柔らかな粘土を自由に成形し、焼くことによって堅牢となる「やきもの」は、古くより世界各地で生み出され、人々の生活を豊かにしてきました。
大和文華館で開催の「アジアのやきもの」展では、文化交流の見えやすい中国、ベトナム、朝鮮、日本の窯で焼かれる陶質土器以降の優品を通して、アジアのやきものの展開をご紹介します。(2月20日~4月5日)
本展の見どころを、大和文華館の学芸部課長、宮崎ももさんにうかがいました。
「アジアのやきものは、やきもの技術の先進国であった中国を中心に展開します。
中国では、青磁、鉛釉陶、白磁、釉裏紅、青花、五彩といったやきものが次々と生み出され、周辺諸国に影響を与えました。
以下の「青花双魚文大皿」は、白色の素地にコバルト顔料で文様を描き、透明釉を掛けて焼く青花の名品です。青と白のコントラストが美しい青花の技術は、中国・元時代に景徳鎮窯で完成し、世界に影響を与えました。

アジア各地は中国の技術の影響を受けながらも、独自の特徴を持ったやきものを生み出します。ベトナムのやきものは、南方らしい甘やかな表現などに特徴が見られます。
中国に続いて青花を生産するようになったのがベトナムです。
特に15世紀には以下の「青花牡丹文大壺」のような濃厚な青花の作品が焼成されています。中国の青花と類似する一方で、磁胎ではなく半磁胎に白化粧している点やフリルのような花びらなど、文様が装飾的な点に特徴が見られます。


ベトナム 15世紀 大和文華館蔵
朝鮮半島のやきものは、異なる色の土を埋め込む象嵌技法が多く用いられている点や五彩が発展しなかった点などに独自の好みが見られます。以下の「青磁象嵌辰砂雲鶴文合子」では、白土と赭土(焼くと黒くなる)を象嵌して雲や鶴の文様を表し、さらに深紅色に発色する辰砂を部分的に施しています。

日本のやきものは、中国や朝鮮半島の技術の刺激を受けながらも、中世には素朴な焼締陶、桃山時代には大胆で伸びやかな茶陶が隆盛するなど、多様に展開しました。また、中国・ベトナム・朝鮮などのやきものを、独自の美意識をもって取り入れ、茶の湯の器として用いている点も特徴です。
以下の「黒織部沓茶碗」は、織部焼で好まれた楕円形にゆがんだ沓茶碗です。ゆがみや不完全さにも美を見出すのが、茶の湯の面白さであり、その美意識は、日本のやきものの展開と大きく関わりました。

アジアのやきものを並べることにより、各地のやきものの影響関係や、それぞれの特徴・美意識に注目します」
アジアのそれぞれの地で、それぞれの展開をみせるやきもの。それぞれの文化の様相を会場で見比べてみてください。
【開催要項】
アジアのやきもの
会期:2026年2月20日(金)~4月5日(日)
会場:大和文華館
住所:奈良県奈良市学園南1-11-6
電話:0742・45・0544
公式サイト:https://www.kintetsu-g-hd.co.jp/culture/yamato/
開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)
休館日:月曜日(ただし2月23日は開館)、2月24日(火)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照
取材・文/池田充枝











