正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのか、疑問を感じることが増えていませんか? 適当に漢字を使ってしまい、気付かないところで「恥をかいている」ということがあるかもしれませんね。
Google 先生やデジタルデバイスの出現により、便利になった反面、情報の中身については十分な吟味が必要な時代になっております。あなたの“漢字の知識”は確かでしょうか? もう⼀度、確認しておいても良いかもしれません。
「脳トレ漢字」第172回は、「箝口」をご紹介します。「黙る」という意味を持つ「箝口」。ニュースや新聞などで、よく使われている表現です。実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。
「箝口」とは何とよむ?
「箝口」の読み方をご存知でしょうか? 「箝」という漢字が難しいですが……
正解は……
「かんこう」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「口をつぐんでものを言わないこと」「他人にものを言わせないこと」と説明されています。日常会話ではなかなか耳にすることがない「箝口」。口外することを禁止するという意味として、ニュースの報道や新聞などで、主に使用されています。
また、「箝」という漢字自体に、黙る・発言させないといったニュアンスが含まれているそうです。そのため、「口を箝(かん)する」と表現されることもあります。
「箝口」の漢字の由来は?
「箝」という漢字は、首枷(くびかせ)の形をもとに作られたものであると言われています。主に、家畜を管理する際に使われていたものですが、罪人を拘束する際にも用いられるようになりました。首枷をつけられると、自由に身動きできなくなります。
そのため、「発言しなくなること」「相手から発言の自由を奪うこと」という意味としても、この漢字が使われるようになったと考えられるでしょう。
古代中国の王朝・周の教訓
口をつぐむという意味を持つ「箝口」。古代中国では、「箝口」に関係する教訓が見られます。春秋戦国時代が始まる前、中国では周という王朝が栄えていました。その、周に関して記された『逸周書』の中には、「賢智は口を箝し、小人は舌を鼓(こ)す」という記述があるのです。
これは、「賢い者は余計なことを語らず、品性や知性が低い者ほど饒舌である」という意味です。「沈黙は金、雄弁は銀」や「能ある鷹は爪を隠す」などの慣用句と、同義語であると言えるでしょう。余計なことを語らない方が良いという意味を持つ慣用句は、ほかにも複数あります。
人間関係を良好に保つためにも、むやみに自分について語るのは、避けるべきなのかもしれませんね。
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いかがでしたか? 今回の「箝口」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 「箝口」には、口をつぐむ・相手に発言させないという意味があることが分かりました。饒舌なのは決して悪いことではありませんが、時には発言を控えるということも大切なのかもしれません。
文/とよだまほ(京都メディアライン)
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