千葉県の温泉というと、海岸沿いに点在する塩化物泉の温泉などが多いのですが、君津市にある七里川温泉は千葉では珍しい硫黄泉の温泉です。
七里川温泉は鴨川市との境界線近くの山間部に位置します。内湯と露天風呂があり、硫黄の香りが漂う湯が源泉かけ流しで楽しめます。
温泉の濁り具合は低く、やや白い程度のぬるめの湯で、肌をツルツルにしてくれます。宿泊でも日帰り入浴も可能で、広間には囲炉裏があり、ここに食材を持ち込んで自由に焼いて食べることができるというユニークな施設です。
魚の干物や貝類、ソーセージや野菜などのいい匂いが漂い、温泉を堪能した後に囲炉裏を囲めば、知らぬ同士でも仲良くなれるという不思議な空間です。
最寄駅はJR久留里(くるり)線の終着駅、上総(かずさ)亀山駅。久留里といえば、滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』で知られる里見氏の居城、久留里城と湧水が有名です。
町のあちこちには井戸があり、こんこんと清水が湧き出ています(写真提供:千葉県観光物産協会)。
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。