取材・文/ふじのあやこ
昭和、平成、令和と時代が移り変わるのと同様に、家族のかたちも大家族から核家族へと変化してきている。本連載では、親との家族関係を経て、自分が家族を持つようになって感じたことや、親について、そして夫や妻、子どもについて思うことを語ってもらい、今の家族のかたちに迫る。
*
生涯未婚率の指標とされる50歳時の未婚割合は年々上昇している。株式会社モデル百貨では、おひとりさまのお金の事情や本音についての調査(実施日:2023年12月22~25日、有効回答数:25~59歳の独身男女1000人、インターネット調査)を実施。調査では、独身者の56.9%がお金の余裕がないと感じているものの、「独身であることの理由に金銭面の影響はあると思いますか?」という問いに対して「独身であることと金銭的な理由に関係はない」と回答した割合は、男性は58.8%、女性68.2%にのぼった。「お金がないから結婚できない」ということが話題になることが多いが、そうだとは言い切れないことがわかる。
今回お話を伺った温子さん(仮名・44歳)は、個人事業主としてOLの平均年収の2倍以上を稼いでいる。また、貯金も老後の貯えとして一時話題になっていた金額は優に超えているという。結婚しなかった理由は他にある。
20代は仕事がすべてだった
温子さんは両親と2歳上に兄のいる4人家族。家族で年に数回は国内旅行に出かけ、両親の仲も良好。温子さんは「特に家族について、大きな問題もなく、話せるような出来事がない」という。
「普通の中流家庭です。父親は平日に仕事で遅くなることはあったけど、休日には一緒に遊んでくれたし、母親は近所にパート勤務をしていて、私や兄が学校から帰ってくるまでには帰宅してご飯を用意してくれていました。進路について反対されることもなかったし、金銭面などに何か問題があってやりたいことを諦めたこともない。大きな事故もなく、今も家族全員健在です」
温子さんは大学在学中に友人の紹介でフリーペーパーを作っている会社でアルバイトを始め、そこで編集の仕事に興味を持ち始める。就職活動では出版社は全滅したが、編集プロダクションに就職。そこで経験を積み、経験者として出版社に業務委託契約で採用される。
「自分の名前が入った原稿が雑誌に載ったときの喜びが忘れられなくて、20代は本当に仕事ばかりしていました。20代なので多少なら体に無理もきいたから、仕事で終電を逃したときには朝まで飲みに行って、そのまま寝ずに職場に戻ることもありましたね。月に2~3日しか休みがないときもあったけれど、全然苦ではなかったんです」
業務委託契約は、健康診断の対象ではなく、温子さんは自ら健診に行くこともなかった。ちょっと調子が悪かったとしても、少し休めばよくなると思っていたという。
「私は小さい頃から瘦せ型で、生理が来るのが周囲と比べるとかなり遅くて、中学生だったんです。そのせいなのか、生理が重いことも多かった。長時間使用するタイプ(夜用)のナプキンを昼間も使わないと間に合わないほど量が出ることも昔から多くて、大人になって出血が続いていたこともあったけれど、いつものことだと軽視していました」
【診断は「上皮内がん」。次ページに続きます】