取材・文/ふじのあやこ

近いようでどこか遠い、娘と家族との距離感。小さい頃から一緒に過ごす中で、娘たちは親に対してどのような感情を持ち、接していたのか。本連載では娘目線で家族の時間を振り返ってもらい、関係性の変化を探っていきます。

「母親のことが嫌いだと思うことはいけないこと。罪悪感に押しつぶされそうになることがずっと続いていました」と語るのは、里香さん(仮名・38歳)。彼女は現在、関西にある自宅でネイリストとして仕事をしながら、6歳の女の子の育児をしています。職業柄、派手めなネイルに目がいきますが、その他は落ち着いた雰囲気で、ニコニコしながら話すところから、明るい性格を連想させます。

家族の不和は姉と母親から。被害者意識の強い母親の聞き役は私だった

里香さんは兵庫県出身で、両親と4歳上に姉のいる4人家族。小さい頃の中心にはいつも母親がいたそうで、父親の印象はあまりないと言います。

「父親は商社の仕入れ関係の仕事をしていたのか海外出張が多くて、たまに帰ってきてはいたんだと思いますが、あまり覚えていません。それにうちの家は母親のほうが3歳年上で、すべての決定権は母親にあったから、母親さえいれば家族は回る感じでした。母親は私が中学までは少しパートに出たりするくらいで、ほとんど家にいた印象です」

小さい頃の家族仲を伺った時、「好きだった」と感情的な部分を話し始めました。

「小学生ぐらいまでは家族仲は普通です。何かをしっかり覚えているわけじゃないけど、逆に大きな出来事もなくてあまり覚えていないので、平和だったんだろうなって思います。私が中学に上がった辺りから、私というより、姉と母親の仲が徐々にゆっくりと悪くなっていったんです。原因は姉の反抗期だと思いますが、キッチンから大きな言い合いの声とかがいつも聞こえてきて、すごく居心地が悪かったのを覚えています。

でも、もっと最悪なのが、母親も姉もその後が大変で。姉はイライラを私にぶつけるタイプで、過去に服を借りていて汚してしまったことがあったんですが、これ見よがしに思い出しギレされていました。母親からはいかに姉が悪いことをしたのか、『あなたはこうなってはいけない』と姉の悪口をずっと聞かされるんです。その時間が憂鬱でしたね。でも、家の中で私しか母親の味方がいないと、好きだからという思いがあったんです」

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