最近、パソコンやスマートフォンの普及により、⾃ら字を書く機会はめっきり減少してきました。その影響からか「読める、けれども、いざ書こうとすると書けない漢字」が増えていませんか? 以前はすらすらと書けていたのに、と書く⼒が衰えたと実感することもあります。
脳トレ漢字の記事を読みながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能⼒を⾼く保つことにお役⽴てください。
「脳トレ漢字」第226回は、「甲板」をご紹介します。「デッキ」と呼ばれることが多いですが、漢字で表記されることもよくあります。実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。
「甲板」とは何とよむ?
「甲板」の読み方をご存知でしょうか? 複数の読み方がありますが……
正解は……
「かんぱん」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「船の上部にあって、鉄板または木板を張りつめた広く平らな床。デッキ。かんぱん。」と説明されています。「甲板」には、「かんぱん」以外にも複数の読み方があり、「こうはん」「かんばん」「こういた」などがあります。
また、神社建築で鰹木(かつおぎ)を支えるために、棟に沿って渡されている長い厚板のことも「甲板」と呼ぶそうです。
「甲板」の漢字の由来は?
では、「甲板」に使われている漢字の成り立ちについて見ていきましょう。まず、「甲」には「こうら」「よろい」という意味があり、「板」は「薄く平らな材木」を意味します。
また、江戸時代には、弁才船(べざいせん、近世に使われていた商船)の三の間の上に、亀の甲羅のような形をした水密の板張りが設けられており、「甲板」と呼ばれていたそうです。現在使われている「甲板」は、これに由来するのかもしれません。
船にまつわることわざ
古代より、海を渡るために使用されてきた船。船に関することわざは数多くあり、有名なものでいえば「渡りに船(必要なものや条件が、たまたま具合よく揃っていること)」や「大船に乗る(信頼できるものに身を任せること)」などがあります。
ほかにも、予想外のところで発生する災難の方が恐ろしいことを意味する「船には水より火を恐る」や、指揮する人間が多すぎると物事の統制が取れなくなるという意味の「船頭多くして船山に上る」などが挙げられるでしょう。
また、身体や頭が前後に揺れる様子から、居眠りすることを「船を漕ぐ」といいますね。
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いかがでしたか? 今回の「甲板」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 英語圏では、自分が相手と同じく困難な状況に置かれていることを「in the same boat」と表現するそうです。
船にまつわることわざは、日本だけでなく外国にも複数存在するので、ほかにも調べてみてくださいね。
文/とよだまほ(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB
参考資料/『デジタル大辞泉』(小学館)
『日本国語大辞典』(小学館)