NISA(少額投資非課税制度)で投資をする場合、「成長投資枠(旧一般NISA)」と「つみたて投資枠(旧つみたてNISA)」のどちらの枠で投資したら良いのか、迷う人も多いのではないでしょうか? 今回は「旧一般NISA/成長投資枠」と「旧つみたてNISA/つみたて投資枠」の違いや、選び方のポイントについてみていきましょう。
100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。
目次
「旧一般NISA/成長投資枠」と「旧つみたてNISA/つみたて投資枠」の基礎知識
「成長投資枠(旧一般NISA)」と「つみたて投資枠(旧つみたてNISA)」の違いとは
成長投資枠とつみたて投資枠、どちらにすべき?
まとめ
「旧一般NISA/成長投資枠」と「旧つみたてNISA/つみたて投資枠」の基礎知識
2023年までの旧NISAと、2024年からの新NISAでは名称が異なりますが、基本的には「2023年までの一般NISAが、2024年からの成長投資枠」「2023年までのつみたてNISAが、2024年からのつみたて投資枠」というように、それぞれに対比しているものと見ることが出来ます。それぞれの基礎知識についておさらいしておきましょう。
<旧一般NISA/成長投資枠>
対象の金融商品
株式や債券やリート(不動産投資信託)などの、投資信託や上場株式・ETF
買付方法
投資可能枠の範囲内で随時買付可能。定期的な積立設定をすることも可能
年間投資可能枠
旧一般NISA:120万円
→成長投資枠:240万円
非課税保有限度額
旧一般NISA:600万円
→成長投資枠:1,200万円(つみたて投資枠に600万円以上投資すると、合わせて1,800万円の範囲内となる)
非課税保有期間
旧一般NISA:5年
→成長投資枠:無期限
<旧つみたてNISA/つみたて投資枠>
対象の金融商品
株式に投資する投資信託やバランスファンド
買付方法
非課税投資枠の範囲内で、定期かつ継続的な買付
年間投資可能枠
旧つみたてNISA:40万円
→つみたて投資枠:120万円
非課税保有限度額
旧つみたてNISA:800万円
→つみたて投資枠:成長投資枠と合算して1,800万円まで
非課税保有期間
旧つみたてNISA:20年
→つみたて投資枠:無期限
「成長投資枠(旧一般NISA)」と「つみたて投資枠(旧つみたてNISA)」の違いとは
前項であげた項目を、図表1にまとめました。
<図表1>
ここでは、「成長投資枠(旧一般NISA)」と「つみたて投資枠(旧つみたてNISA)」の違いについて詳しくみていきましょう。
対象の金融商品
「成長投資枠(旧一般NISA)」の投資対象商品は、「つみたて投資枠(旧つみたてNISA)」の対象商品よりも幅広いものとなっています。「つみたて投資枠(旧つみたてNISA)」は、投資の初心者でも始めやすいように、金融庁が定める基準をクリアした、長期・積立・分散投資に適していると考えられる商品が準備されています。
買付方法
「成長投資枠(旧一般NISA)」は、随時買付出来るのに対して、「つみたて投資枠(旧つみたてNISA)」は定期かつ継続的に買付する必要があります。
年間投資可能枠
年間投資可能枠は、旧NISAと新NISAでは異なりますが、「成長投資枠(旧一般NISA)」の方が、「つみたて投資枠(旧つみたてNISA)」に比べて大きいのが特徴です。
非課税保有限度額
2023年までは、旧つみたてNISAの限度額800万円と旧一般NISAの600万円よりも大きかったのですが、2024年からは成長投資枠とつみたて投資枠の併用が可能となり、非課税保有限度額は合計で1,800万円となりました。そのうち、成長投資枠での投資が1,200万円まで可能とされているので、成長投資枠での投資をつみたて投資枠より大きくすることができます。
非課税保有期間
旧NISAでは、旧一般NISAの5年間に対して、旧つみたてNISAの非課税保有期間が20年間と長くなっていました。これは長期間積立を行なうことで資産を積み上げていくことを目的としていたからです。新NISAでは、成長投資枠とつみたて投資枠ともに、非課税保有期間が無期限となったため、違いはなくなりました。
成長投資枠とつみたて投資枠、どちらにすべき?
これから、NISA口座を利用して投資を始める人は、成長投資枠とつみたて投資枠での買付となります。どちらの枠で投資をしたら良いのか迷う人もいるかもしれません。
成長投資枠に向いている人
成長投資枠に向いている人の特徴は、次のとおりです。
まとまった資金がある人
一括でまとまった資金を投資できる人は、一括投資(スポット購入)ができる成長投資枠が向いているといえます。積立による投資よりも、高い複利の効果を期待することが出来るため、成長投資枠を利用して一括投資すると良いでしょう。
個別株式または債券や不動産に投資する投資信託などに投資をしたい人
国内外の個別の株式に投資をしたい人は、成長投資枠で投資します。また、つみたて投資枠では取り扱われていない国内外の債券ファンドや、REITと呼ばれる不動産投資信託などを使って、分散ポートフォリオ(資産配分)をもとにした長期投資をしたい人は、成長投資枠を活用することになります。
つみたて投資枠に向いている人
つみたて投資枠が向いている人の特徴は、次のとおりです。
積立投資で資産形成をしたい人
つみたて投資枠は、定期かつ継続的な買付をしていくため、老後の生活資金や子どもの教育資金など、まとまった資金をこれから準備したいと考えている人は、つみたて投資枠で積立投資をすると良いでしょう。
投資の経験が浅く金融商品を選ぶのに慣れていない人
投資の経験があまりなく、投資する銘柄選びに自信がない人も、つみたて投資枠が向いていると考えられます。ただし、つみたて投資枠の対象商品数は、金融機関によって異なりますが数本〜200本弱と限られており、またその種類も株式に投資する投資信託に偏っています。分散投資による長期積立投資をするためには、バランスファンドのなかから自分に合ったものを選択する必要があります。
成長投資枠の限度枠を超える金額を投資したい人
1,200万円の成長投資枠の限度額を超える金額を、NISA制度を使って投資したい場合には、つみたて投資枠を利用することになります。この際も、つみたて投資枠の取扱商品に制限があることから、全体の分散ポートフォリオのバランスに気をつけながら積立設定する必要があります。
まとめ
今回は、「旧一般NISA/成長投資枠」と「旧つみたてNISA/つみたて投資枠」との違いについてみてきましたが、いかがだったでしょうか? NISAは、資産運用する人にとって必須アイテムと言えますが、投資にはリスクがあります。
自分のリスク許容度(元本割れをする可能性をどの程度まで許容できるか)に合わせて、投資をすることが重要です。また、何のために投資をするのか、自分のライフプランを確認しながら投資可能額の範囲で行なっていく必要があります。
資産運用や投資のアドバイスは、今や銀行などの金融機関の窓口でもさかんに行なわれています。同時に、インターネット上でもYouTubeやSNSを通じて色々な人がそれぞれの立場から投資術などを発信しています。しかし、それらのアドバイスは本当にあなた自身に適したものなのでしょうか?
さまざまな金融商品が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。
●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)
株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
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