相続する資産の中に株式があった場合、どのように相続したら良いのか悩まれる人も多いのではないでしょうか? 遺産分割や名義変更などの手続が必要となりますが、具体的な内容を理解しておくと慌てることなく相続することが出来るでしょう。今回は、株式を相続するときの流れやかかる費用などについて解説いたします。
100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。
目次
株式を相続するときの流れ
相続する株式の名義変更
株式の相続にかかる費用
まとめ
株式を相続するときの流れ
株式を相続する場合の流れについてみていきましょう。
1.株式の有無と明細を調査する
まずは、株式を保有しているかを調査します。証券会社からの取引報告書などの郵便物や、配当金の預金口座への入金履歴などから株式の保有を確認することが出来ます。株式は平成21年1月の株券電子化により、証券会社等にて電子情報として管理されていますが、株券を自宅や金融機関の貸金庫で保管しているケースもありますので、注意が必要です。
保有しているか分からない場合には、「証券保管振替機構」(通称:ほふり)に問い合わせると、被相続人(亡くなった人)が取引していた証券会社を教えてもらうことができます。株式の保有が確認出来たら、取引のあった証券会社に「残高証明書」を発行してもらい、死亡日時点で被相続人が保有していた株式の銘柄名や、その数量、価格(株価)を確認します。
非上場株式の場合は、自力での調査が困難です。親族や友人関係に会社経営している方がいる場合には、その会社の株主構成を聞いておきましょう。保有している場合、株価の評価については会社の決算書等で確認しますが、専門家である税理士に相談することをおすすめいたします。
2.遺産分割協議をする
遺産分割協議で、相続人の誰がどの株式を相続するかを決めます。その際、未受領の配当金の受取方法についても、取り決めておくと良いでしょう。遺産分割協議が成立して取得者が決定するまでは、株式は相続人全員の共有になるため、株式の譲渡など勝手に処分することはできません。
遺産分割協議が成立しない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てて協議し、調停も成立しない場合には審判に移行して、誰が株式を相続するかを決定することになります。
3.名義変更
遺産分割協議で誰がその株式を相続するかが決まったら、証券会社に問い合わせて名義変更をします。株式を取得する相続人が証券口座を保有していない場合には、新たに証券口座を開設してから名義変更する必要があります。非上場株式の場合は、株式の発行会社と直接やりとりして名義を書き換えることになります。
相続する株式の名義変更
相続する株式の名義変更について解説します。
遺産の分割方法が確定したら、株式の名義変更ができるようになります。上場株式の場合は、証券会社で名義変更手続きを行い、株式を相続する相続人の証券口座に株式が移されます。相続人が証券口座を持っていない場合は、口座開設から始めなければなりません。
名義変更に必要な書類には、下記のようなものが挙げられます。
・名義変更依頼書
・被相続人・相続人全員の戸籍謄本
・遺産分割協議書
・相続人全員の印鑑証明書
必要書類は証券会社によって異なりますので、詳細は各証券会社に問い合わせる必要があります。
上場株式の名義変更
上場株式の名義変更を行なう場合、被相続人が取引している証券会社・信託銀行に相続人の証券口座を開設したうえで、指定された「株券名義書換依頼書」を提出します。この際、まずは相続人の証券口座に被相続人の証券口座から株式が移管され、次いで株式自体の名義が書き換えられます。
非上場株式の名義変更
非上場株式の名義変更では、株式の発行会社に連絡して必要書類や名義変更の手順を確認して名義変更します。
譲渡制限付株式の名義変更
非上場会社によっては、自社株の売却を制限していることも少なくありません。「相続」や「遺産分割」は問題なく行なえますが、株の現金化を検討している場合、売却を認めてもらえるかどうか、あるいは株式を会社に買い取ってもらえるかどうかを相談する必要があります。
株式の相続にかかる費用
株式の相続にかかる税金や、費用はどのようなものがあるのでしょうか? 株式を売却までするとなると、相続税以外に譲渡所得税や(証券会社の)手数料もかかることになります。
1.相続税
原則として、相続発生日(死亡日)の終値が相続税評価額となり、この金額を基に相続税を算出することになります。上場株式の場合、相続発生日(死亡日)の終値は、残高証明書に記載されていますが、公開されている情報なのでインターネットで調べることもできます。
非上場株式の場合は、上場株式と異なり、相続発生日(死亡日)の株式発行会社の状況によって個別に株価が算定されることになります。株価の算定方法は、経営者側が取得する場合「純資産価額方式」か「類似業種比準方式」、少数株主側が取得する場合は、「配当還元方式」といった方式によって評価されます。
2.譲渡所得税等
株式を売却すると、譲渡益に対して相続税とは別に、譲渡所得税がかかります。譲渡所得税額は、売却代金から取得費と手数料を差し引いた「譲渡所得」に対して、税率約20%をかけた数字となります。取得費とは、被相続人による株式の購入代金のことで、わからない場合は売却代金の5%とみなすことになります。
相続税の申告期限から3年以内の売却であれば、売却した株式の分の相続税額を取得費に加算することが可能です。
3.手数料
株式を売却する際には、証券会社の手数料がかかることになります。
まとめ
株式の相続は、被相続人が保有しているかどうか調査することが一番困難なことかもしれません。財産の確認は、家族といえどもしづらい場合もありますが、生前から株式を保有しているかどうか確認できていれば、手続きがよりスムーズになりますので、一度確認してみてはいかがでしょうか?
資産運用や投資のアドバイスは、今や銀行などの金融機関の窓口でもさかんに行なわれています。同時に、インターネット上でもYouTubeやSNSを通じて色々な人がそれぞれの立場から投資術などを発信しています。しかし、それらのアドバイスは本当にあなた自身に適したものなのでしょうか?
さまざまな金融商品が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。
●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)
株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
問い合わせ先:03-6403-5390(株式会社SMILELIFE project)
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