自分なりに貯蓄をしているつもりでも、金融庁が「95歳まで生きるためには、夫婦で約2,000万円の金融資産の取り崩しが必要になる」といった試算を示したり、少子高齢化などの問題から年金受給年齢が引き上げになったりと、老後の生活に不安を抱いている方は多いのではないだろうか。今回は、不動産投資サービスを展開している日本ワークスが全国60代の男女を対象に行なった「月の損益に関する調査」の結果を参考に、サライ世代がリアルに抱える老後への不安ややっておいてよかったことなどを紹介する。
現在の貯蓄額「100万円未満」が最多!
まず、「現在の貯蓄額について教えてください」という質問をしたところ、『100万円未満(27.4%)』と回答した方の割合が最も多かった。次いで『100万円~500万円未満(21.3%)』『3,000万円以上(10.2%)』となった。
次に、「現在の自宅と貯蓄以外の金融資産額を教えてください」と聞いてみたところ、『500万円未満(58.3%)』と回答した方の割合が最多だった。
冒頭でも「老後2,000万円問題」に触れたが、今回の結果を見ると、8割近くの方の貯蓄額が2,000万円未満ということが判明した。金融資産額についても500万円未満という回答が最も多く、将来のために貯蓄をするのは難しい現状が浮き彫りとなった。
次に、「現在の雇用形態を教えてください」と聞いてみたところ、半数近くの方が『無職』と回答した。
これは、定年退職の年齢を60歳としている企業が多いといった背景が影響しているのかもしれない。しかし、最近では少子高齢化による労働力不足が問題視され、定年退職の年齢が徐々に引き上げられており、現在では70代の定年年齢についても議論されている。また、生活費を工面する必要もあるので再雇用制度を利用する方も増えているようだ。
年金だけでは生活費は賄うのは難しい⁉
定年退職を迎えて気になるのが、「年金問題」ではないだろうか。
老齢基礎年金は65歳からの需給が原則だが、60歳~64歳でも繰り上げ需給が可能だ。
そこでまず、ひと月あたりの生活費について聞いてみると、『15万円~30万円未満』と回答した方の割合が最も多かった。
一方で、「年金の受給額を教えてください」と聞いてみると、『5万円未満(42.1%)』と回答した方の割合が最も多く、次いで『5万円~10万円未満(20.3%)』『10万円~15万円未満(13.9%)』と続いた。
ちなみに、60代の方に「生活費の収益源について教えてください」と聞いてみたところ、『年金(66.9%)』や『給与(54.1%)』、『貯蓄(23.6%)』、『株式投資(9.3%)』といった意見が挙がった。貯蓄、金融資産が2,000万円以下の方や、受給される年金に不安を抱えている方が多い現在では、年金以外からの収益源が今後重要となりそうだ。
第2の人生をより豊かにするためには? 60代の男女が思う、やっておけば良かったと思うこと、やっておいて良かったことを大公開!
お金の有無は生活の質にも大きく影響するので、できる限り準備をしておきたい。
「第2の人生でやりたいもの、既に叶えたものについて教えてください」と聞いてみたところ、『旅行(68.6%)』や『趣味に没頭(45.3%)』、『家族へのプレゼント(11.1%)』といったさまざまな意見が挙がった。
続いて、「今の生活に満足していますか?」という質問をしたところ、4割以上の方が『いいえ』と回答した。
定年まで懸命に働き「ようやくセカンドライフ」と夢を思い描かれる方も多いだろうが、しかし、想像していた第2の人生を送ることができていない事が明らかとなった。
そこで、「満足するためにやっておけば良かったと思うこと、やっておいて良かったことを教えてください(複数回答可)」と聞いてみたところ、『貯蓄(70.0%)』『株式投資(16.8%)』『定期積立(14.1%)』といった意見が挙がった。
退職金の使い道第1位は「貯蓄」!第2位はまさかの…!?
最後に、「退職金の使い道を教えてください(複数回答可)」という質問をしたところ、『貯蓄(38.2%)』と回答した方の割合が最も多い結果となった
しかし、次に多かったのは『退職金制度がない(33.8%)』という回答だった。「退職金はもらえるもの」と思っている方が多いと思うが、実際は退職金制度がない企業が意外と多いという実態があるようだ。
今回の調査で、実際に掛かる生活費に対し、年金だけでは足りていないことが浮き彫りとなった。年金の財政計算は5年ごとに実施されており、少しずつ減額されている傾向にある。理想のセカンドライフを迎えるためにも、老後資金対策は1日でも早く検討してみるのに越したことはなさそうだ。
文/鳥居優美