近年増えている「家族婚」は、少人数で温かみのある結婚式として注目されています。親族だけで行なうこのスタイルには、従来とは異なるマナーや準備の配慮が求められます。子どもの幸せを願う親として、伝統を大切にしつつ、現代の形式にもしっかり対応したいところ。

この記事では、親世代が安心して子どもの家族婚をサポートできるよう、実践的な知識や心得を解説します。

目次
家族婚とは? 少人数の結婚式が選ばれる背景
家族婚における親の役割と配慮
少人数の結婚式で注意したい作法と配席
現代の家族婚でよくある誤解と注意点
最後に

家族婚とは? 少人数の結婚式が選ばれる背景

近年は、大切な人たちだけで心のこもった時間を共有するスタイルである「家族婚」が注目されています。親としては戸惑う場面もあるかもしれませんが、その背景を理解することで、より自然なサポートが可能になります。

家族婚とはどのような結婚式か?

家族婚とは、新郎新婦とその両親・兄弟姉妹・祖父母など、ごく近しい親族のみで行なう小規模な結婚式を指します。

参加者は10人前後であることも多く、会場もレストランや料亭、自宅、宿泊施設など、肩ひじ張らず落ち着ける空間が選ばれます。家族婚は、結婚式というよりも「家族行事」のような温かさがあります。

少人数を選ぶ背景にある考え方とは?

結婚式の規模が小さくなる背景には、いくつかの事情が重なります。

まず、費用や準備にかかる負担をできるだけ抑えたいという現実的な考えです。また、招待する範囲を限定することで、「心から祝ってほしい人たちと穏やかに過ごしたい」という意向を実現しやすくなります。新型感染症の影響や、ライフスタイルの変化を通じて「見栄や慣習に縛られず、価値観に合った式を」という意見も見受けられます。このような背景を知ることで、親としての理解が深まるでしょう。

「派手にしない結婚式」に込められた思い

小規模な結婚式は、「簡素化の象徴」と捉えられがちですが、当人たちにとっては「本当に大切にしたいことだけに集中したい」という意図が込められています。

形式を減らすことで、時間的・精神的なゆとりが生まれ、家族や親族との時間を重視できます。そうした思いに目を向けることで、従来の披露宴とは異なる価値が見えてくるでしょう。

家族婚における親の役割と配慮

家族婚では参列者が限られるため、親のふるまいや準備への関わりが全体の雰囲気に影響します。子どもたちが思い描く式を尊重しながらも、親としてできる関わり方にはどのような形があるのでしょうか?

ここでは、準備から当日まで、新郎新婦の負担にならないサポートと配慮のあり方を考えてみましょう。

準備段階での柔らかな関わり方

式の規模が小さくても、進行や会場の準備にはさまざまな決定事項があります。親として、必要以上に介入しすぎないことが前提ですが、本人たちから相談があった場合には、助言できる体制を整えておくことが大切です。

たとえば、招待客の範囲について親族間の意向を調整したり、衣装や会場に関して地域の慣習を伝えることなどが一例です。「新郎新婦に任せるけれど、何かあれば相談に乗る」という姿勢が信頼につながります。

当日の振る舞いが式全体の印象を左右することも

少人数の場では、親の立ち居振る舞いが自然と目に入りやすいものです。過度に目立たず、場の雰囲気を見守ることを意識すると、式の空気が穏やかに保たれます。

受付や着席時の案内など、細やかな気配りが必要な場面もあるため、事前に式の進行内容を子どもたちから聞いておくと安心です。「おもてなし役」という意識を持ちながらも、主役はあくまで子どもたちであることを心に留めておくと、ちょうどいい距離感が保たれます。

親族や参列者への配慮も求められる

家族婚では、親戚との距離が近くなるため、普段あまり会わない人とも直接やりとりをする機会が増えます。

お祝いの言葉を受けた際には丁寧に感謝を伝える、座席の調整が必要なときにはさりげなく動くなど、目立たないながらも場を整える姿勢が大切です。

少人数の結婚式で注意したい作法と配席

人数を絞った結婚式では、たとえ親族だけの集まりだとしでも、最低限のマナーや座席の配慮は大切です。ここでは、少人数ならではの作法のポイントや、親として気を配りたい配席の考え方をご紹介します。

配席における基本の考え方と実情

伝統的な配席では、新郎新婦に近い位置が「上座」とされ、目上の方を優先するのが通例です。ただ、家族婚のような少人数の式では、形式よりも「会話のしやすさ」「過ごしやすさ」を重視する傾向があります。

たとえば、祖父母の体調に配慮して入口に近い席を選んだり、兄弟姉妹と近くに座ることで自然な会話が生まれるように工夫したりと、柔軟な対応がとられます。親としては、形式と実用のバランスを見ながら、本人たちの意向を尊重することが大切です。

席札や案内に込められる気配り

少人数だからこそ、席札のメッセージや案内のトーンが式の雰囲気に影響します。ゲストそれぞれに向けた短い一文があるだけでも、心のこもった印象につながりやすくなります。

案内の役割を担う親族がいる場合には、親の声掛けで場が和らぐこともあります。受付でのやりとりや誘導にあたるときも、丁寧な言葉選びと表情を意識することが大切です。

振る舞いは「自然さ」と「節度」の両立を意識

招待客の顔ぶれが限られる場では、話し方や振る舞いが印象に残ります。親として「場を盛り上げよう」と意識しすぎるあまり、話しすぎたり介入しすぎたりすることには注意が必要です。

静かに笑顔で見守る姿勢が、式全体の落ち着きにつながることもあります。会食の際の乾杯やあいさつのタイミングでは、長すぎず、流れを保つことを意識しましょう。

親として気をつけたい「気づかれない配慮」

ゲストの人数が少ないほど、目が届きやすく、些細な不備も目立つことがあります。トイレの場所を尋ねられたときの案内、寒暖への配慮、子ども連れの方への一言など、小さな気遣いが式全体の印象を左右する場面も見受けられます。

表立った動きではなくても、自然なかたちで動けるよう準備しておくと、親としての安心感にもつながるのではないでしょうか。

現代の家族婚でよくある誤解と注意点

家族婚は自由で穏やかな雰囲気が期待される一方で、準備や進行の中で誤解が生じる場面もあります。親として気づきにくい盲点に目を向けておくことで、思わぬすれ違いを防ぐ手がかりになるでしょう。

ここでは、実際に起こりやすい誤解と、その予防の工夫を整理してご紹介します。

親族の招待範囲に関するすれ違い

「誰を呼ぶか」について、親子間で認識の差が生まれやすい場面があります。親戚づきあいが深いご家庭であれば、「呼ばないと失礼にあたるのではないか?」と不安を抱くのも珍しくありません。

そのようなときは、両家の希望や親族構成を確認しながら、お互いの意見を共有する場を設けると、後々の誤解を防ぎやすくなります。配慮を求める場面では、一方的な主張にならないよう、言葉の選び方にも注意が必要です。

省略する項目にも「説明」は必要

家族婚では、招待状や引き出物などを省略するケースも見受けられます。しかし、出席する側にとっては「事前に案内がなかった」「手土産はないのか」と感じられるかもしれません。

何かを省略する場合は、その理由や意図をやわらかく伝えておくと、相手にとって安心材料になります。親としては、伝えづらい内容について子どもが迷っているときに助言してあげましょう。

お祝いの受け取り方に差があることも

少人数の式では、形式にとらわれないお祝いをいただくことがありますが、その際、お礼の仕方に戸惑う新郎新婦もいらっしゃいます。

親の立場から、「何らかのかたちで感謝を伝えるのが丁寧な印象につながる」といった考えを伝えると、当人たちの判断にも役立ちます。言葉を添えることの大切さは、世代を超えて伝えていける内容のひとつです。

最後に

少人数の家族婚は、親にとっても一生の記念に残る時間です。伝統を大切にしながらも、現代のスタイルに柔軟に寄り添い、子どもたちの門出を温かく見守る姿勢が、何より心に響く支えになります。

監修/トップウエディング https://top-wedding.jp/

構成・執筆/吉川沙織(京都メディアライン)
https://kyotomedialine.com FB

 

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