夏に北欧を旅しようと思ったら、ノルウェー沿岸のフィヨルド観光をはじめ、自然景観を楽しむコースを選ぶのが一般的かもしれない。たしかにその雄大な光景は魅力的なのだが、折しも世界中から大勢の観光客が大挙する時期だ。会場や陸上の景観ポイントは、とても混雑することになる。
北欧の魅力は、それらの有名な観光地だけに集約できるものではない。北国に栄えた王国やバルト海沿岸の商業都市、田舎の風景などにも、北欧ならではの魅力がちりばめられているのだ。
そこで今回は、北欧の知られざる3つの街をご紹介したい。日本ではほとんど知られていないが、どれも珠玉の美しさをたたえた街である。
それぞれの街の特徴と魅力をご紹介いただくのは、ワールド航空サービスの北欧担当、佐藤和成(東京支店)さんだ。
■1:オーレスン(ノルウェー)
ノルウェーのムーレ・オ・ロムスダール県に位置するオーレスンは、大きな障壁を乗り越えてきた港町だ。なにしろ1904年1月23日に大火に見舞われ、町全体が消失してしまったのだから。
結果的に多くの人々の助けを得て1907年に生まれ変わるが、その後の街のイメージを決定づけたのは、再建に尽力した人間のひとりに若きノルウェー人建築家がいたことだった。彼がアール・ヌーヴォーの影響下にあったため、再建後の町はアール・ヌーヴォー様式の建築物で彩られることになったのである。
そのため、西欧とは趣の異なる、いかにも北欧らしいパステルカラーの町並みが印象的だ。温かみがあってかわいらしく、「訪れてよかった」と実感できる親しみやすさにあふれているのだ。
「町を見下ろすアクスラ山からの眺めもおすすめです。沿岸部の島々と海に囲まれた街並みの景観はまさに絶景のひと言!」(ワールド航空サービス佐藤さん)
■2:ヴィスビー(スウェーデン)
ヴィスビーは、ゴッドランド島に位置するスウェーデン南東部の町。町の起源は10世紀ごろと古く、その当時から残る遺跡で知られている。バルト海のちょうど中心というロケーションにあるため、12〜14世紀にはハンザ同盟の交易の要衛として栄えた。
全長3.5キロにわたる城壁に囲まれており、北欧とドイツ風のテイストが混ざり合った独特の風情が魅力。その美しさから、世界遺産にも登録されている。また「バラの町」との異名を持つとおり、町のいたるところにバラの植え込みや庭園が。7月ごろの時期は、特に美しい光景を見ることができる。
夢の世界に足を踏み入れてしまったかのような環境であるだけに、宮崎駿監督作品『魔女の宅急便』に登場する「コリコ」という町のモデルになったというエピソードにも十分納得できることだろう。
「特に朝夕の時間帯は観光客も少なく、物語の世界に迷い込んでしまったかのような中世の雰囲気に浸ることができます。」(佐藤さん)
■3:オーフス(デンマーク)
デンマークの中心部であるユトランド半島の東岸に位置するオーフスは、デンマークで2番目に大きな都市である。町のシンボルとして高くそびえるオーフス大聖堂、デンマークを代表する建築家であるアルネ・ヤコブセンの手による市庁舎など、歴史的な建造物が多く存在することでも有名。
中世から引き継がれた伝統と、モダンな建造物がちょうどいいバランスで共存しており、文化都市としての活気に満ちている。
ここオーフスでの夏場最大のイベントは、8 月下旬から9月初旬にかけて開催される北ヨーロッパ最大級の芸術祭「オーフス・フェスティバル(Aarhus Festuge)」。音楽、映画、デザイン、演劇など多方面にわたる大規模な催し物だ。
「周辺にも見どころが多く、先史時代からヴァイキング、そして北欧モダンまで、デンマークの様々な魅力にふれることのできる町です。」(佐藤さん)
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以上、北欧の知られざる3つの美しい街をご紹介した。夏の北欧ならではの心地よさを体験したいのなら、この3つの街を訪れてみてはどうだろう。旅行客であふれた観光地とは異なる魅力を、きっと実感できるだろう。
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文/印南敦史