しない傾向があります。そのため、自己中心的なリーダーには「成長スピードが遅い」という共通課題も見られます。
もちろん、そういったリーダーでは、率いるメンバーにも影響が及ぶはずです。カリスマ性があって一見リーダーシップがあるような人でも、自己中心的な人はリーダーには不向きといえるでしょう。
リーダーに不向きな人の特徴(2):決断力がない
決断力がない人も、リーダーには不向きです。リーダーは、多くの場面で決断を下す必要があります。その決断がチームや組織の方向性を大きく左右するため、迅速かつ的確な決断力は、とても重要です。
決断を避ける傾向がある人や、常に他者の意見に流されるような人は、リーダーとしての適性が低いといえるでしょう。決断力がないと、ビジネスチャンスを逃すリスクもありますし、メンバーやステークホルダーの信頼を失うことにもつながります。
決断を下す際には、メンバーの意見を聞いたり市場調査をしたりすることが必要ですが、最終的にはリーダー自身の判断が重要になります。決断した結果、失敗することもあるかもしれません。しかし、失敗から学び次回の決断に生かす柔軟性も、リーダーに必要なスキルなのです。
リーダーとして成功するための6つのポイント
繰り返しになりますが、リーダーシップは生まれつきの能力ではありません。先ほど説明した「リーダーに向いている人」の特徴を身につければよいのです。
次に示す「6つのポイント」を軸にマネジメントに取り組めば、生まれつき素質がない人でも、リーダーシップを発揮できます。
(1)結果に拘り目標にコミットする
(2)明確なビジョンを持ち測定可能な目標を設定する
(3)判断力と公正な意思決定能力を備える
(4)問題が起きたときに柔軟に対応する
(5)調整力を磨く
(6)部下の成長に責任を持つ
(1)結果に拘り目標にコミットする
リーダーとしてもっとも重要なのは「結果を出すこと」です。目標達成に向けて強いコミットメントを持ち、達成のために必要なリソースやサポートを提供することに専念しましょう。
また、結果を出すためには、メンバーとの綿密なコミュニケーションも大切です。進捗を管理しつつ適切なフィードバックができることなど、「組織運営の仕組みづくり」もリーダーに求められるスキルのひとつといえます。
(2)明確なビジョンを持ち測定可能な目標を設定する
成功するリーダーになるには、常に測定可能な定量的な目標を掲げるようにしましょう。
定量的な目標を設定するのが難しい部署でも、可能な限り数値目標をたてるのが理想です。測定可能な目標を設定しないと、どうしても「上司の主観」が評価に反映されてしまいます。公平かつ厳正に評価し、メンバーのモチベーションを維持するには、定性的な目標はできるだけ避けましょう。
(3)判断力と公正な意思決定能力を備える
リーダーは、多くの場面で判断や意思決定を下す必要があります。優秀なリーダーとして認めてもらうには、普段から迅速な判断力と公正な意思決定を下す能力を磨いておきましょう。
的確な判断を下すためには、自部署内に限らず、他部署や市場全体からの情報収集やメンバーとのコミュニケーションが必要不可欠です。自分のビジョンや会社の方向性を常に考え、「正しいことはなにか?」「最優先で取り組むべきことは?」など、あるべき姿を常にイメージできるようにしておくといいでしょう。
(4)問題が起きたときに柔軟に対応する
リーダーは、様々な問題や困難に直面することがあります。リーダーとして成功するためには、問題が起きたときの対応力も重要なスキルのひとつです。
問題の原因を特定し、課題解決のために新しいアプローチ方法を考え出すなど、臨機応変に対応できるよう常にシミュレーションしておきましょう。
(5)調整力を磨く
組織内でのリーダーシップを発揮するためには、自部署だけでなく、他部署との調整や連携、交渉も非常に重要です。
組織の目標達成のためには、横断的なプロジェクトやタスクをこなす必要があり、他部署との連携が不可欠となります。
どんなときでも自部署内や他部署との調整ができるよう、普段から情報収集やコミュニケーションを深めておくといいでしょう。
(6)部下の成長に責任を持つ
リーダーの役割は、単に結果を出すことだけではありません。部下の成長をサポートし、個々のキャリアを形成することも非常に重要な役割となります。
具体的には、部下の強みや弱みを理解し、適切なフィードバックや指導を行うこと、また、部下が新しい挑戦や経験を積む機会を提供することなどが挙げられます。
部下の成長をサポートすることは、組織全体の成長や発展にもつながります。
リーダシップを向上させる5つのステップ
リーダーとして成功するためのポイントがわかったら、リーダシップを向上させるために、何をすればいいのか考えていきましょう。
生まれつきの才能ではなく後天的にリーダーとして成長するためには、次の5つのステップに取り組むのが理想です。
STEP1:目標と具体的なアクションプランを立てる
STEP2:経験を積み重ねる
STEP3:定期的に自己観察する
STEP4:目標達成ができないときは上司のフィードバックを謙虚に受け入れる
STEP5:研修プログラムの受講を検討してみる
STEP1:目標と具体的なアクションプランを立てる
リーダーシップを向上させるには、まず「明確な目標」を設定しましょう。
ここでいう「目標」とは、チームの目標ではありません。
「将来どんなリーダーになりたいのか?」「リーダーとして必要なスキルや資質はなにか?」を明確にし、目標をたてて、具体的なアクションプランを考えることが重要です。
例えば、次のように整理してみるといいでしょう。
・自己評価の実施…リーダーとしての自身の強みと弱みを認識する
・具体的なアクションプランの策定…強みを伸ばし弱みを克服するための目標を設定する
・振り返りとフィードバックを受ける…具体目標の進捗を四半期ごとに自己評価し上司のフィードバックを受ける機会を設ける
・他者とのコミュニケーション…メンバーとの面談機会などを設け、気づきを得て改善する
リーダーにはチーム目標に対するコミットメントも必要ですが、「リーダーとして成功する」という確固たる目標達成意識が大切です。
STEP2:経験を積み重ねる
リーダーシップは、実践を通じて磨かれるものです。新しいプロジェクトやタスクにどんどん挑戦し、リーダーシップに必要な能力を磨いていきましょう。
経験値を高める点では、異なる背景を持つメンバーや他部署の人と積極的に関わるのことがおすすめです。困難な目標に積極的にチャレンジし、異なる意見のなかで調整力を磨いていくことで、リーダーに必要な能力が育つはずです。
STEP3:定期的に自己観察する
自分自身の行動や考え方、感情を定期的に観察することは、リーダーシップを向上させるうえでとても重要です。自己観察を通じて、自身の強みや弱み・改善点を明確にでき、自己改善のアクションもとりやすくなるでしょう。
社内の限られた人との関わりだけでは、自身の成長や改善点はなかなか見いだせないものです。リーダシップに関する専門家との対話や、他部署の理想の上司と直接話すことで、新しい気づきが得られるかもしれません。
STEP4:目標達成ができないときは上司のフィードバックを謙虚に受け入れる
リーダーシップの向上には、外部からの視点や評価が有効です。特に、経験豊富な上司や専門家からのフィードバックは、自己課題を明確にするうえでの貴重な情報源となります。
リーダーとして成長するには、フィードバックを謙虚に受け入れ、次のアクションに生かすようにしましょう。
なお、上司からのフィードバックを待っていると、機会を逃す可能性もあります。定期的にフィードバックを受けるには、自ら面談を申し出て、年間面談日程を事前に調整しておくのがおすすめです。
STEP5:研修プログラムの受講を検討してみる
リーダーシップを向上させるための研修プログラムやセミナーは、多くの組織や教育機関で提供されています。これらのプログラムを活用することで、新しい知識やスキルを習得することができ、リーダーシップに必要な能力をさらに磨くことができます。
研修プログラムを活用し、ケーススタディーに基づいてグループワークで議論すると、これまで気づけなかった改善点を見いだせるかもしれません。
リーダシップに悩む人によくある質問
リーダーシップには多くの課題や悩みが伴います。以下に、リーダーシップに関するよくある質問と回答を紹介します。
カリスマ性がないとリーダーにはなれないのですか?
カリスマ性はリーダーに必要な要素のひとつですが、それだけがリーダーシップのすべてではありません。
カリスマ性がなくても、コミュニケーション能力、判断力、高い目標を持つことなど、リーダーに必要な多くのスキルや資質を磨くことで、優れたリーダーになることができます。
リーダーになってはいけない人の特徴を教えてください
リーダーに不向きな人の特徴としては「コミュニケーションスキルが欠如している」「達成意識が低い」「自己中心的」などの要素があげられます。
ただ、これらの特徴もトレーニングや経験を通じて改善することは可能です。
リーダーとして結果が出せない場合どうすればいいですか?
結果が出ない場合は、まずは原因分析を行い、問題の根本を特定することからはじめましょう。
上司のフィードバックで改善点を見いだすこともできますが、他社で経験を積んだマネジメント研修のプロなどに相談する方法もおすすめです。勤務先に研修制度がないなら、個人でも参加できる外部のリーダシップ研修もいいでしょう。
努力しても結果が出ないなら、リーダーとして在籍し続けることでメンバー、会社に不利益が出ることもあります。場合によってはリーダーを降りることも視野に入れておきましょう。
まとめ
リーダーシップは、生まれつきの資質だけでなく、経験や学びを通じて磨かれるものです。
成功するリーダーには、明確なビジョン、コミットメント、柔軟性などの多くの特徴があります。また、リーダーシップを向上させるための方法も多く存在します。
リーダーシップに関する悩みや課題を持つこともあるでしょうが、それらを乗り越え、自らのリーダーシップを磨き続けることで、より高い成果を上げることができるでしょう。
【この記事を書いた人】
識学総研 編集部/株式会社識学編集部です。『「マネジメント」を身近に。』をコンセプトに、マネジメント業務の助けになる記事を制作中。3,000社以上に導入された識学メソッドも公開中です。
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引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/