「あれ? なんて漢字だったっけ」と悩むことが多くなっていませんか? 少しだけ思い出す努力をしてみるものの、結局は「まあ、いいか」と諦めることもあったりして、記憶の衰えを実感することもあるのではないでしょうか? しかし、思い出すことが記憶力の鍛錬につながると言われています。
「脳トレ漢字」第182回は、「惚ける」をご紹介します。漢字で表記されると一気に難しくなりますが、日常会話でもよく使う言葉です。実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。
「惚ける」の正しい読み方とは?
「惚ける」の読み方をご存知でしょうか? 「ほける」ではなく……
正解は……
「とぼける」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「わざとしらないふりをする。そのことに気づいていないようにふるまう。しらばくれる。」と説明されています。「白を切る」と言い換えることもできる「惚ける」。サスペンスドラマなどで、よく耳にする言葉ではないでしょうか?
主に、「知っているのに知らないふりをすること」という意味として使われますが、「年を取って老いぼれる様子」を指すこともあります。
「惚ける」の漢字の由来は?
「惚(ほ)れる」という言葉にも使われている、「惚」という漢字。「心」を表す「りっしんべん」と、ぼんやりするという意味が含まれる「忽」が合わさることで、「心を奪われてうっとりする」「うっかりする」という意味として使われるようになったのではないでしょうか?
「かまとと」の語源
わざと知らないふりをするという意味の「惚ける」。似たような意味を持つ表現の一つに、「かまとと」が挙げられます。「かまとと」とは、知っているのに知らないふりをして、純粋ぶるという意味です。漢字で表記すると「蒲魚」になる、かまとと。江戸時代から使われている言葉であることをご存知でしょうか。
「蒲」は「かまぼこ」のことで、「とと」は魚を意味する幼児語です。江戸時代、遊女がうぶなふりをするために、「このかまぼこは、ととから出来ているの?」と聞いたことが、「かまとと」の由来であると考えられています。
大人なら誰でも知っている常識をあえて尋ねる点もそうですが、魚を幼児語で「とと」と言う点も、少し媚びているような感じがしますね。
***
いかがでしたか? 今回の「惚ける」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 知らないふりをすることである「惚ける」。似たような意味を持つ「かまとと」には、面白い由来があることも分かりました。
意外な由来を持つ言葉は多くあるため、調べることで新たな発見ができそうですね。
文/とよだまほ(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB