霧島の大自然を表現した繊細かつ大胆な黒の世界
透明度の高いクリスタルガラスに黒い色ガラスが凛々しい切子グラスは、繊細なカットの中に重厚感ある輝きを持ち合わせる。手がけたのは、「美の匠 ガラス工房弟子丸」の切子職人たち。デザインを考案した社長の弟子丸努さんは、幕末動乱の中で途絶えた薩摩切子の復興に携わり、その後、世界で初めての“黒い薩摩切子”を世に出した人物である。
「薩摩切子の伝統的な技法に、新たな手法を組み込んだのが霧島切子です。黒の色ガラスは、黒文化の多い鹿児島を象徴する漆黒の文様。そして、霧島を潤す豊かな山水をクリスタルガラスで表現しました」と、工房長で切子師でもある下簗友太さんは語る。
切子細工は、クリスタルガラスの上に色ガラスを被せた「色被せガラス」に、刃物の目の粗さが異なる10種類のグラインダーを巧みに使い分け、緻密に削りを入れる。
「グラスの側面には、八角形の籠の目の中に十六弁の菊の花が表現された『八角籠目に十六菊文』の組み合わせと、八角形の中に丸い穴が空いたような『玉カット』を交互に4か所入れました。また、上部を一周する黒い帯のようなあしらいには、砂を高圧で吹きかけて削る『サンドブラスト』の手法を取り入れ、細かい曲線を繊細に仕上げています」(下簗さん)
漆黒に煌めく贅あるグラス。特別な美酒を注ぎ、酔いしれたい。
【今日の逸品】
霧島切子タンブラー「BLACK LINE」
弟子丸
82,500円(消費税込み)