人生も五十路の坂にさしかかる頃になりますと、それまでの人生を振り返る機会も多くなるものです。そんな時、己の半生を言い表す言葉を探してみるのも一興ではないでしょうか? もしかすると、先人が残した言葉や名言の中に“言い得て妙”と思えるような言葉を見つけられるかもしれません。そして、その言葉からは、己が何を信条として生きてきたのかも見えてくるのではないでしょうか。
名前さえ知らなかった人物が残した言葉。その言葉が、自分が歩んだ人生と重なる“奇遇”を体験できるかも? さて、第38回の座右の銘にしたい言葉は「明日は明日の風が吹く(あしたはあしたのかぜがふく)」 です。
目次
「明日は明日の風が吹く」の意味
「明日は明日の風が吹く」の由来
「明日は明日の風が吹く」を座右の銘としてスピーチするなら
最後に
「明日は明日の風が吹く」の意味
「明日は明日の風が吹く」について、『⼩学館デジタル⼤辞泉』では、「明日はまた、別の成り行きになるので、くよくよするな、の意」とあります。年齢を重ねると、健康や家族、経済的な不安など、未来に対する心配事が増えることがあります。しかし、過度な心配はストレスを生み、心身の健康に悪影響を及ぼします。
「明日は明日の風が吹く」という考え方は、未来のことを心配しすぎず、今できることに集中することで、心の平穏を保つ手助けをしてくれます。シニア世代にとって、この言葉を座右の銘にすることで、心の安定を保ち、より充実した日々を送ることができるでしょう。
「明日は明日の風が吹く」の由来
江戸時代幕末から明治にかけて活躍した、歌舞伎狂言作者の河竹黙阿弥(かわたけもくあみ)が書いた『上総木綿小紋単地(かずさもめんこもんのひとえじ)』の中に「明日は明日の風が吹く」というセリフがあり、これが由来とされています。
また、マーガレット・ミッチェルによる長編小説をベースにした不朽の名作、『風と共に去りぬ』で主人公スカーレット・オハラの最後のセリフの原語(英語)は
「Tomorrow is another day.」
この日本語訳として「明日は明日の風が吹く」が、一躍有名になりました。直訳すると「明日はまた別の日」という意味です。この言葉は、どんなに困難な状況にあっても、明日になれば新しいチャンスが訪れるという希望を表しています。スカーレットの強い意志と不屈の精神を象徴するセリフです。
「明日は明日の風が吹く」と「Tomorrow is another day.」は、どちらも未来を心配しすぎず、今を大切に生きることを勧める点で共通していて、どちらも前向きな生き方を促すメッセージを持っています。
「明日は明日の風が吹く」を座右の銘としてスピーチするなら
「明日は明日の風が吹く」を座右の銘としてスピーチする際は、日常生活での具体的な例を交えながら「明日は明日の風が吹く」の重要性を伝えます。さらに聴衆が共感しやすいエピソードを取り入れることで、より効果的なスピーチとなります。以下に「明日は明日の風が吹く」を取り入れたスピーチの例をあげます。
今を生きることの大切さを伝えるスピーチ例
今日は私の座右の銘である「明日は明日の風が吹く」についてお話ししたいと思います。この言葉は、未来のことを心配しすぎず、今日できることに集中しようという意味を持っています。
私たちの人生には、予期せぬ出来事や変化がたくさんあります。例えば、私は以前、健康診断で少し心配な結果が出たことがありました。その時はとても不安になりましたが、「明日は明日の風が吹く」という言葉を思い出し、今できることに集中することにしました。食生活を見直し、毎日少しずつ運動を始めた結果、次の検査ではいい結果を得ることができました。
この経験を通じて、未来を心配しすぎるよりも、今を大切に生きることの方が大切だと実感しました。未来のことは誰にもわかりませんが、今日の行動が明日を作るのです。未来への過度な心配は手放しましょう。今を生き、今日を全力で楽しむこと。それが人生最大の知恵なのです。
最後に
「明日は明日の風が吹く」という言葉は、未来の不安を和らげ、今を大切に生きるための強力な指針です。シニア世代の皆さんも、この言葉を心に留め、日々の生活に取り入れてみてください。心の安定を保ち、より豊かな人生を送るための大きな助けとなるでしょう。
●執筆/武田さゆり
国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com