取材・文/インディ藤田(『サライ』編集部)
応仁時代から続くというような家柄ではないが、京都に生まれ育った私。もはや人生の半分以上を東京で暮らしてはいるが、京都に帰るとはやり心落ち着く。
実家のある東山七条には、「通し矢」で有名な三十三間堂、長谷川等伯による国宝の障壁画を有する智積院などがあり、散策する場所にも事欠かない。
この東山七条に昨年10月に開業し、今、京都で話題になっているのがフォーシーズンズホテル京都だ。
世界的に有名な高級ホテルがついに京都進出、と注目を集めていたのだが、なんと私の実家のすぐそば、しかも妙法院というお寺の中、といってもいいような場所に姿を現した。ちょっと意外な立地だ。
東山七条というのは、京都駅から東に約1キロ。さらに北に進めば清水寺、南に行けば紅葉で有名な東福寺と、京都観光のハブとなる立地。交差点からさらに東に延びる坂道は、女子校があるため地元では「女坂」と呼ばれ、毎日のべ8000人以上の女子学生たちが上り下りする。
その女坂の中腹に、フォーシーズンズホテル京都のエントランスに続く道ができた。
ホテルの建物はデザインが美しいだけでなく、予想をはるかに上回る大きさ。周囲の名刹や自然と調和した造りとなっており、閑静で落ち着く環境だ。
特筆すべきは、その庭園。元々、池があったそうなのだが、これを生かしたうえ、茶室も建立。この「積翠亭」は、夕刻からは日本酒&シャンパーニュバーに変身する。
しかしながら、一般的なホテルと違うのは、ダイニングを必要最小限に抑えたところ。この庭園をガラス越しに見ながら朝、昼、晩と食事を楽しめるメインダイニング「ブラッスリー」のほかは、喫茶もできる「ザ・ラウンジ」と小さな江戸前鮨の「鮨 和魂」だけ。
京都にはおいしい料理店が数多あるので、どうぞお出かけくださいと言わんばかりの余裕ともいえようか。
実際、1週間も滞在する外国人客も多いそうで、このホテルを起点にあちらこちらへ観光と飲食を楽しみにでかけるのだろう。
さて、気になる肝心のメインダイニング「ブラッスリー」でさっそく試食してみた。“ブラッスリー”とは、フランス語では本来ビールが飲める飲食店のこと。こちらのブラッスリーでも、昨今流行りのクラフトビール(地ビール)が提供されている。しかも京都で人気の京都麦酒の生ビールだ。
ビールに合わせて、アラカルトでついフレンチフライ(フライドポテト)を注文。この日は、トリュフのかけられた薫り高い逸品で、ビールがすすむ。
フレンチをベースとした料理は、目にも楽しいが味わいも洗練されている。この日のコースは野菜を使った鮮やかな前菜、クラムチャウダー風の魚介の一品、そしてメインはシェフのスペシャリテだという牛タンの煮込み。箸で食べられそうなほど柔らかく煮込まれた牛タンには、赤ワインが絶対必要……ということで、またまた酒が進む。
そして、最後のデザートは、満腹でもつい平らげてしまうきれいな味わいで、パティシエの腕もかなりのものだ。
また、ホテル内には至る所に花が飾られているが、これがニコライ・バーグマンによるもので、女性だけでなく、男性の目にもやさしく和める仕掛けとなっている。ニコライ・バーグマンのショップもある。
他にも宿泊者には、20メートルプールやスパなど施設も豪華で充実しており、狭い古都にいることを忘れてしまうだろう。
京都・東山界隈の観光の際には、まずはラウンジでお茶とケーキだけでも寄ってみる価値のあるホテルである。特別な日には奮発して滞在することをオススメしたい。
私は実家が目と鼻の先なので、残念ながらまだ泊まっていないのだが(苦笑)。
【フォーシーズンズホテル京都】
■住所:京都市東山区妙法院前側町445-3
■電話:075-541-8288
■公式サイト:http://www.fourseasons.com/jp/kyoto/
取材・文/インディ藤田(『サライ』編集部)