「倭(やまと)し麗(うるわ)し」と称賛された奈良には、「うまし」ものが満ちている。悠久の古都を散策した後は、この地に所縁(ゆかり)の食材をふんだんに用いた美味を堪能したい。

雄大な桜井の風景を見渡す店内で王道のフレンチを堪能する

メインダイニングからは、奈良の美しい風景や夜景を見渡せる。
「舌平目と奈良野菜 ヴァンジョーヌソース」。イタリアンパセリやディルなど地元の農家が栽培するハーブ、サクサクとして繊細なパートブリック(※小麦粉と塩、植物油を薄く延ばして焼くクレープ状の生地)が添えられる。

日本最古の道や神社が今も残り、日本文化の始まりの地と称される桜井市に、令和7年4月、食と宿が一体となったオーベルジュレストランが誕生した。『サンヴィ』という名は、Sens(感覚)×Vie(命)の造語で、「土地の恵みや文化を五感で味わってほしい」という願いが込められている。

供されるのは、昼夜ともに、クラシカルなフレンチのコース。アミューズから始まり、前菜、魚料理、肉料理、デセールと品格ある料理が続く。料理長は、「帝国ホテル大阪」で経験を積んだ浦辺大(ひろし)さん。『サンヴィ』と同系列の屋久島のリゾートホテルでも副料理長を務めた。

歴史ある地ならではの味

「奈良もフランスも同じように歴史を重ねた場所です。伝統フレンチの技法を用いて奈良食材を美しい一皿に昇華させることで、お客様にもこの地への興味や知識を深めていただきたい」と話す。
 
大和肉鶏や大和野菜、三輪素麺といった、そもそも力のある食材に創意を凝らすのが楽しいという。アミューズには地元の三輪素麺を用い、様々なアレンジで料理にする。冬は、ジャガイモのソースと自家製からすみを、素麺に添えた色鮮やかな一皿。一方で、舌平目で奈良野菜を包みこんだ魚料理は、白が際立つ清楚な盛り付け。スプーンを入れると十津川村のなめこなど色とりどりの冬野菜が現れる。

桜井市の名産品「三輪素麺」は、アミューズで必ず使う食材。少し固めに茹でて食感を楽しんでもらうという。
淡泊な舌平目に、ナメコやジロール茸(アンズタケ)、貝類の食感や風味が合わさる。ナッツやスパイス感のある黄ワインのソースで一層深い味わいに。コースは昼5500円〜、夜1万6500円〜。

レストランの窓外には、桜井市の豊かな緑とともに、奈良県を見渡す眺望が開けている。食事の後は、桜井市の名所散策にでかけるもよし、宿泊して奈良の銘木を取り入れた客室で寛ぐもよし。歴史や自然と向き合う充実を享受できる、特別な休暇になるに違いない。

浦辺料理長は長崎県の出身。「帝国ホテル大阪」で、14年間腕を磨いた後、屋久島の『sankara hotel & spa 屋久島』で副料理長を務めた。

AUBERGE de SENVIE

エントランスの正面には松と石組を配した中庭が広がる。

桜井市高家2217
電話:0744・42・0505
営業時間:12時〜13時30分、18時〜20時
定休日:月曜、火曜
交通:JR・近鉄桜井駅より車で約10分

取材・文/中井シノブ 撮影/伊藤 信、大道雪代

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