クリスマスを迎える前、そして年が明け春を迎える前の南欧は、観光のピークを過ぎて静けさを取り戻す時期。また他のヨーロッパ諸国とくらべて気候が穏やかなので、美術館や博物館を訪れてゆったりとした時間を楽しむには格好だ。
そこで今回は、ワールド航空サービスの企画担当・乗田憲一さんから、南イタリアとシチリア島を旅するポイントについてご紹介いただこう。
「まず南イタリアは、なだらかな地の多い北イタリアとはまったく個性の異なる地域です。史跡や世界遺産、アマルフィ海岸に代表される青い海の絶景など見どころは豊富です。起伏に富んだ地形であるため、必然的にバス移動が多くなりますが、それもまた旅の楽しみです。
たとえばソレントからアマルフィを訪ねるルートでは、青い海を望む海岸に並ぶ家々に、太陽の光がさんさんと降り注ぐ光景を楽しめます。
一方、イタリアの長靴の先をたどりながら、イタリア半島南西部先端へと向かうルートもオススメです。イタリアの“爪先”にあたる場所にはシッラという美しい村があり、その先の対岸にはメッシーナ海域を挟んで、シチリア島とエトナ山を望むことができます。
私たちは、南イタリアでも特に人気の高い遺跡、絶景、古都、知られざる小さな町や村などを厳選し、「4つの絶景ルート」のドライブを楽しんでいただきながら、11日間の日程でゆったりと回るツアーを提供しています。シチリア島では島在住の日本人ガイドとともに町や市場などを巡ることで、現地在住の語り部ならではの、生活感にあふれたお話を聞くことができますよ」(乗田さん)
そしてもうひとつ南欧で注目したいのがカタルーニャ地方だ。スペイン北部、バルセロナを主部として地中海を望み、ピレネー山脈を挟んでフランスと接する地方であり、独特の言語・文化民族を持つ自治州である。
一帯は古代ギリシャ・ローマ時代から海や陸の交通の要衛として栄え、自由な気風と独特の文化を育んできた。19世紀から20世紀初頭にガウディやダリ、ミロなど、自由奔放で奇抜な感性を持った芸術家が次々と誕生したのも、この地の気候・風土の影響かもしれない。
「私たちのツアーでは、カタルーニャ州そのものに焦点を当てています。バルセロナ、ジローナに連泊しながら、世界を席巻した芸術家ゆかりの町などを訪ね、カタルーニャの魅力を堪能していただける旅を提供しています。」
ジローナは、紀元前1世紀には古代ローマの町として記録され、カトリックの司教座が置かれるなど、この地方の主要都市として歴史を刻んできた町。常に異文化と接触してきたため、華麗な聖堂とともに中世の城壁、イスラム風の浴場など、さまざまな文化の足跡が残っている。
またカタルーニャは、スペインのなかではロマネスクの境界が数多く残る地域でもある。ビック、レスタニーといった小さな町、そしてカタルーニャのロマネスク教会などを巡れば、奥深い歴史を感じることができるだろう。
「そしてもちろん、カタルーニャを代表する芸術家ダリの足跡にも各地で触れることができます。フィゲラスのダリ美術館、ダリが妻のガラにプレゼントしたプボールの古城「ガラの家」など見どころ満載です。
旅の最後に滞在するバルセロナでは、ガウディの『サグラダファミリア』を見つつ、それまでに訪れたカタルーニャの町や村を思い出していただきたいです」(乗田さん)
いかがだろうか? 南イタリアとシチリアにするか、スペインのカタルーニャ地方にするか。冬の南欧を目指す旅人にとっては、贅沢な悩みだ。
【南欧ツアーについてのお問い合わせ】
ワールド航空サービス
http://www.wastours.jp
電話/03-3501-4118(南欧担当直通 )
文/印南敦史
写真提供/ワールド航空サービス