ドラッグストアで陳列されていて、よく目にする漢方薬。「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの?」と思っている人も多いのではないでしょうか。
そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。第81回のテーマは、「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の薬剤師、碇 純子さんに教えてもらいました。
防風通聖散とは?
まずは、防風通聖散の効能・効果や基本的な飲み方をご紹介します。
1.効能・効果
防風通聖散は、体にたまった余分な熱を冷ます「清熱(せいねつ)」や便通を促す「瀉下(しゃげ)」などの作用がある漢方薬です。
体に熱がたまると、体内の水分が消耗されて便がかたくなり、老廃物を排出しづらくなります。防風通聖散は、体の熱を冷まし老廃物の排出を促すことで、便秘のほか、高血圧に伴うむくみや動悸、肩こり、のぼせなどの症状の改善を目指します。
また、防風通聖散は、脂質代謝を上げて脂肪を燃焼させる効果も期待できるので、ダイエットに使われることでも有名です。
2.基本の飲み方
防風通聖散は基本的に、食前(食事の約30分前)か食間(食後から約2時間後)に水またはぬるま湯で飲みます。空腹時に飲むほうが吸収がよく、効き目がよく出るとされています。
ただし、効果を実感するためには、きちんと決められた量を守り、正しく服用することが大切です。
もし飲み忘れてしまったときは、食事の時間に関係なく、気がついた時点ですぐに1回分を服用しましょう。次の服用までは、1日3回の場合は4時間以上、1日2回の場合は6時間以上あけます。
一度に2回分をまとめて飲むのは、体に負担がかかり、副作用が出る可能性が高くなるのでやめましょう。
防風通聖散はどんな人におすすめ?
防風通聖散は、比較的体力があり食欲旺盛な、おなか周りの脂肪が気になる人に向いています。ダイエットに使われることもありますが、 冷え症だったり胃腸が弱かったりする人には向いていません。
そのほかに防風通聖散はどんな人に向いているのか、具体例を3つご紹介します。
1.便秘がちな人
便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と、『慢性便秘症診療ガイドライン2017』で定められています。
具体的な判断基準は、排便回数が週に3回未満、残便感を感じることが多い、強くいきむ必要があるなどです。
防風通聖散に含まれている「大黄(だいおう)」は、強い瀉下作用をもちますので、便秘がちでおなかの苦しさを感じる人におすすめです。
2.おなか周りの脂肪が気になる人
ヨクイニンはイボ治療でも広く処方されます。ウイルス性のイボである尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)という症状に適しています。
お年寄りによく見られる老人性のイボ、脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)には効果がない点には注意しましょう。
3.高血圧によるむくみやのぼせが気になる人
血圧が高くなると、血管に負荷がかかり血液の巡りが悪くなるため、むくみやのぼせ、肩こり、動悸などの症状につながりやすくなります。
血圧自体を下げるには西洋薬の降圧剤が有効です。しかし、むくみやのぼせなどの高血圧症に伴う症状を緩和するには、漢方薬である防風通聖散が役立ちます。
高血圧症に伴う諸症状があるときには、西洋薬と漢方薬を組み合わせることで、効率的な治療ができるでしょう。
防風通聖散に副作用はある? 安心して服用するには
防風通聖散は「体力がありぽっちゃり体型で便秘がちな人」向けの漢方薬です。漢方薬は、ご自身の体質に合っていないと十分な効果を感じられないどころか、場合によっては副作用が生じることもあります。
たとえば、防風通聖散の副作用として、かゆみや発汗過多、動悸、胃部不快感、下痢、排尿障害などが報告されています。
まれに、間質性肺炎や偽アルドステロン症、ミオパチー、肝機能障害、腸間膜静脈硬化症などの重篤な副作用が起こることもあります。発熱や呼吸困難、手足のしびれ、下痢と便秘を繰り返すなどの異変を感じたときは、早めに医療機関を受診しましょう。
また、漢方薬を選ぶ際には、必ず漢方医学を学んだ医師や薬剤師など、専門家のアドバイスを聞くことが大切です。
「もっと気軽に漢方を使いたい」「ネットで専門家のアドバイスを聞けるサービスはないの?」という人には、医薬品の漢方薬がおすすめ。スマホで気軽に相談できる「あんしん漢方」のような新しいサービスも登場しています。
AI(人工知能)を活用した「オンライン個別相談」サービスでは、漢方のプロが体質に合った漢方を見極めてくれます。漢方薬をお手頃価格で自宅まで郵送してくれるため、手軽で便利です。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0157
体をスッキリさせたいなら防風通聖散がおすすめ
今回は、防風通聖散をご紹介しました。防風通聖散は、体に余分な熱がたまっている場合の、肥満症や便秘、高血圧に伴うむくみや肩こりなど様々な不調の改善に働きかけます。
漢方薬は効果・効能が幅広いのも魅力のひとつです。ただし、効果を実感するためには、漢方の専門家にご自身の体質や症状に合った漢方薬を選んでもらい、正しく服用しましょう。
さて、次回は「つらい鼻詰まりの救世主『辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)』」です。ぜひご覧ください!
<この記事を書いた人>
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