鍋料理はもちろん、煮込み料理や蒸し煮も、土鍋を使えばおいしく仕上がる。今回は土鍋の柔らかい火当たりが卵をふっくら仕上げる「タジン・オムレツ」の作り方をご紹介しよう。
「モロッコでは、タジンを使って作るオムレツが定番です」
『エンリケ・マルエコス』シェフ・小川さんはそう話す。現地のオムレツは、トマトと玉葱を熱して卵を流し、卵とじのようにして作られるのだという。一般的なオムレツのように木の葉形に整える必要がないため手軽なうえ、火当たりの柔らかな土鍋の効果で卵がふっくら仕上がる。ここでは、日本でも入手しやすい材料で、手軽な作り方を指南してもらった。
「おいしく作るコツは、弱火で調理することです」(小川さん)
モロッコ製は強火を避ける
そもそもモロッコ製のタジンは「強火にかけると割れやすい」と小川さんは注意を促す。
「土鍋は弱火で加熱すれば、ゆっくり熱が伝わり、素材の水分も甘みも充分に引き出す長所があります。シリコン製や鋳物琺瑯製のタジンも出回っていますが、熱の伝わり方が土鍋とは異なるので、料理の味にも違いが出そうです」
国内の一般的な土鍋の製造元が作るタジンはモロッコ製に近い。異国の機能的な土鍋で、献立の幅を広げるのもいいだろう