歌舞伎や京劇のデフォルメメイクの成り立ちを紹介する展覧会が、大阪・池田市の逸翁美術館で開催されています。(~3月26日まで)
演劇の舞台で、俳優の演技を一段と深める効果のある化粧。なかでも京劇などの中国伝統演劇や日本の歌舞伎では、化粧が特に大きな役割を果たします。中国の臉譜(れんぷ)は、歌舞伎の隈取(くまどり)にあたるもので、ともに性根や感情をデフォルメして表現します。
本展では、臉譜と隈取を中心に、伝統が生み出したさまざまな舞台の顔を紹介します。
本展の見どころを、逸翁美術館・学芸主任の太壽堂素子さんにうかがいました。
「臉譜や隈取は、そこに独自の意味や約束事があり、臉譜はその基本を守りながらも時代とともに変化し、洗練されてきました。歌舞伎の隈取は、俳優の個性を加えながらも伝統を継承しています。
時代はくだり、宝塚歌劇のスターたちも伝統を学び、オリジナルのタカラヅカメイクを編み出しました。いっぽう映像の世界では、よりリアルな特殊メイクが研究される今日ですが、そこにも伝統的な化粧が影響を与えているのです。
本展では、肉筆臉譜や錦絵の隈取を中心に、さまざまな化粧を紹介します。展示品のなかには、現代のヒーローやキャラクター思わせるものが見つかるかもしれません」
あっと驚くような顔を見ながら、京劇や歌舞伎の歴史に触れることができます。ぜひ、足をお運びください。
【化粧 KEWAI -舞台の顔-】
■会期/2017年1月21日(土)~3月26日(日)
■会場/逸翁美術館
■住所/大阪府池田市栄本町12-27
■電話番号/072・751・3865
■料金/一般700円 シニア(65歳以上)500円 その他各種割引あり
■開館時間/10時から17時まで(入館は16時30分まで)
■休館日/月曜日(ただし3月20日は開館)、3月21日(火)
■アクセス/阪急池田駅より徒歩約10分
取材・文/池田充枝
1989年「サライ」