昭和10年代に長野県の中央部、諏訪湖の周辺で始まった時計作りは、戦後になって大きく花開いた。培われてきた高精度の機械式時計の技術は、やがて昭和42(1967)年に、世界初のクォーツ式腕時計としても結実した。
そんな諏訪の地に、オリジナルの機械式腕時計を製造する時計企画室コスタンテが誕生したのは2000年のこと。創業者であり代表の清水新六氏は、諏訪精工舎(現セイコーエプソン)で活躍してきた熟練の時計職人である。「手巻き式でパワーリザーブの付いた機種は、スイスでは高級時計の代名詞です。駆動時間の残量表示の小針が付くという特徴を生かして、飽きのこないデザインを念頭に作りました」と語る清水氏ご自慢の逸品が、ここに紹介する本品。文字盤に残りの駆動時間を示す「パワーリザーブ」機能を搭載した、手巻き式の腕時計だ。
分厚いガラスを削り出して仕上げた高強度のサファイアガラスの風防は、立ち上がりのあるボックス型と呼ばれる古風なもの。風防に合わせて文字盤も曲面形状で、機械式腕時計全盛期を彷彿させる正統派な佇まいがなんとも魅力的である。
【今日の逸品】
手巻き式腕時計「THE SPQR」
時計企画工房コスタンテ
216,000円(消費税8%込み)