文/印南敦史
エミー賞、ゴールデングローブ賞など数々の受賞実績を持つ『ダウントン・アビー』といえば、世界200以上の国と地域で放映され、大ブームを巻き起こした英国のドラマである。
エリザベス女王やウィリアム王子夫妻など、英国王室をも魅了したことでも有名。日本でも2014年にNHK地上波で放映されて話題を呼んだので、ご覧になった方も少なくないはずだが、このドラマの舞台を巡る旅が好評なのだという。
なにが人々を魅了するのだろうか? 今回は『ダウントン・アビー』の舞台を巡る旅の数々の見どころをご紹介しよう。
■1:ハイクレア城
『ダウントン・アビー』で、クローリー家の邸宅として登場したハイクレア城は、17世紀に英ハンプシャーに建てられた古城。ロンドンから100キロほど西にあり、現在も城主の第8代カナーヴォン伯爵夫人の住まいとなっている。
第5代のカナーヴォン伯爵が、ツタンカーメン王の墓を発見した考古学者のハワード・カーターの支援者だったことから、城内にはエジプト展示室がある。カナ―ヴォン家とエジプトとの深い関係を感じられるとともに、古代エジプトの奥深い歴史を目の当たりにできる。
■2:バンプトン村
バンプトン村は、ロンドン北西部の緑豊かな丘陵地帯であるコッツウォルズ地方に位置する村。『ダウントン・アビー』に登場するダウントン村のモデルとして、数多くの印象的なシーンが撮影された。
ドラマでも明らかになっていたとおり、石造りの重厚な建造物と木々の緑とのコントラストがポイント。ゆっくりと散策してみれば、ドラマで見覚えのある風景に出会うことができるだろう。
■3:ハイグローブ
コッツウォルズ近郊のハイグローブ邸にあるハイグローブは、かのチャールズ皇太子が所有する庭園。ガーデニングが盛んな英国でも有数のオーガニック庭園で、「21世紀初頭において最も興味深いコンテンポラリーガーデン」と称されるだけあり、時代の波に左右されることのない普遍的な美しさが魅力だ。
チャールズ皇太子自身もスコップやハサミを手に、丹精込めて育ててきたというが、なるほど一角には皇太子が孫のジョージ王子と一緒に植えた木や王子たちの遊び場も残っている。皇太子一家がいかにこの庭を愛されているかがわかるはずだ。4〜10月の特定日のみ一般公開されている。
■4:ケンジントン・パレス
ロンドンのケンジントン公園内にあるケンジントン・パレス。かつては王家の宮殿だったが、1760年に王家がバッキンガム宮殿へ移転して以降は、王の親族の住居として使用されてきた宮殿だ。
かのヴィクトリア女王もここで幼少期を過ごしたほか、故ダイアナ妃も皇太子妃時代に家族で15年暮らしている。現在はケンジントン公爵であるウィリアム王子一家がお住まいで、この5月に結婚式を挙げるハリー王子とメーガンさんも、敷地内に新居を構えると報じられている。
■5:オークリー・コート
1859年に建造されたオークリー・コートは、テムズ川の景色を望む広い庭園内の由緒あるカントリーハウス。1985年よりホテルとして利用されており、客室の美しい内装も魅力的。また、美しい庭園を眺めながら楽しむアフタヌーンティーは格別だ。
テニスコート、クロケット用の芝生、9ホールのゴルフコースがあるほか、バー、サウナ、スチームルーム、モダンなジムも併設されている。
* * *
今回この『ダウントン・アビー』の舞台をめぐるツアーを企画したワールド航空サービスのプランニング事業本部の福島伸彦さんは、この旅の魅力について次のように語る。
「英国の魅力は多彩です。その礎を築いたのは中世来続いた階級社会と封建制ですが、『ダウントン・アビー』は貴族社会だけではなく、執事やメイドの視線から、その独特の英国世界を垣間見させてくれるものでした。ドラマだけに親しみやすく、それにふれて、実際に旅すると、城も宮殿も、そこに刻まれた歴史を生き生きと語ってくれます」(福島さん)
名作ドラマの舞台を実見できるだけでなく、英国貴族の本物の文化に触れられる旅。ワンランク上の体験が得られそうだ。
【参考ツアー】
※ 憧れのハイクレア城を見学【9日間の旅】 – ワールド航空サービス
文/印南敦史
協力/ ワールド航空サービス(http://www.wastours.jp)