文/鈴木拓也

画像はイメージです。

多くの人が、人生に1回は夢想する世界一周の旅。テレビでしか見たことのない、あの素晴らしい観光地の数々を訪ねられたら、どれほど幸せなことだろう……。

その夢を実際にかなえた1人が、小説家・旅行作家の「あさみ そう」さんだ。

結構な費用がかかるのは確実で、体力にも自信がない。おまけに何から準備していいかわからず、第一歩が踏み出せない。

50歳を目前に躊躇するあさみさんを、「いつ行く?」と背中を押した夫の存在は大きかった。そこから1年かけ準備し、1か月余りにわたる世界一周を決行。

旅先では、「毎日が驚きに満ちて、まるで子ども時代に戻ったように1日が長い」日々を満喫。「人生の最後に『世界一周をしたかった』と後悔することは永遠にないと気付いた時、深い感謝と喜びがわいた」という。

いまだ旅の興奮冷めやらぬあさみさんが、トラベルジャーナリストの橋賀秀紀さんと組んで上梓したのが、『ビジネスクラスで行く!50代からの世界一周旅行』(イカロス出版 https://books.ikaros.jp/book/b10151692.html)だ。

本書は、ゼロから準備を始め、世界一周旅行をスタートするまでのガイドブック。どのような内容か、その一部を紹介したい。

日数、予算、行き先をまず決める

世界一周ともなると、十分な準備期間が必要となる。あさみさんは、それに1年かけたが、少なくとも「6か月」の期間がすすめられている。

その間にすることは多い。最初に詰めるべきは旅行日数と予算。日数については、「国数×5日間+日本への往復3日+予備日」という計算式が目安となる。あさみさんは、この計算式どおりに7か国14都市を巡って38日間の旅となった。ただ、予備日がないと少し駆け足となる点は注意。

そして予算。航空運賃と宿泊費が大きなウエイトを占めるので、まずはここから。航空運賃については、世界一周航空券を使うのが前提となる(これについては後述)。宿泊費は、次のように書いている。

滞在費の安い国や安宿クラスは1日1万円、中堅ホテルクラスなら1日2~4万円、欧米など滞在費の高い国や高級宿クラスは1日5~6万円くらいと考え、それぞれ日数をかけると大体の滞在費が出る。(本書25pより)

そして、一番肝心の行き先の検討に入る。「世界一周をする」と決めた時点で、国はだいたい決まっているだろうから、それらをリストアップ。具体的に訪れたい都市、やってみたいアクティビティを、旅行ガイドブックなどを参考にしながら肉付けしていく。

ビジネスクラスが割安となる世界一周航空券

本書では、世界一周航空券が重要な要素とされており、詳細に解説されている。この券は、定義的には、「太平洋と大西洋を1回ずつ越える航空券」のこと。マイル数(または大陸数)や区間数といった制限の範囲内で、旅程の大枠をカバーできて便利だ。

この航空券は、スターアライアンス、ワンワールド・エクスプローラー、グローバル・エクスプローラーの3種類あり、それぞれ特徴がある。例えば、スターアライアンスは加盟するエアラインが25社もあり、アクセスできる都市が多い。また、マイル数によって価格が異なるため、いかに短距離で効率よく周遊できるかが、運賃を抑えるポイントになる。

運賃は、エコノミー~ファーストのクラスとマイルで決まる。一番高いのが、ファーストクラスで39,000マイル以内の1,504,800円、一番安いのが、エコノミークラスで29,000マイル以内の358,900円(2025年10月時点)。実際は、手数料、諸税、燃料サーチャージが別途かかり、これより数割増しとなるのだが、意外と安いと思われたのではないだろうか。共著者の橋賀さんは、「ビジネスクラスが割安」と解説を加えている。

通常、同じ区間のエコノミークラスとビジネスクラスの航空券の価格差は、3倍以上になることが多い。一方、世界一周航空券での価格差は2倍程度。そのため世界一周航空券では、ビジネスクラスのほうがエコノミークラスよりも「相対的に」割安といえる。
ちなみにファーストクラスは、通常購入しようとするとビジネスクラス以上に高価なのでさらに割安感がある。(本書115~116pより)

ビジネスクラスは、価格面以外の利点も見逃せない。あさみさんは、「フルフラットシートで休める場合も多く、体力を温存できるメリット」を指摘。降機してすぐに元気一杯に活動できるのは、特にきつめのスケジュールの場合、大きな恩恵となる。

生の体験談は必読

本書は、ハウツー的な情報だけでなく、あさみさんや一般の方々の体験記も盛り込んでいる。緻密な計画を立てても想定外は起こるもの。そのときの対応策のヒントとして参考になる。

あさみさんは、出発日になっても仕事が終わらず、海外から郵便を出すはめに。夫は1週間前から風邪が治っていない。ケニアでは、深夜に白タクドライバーにつきまとわれ、「泣きそう」になる。カッパドキアの投宿先では、水不足で水道が使えず困り果ててしまう。こうしたトラブルはあったものの、旅程はおおむねスムーズに運び、一生の思い出となる体験を得て帰国している。

50代になって世界一周旅行をしたのは、長谷川康子さんだ。このとき同行したのは、80代の母親、萬木(ゆるぎ)トヨ子さん。温泉好きのトヨ子さんの親孝行の旅という位置づけで、世界の温泉をめぐる内容とした。3週間かけての世界一周は、煩わしいこともなく満喫。そしてなんと、翌年にも世界一周旅行を実現させた。これによって康子さんは、「今この瞬間を生きることに集中するようになった」など、心境の大きな変化を実感したという。

* * *

世界一周旅行は、憧れの代名詞のようなもの。だが、憧れのままで終わるのは惜しいし、意外と実現性の高いものであることが、本書を読むとよく理解できる。「いつか行ければ……」から「いつ行くか」へのハードルを超えたいと思っているなら、読んでおきたい1冊だ。

【今日の人生に役立つ1冊】
『ビジネスクラスで行く!50代からの世界一周旅行』

あさみそう著、橋賀秀紀著
定価2200円
イカロス出版

文/鈴木拓也
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライターとなる。趣味は神社仏閣・秘境めぐりで、撮った写真をInstagram(https://www.instagram.com/happysuzuki/)に掲載している。

 

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