文/晏生莉衣
質問すると自然な言葉を使って文章を作って回答してくれる「ChatGPT」(チャットGPT)。米国のOpenAIというベンチャービジネスが開発した対話型AI(人工知能)です。2022年の無料版公開以降、あっという間に1億人以上のユーザーをワールドワイドに獲得して世界的な注目を集めており、日本でも急速に関心が高まっています。
インターネットでOpenAIのウェブサイトからアカウントを作れば、なにかをダウンロードする必要もなくすぐに使えますので、だれでも気軽に利用を始めることができます。今のところ、ウェブサイトは英語版のみですが、質問を外国語で入力するとその外国語で返答されるようになっていて、日本語で入力すれば日本語の答えが返ってきます。
初心者向けにChatGPTに聞いてみた
「そうは言われてもChatGPTなんて聞いたことも使ったこともない」というAI初心者の読者のために、今回は無料版を使って、ChatGPTを知るための簡単な質問をしてみましょう。
まず、ChatGPT自身にChatGPTについて日本語で質問します。
質問「チャットGPTとはなんですか」
答えは次のようになりました(一部省略)。
「私自身がChatGPTという名前ですが」という出だしの答え方はなかなかお茶目な感じで、「それ」でも「これ」でもなく、「私自身」という主体的な言葉を使って返事をしてくるところが、対話型AIに初めて接する方にとっては新鮮に感じるかもしれません。
「ChatGPTのGPTとはなんの訳だろう?」という疑問に対する答えも、回答中に「GPT(Generative Pre-trained Transformer)」と示されています。ただ、そのあとの説明文はちょっとわかりにくいので、その文章を「小学生に説明してください」と再びたずねると、次のような答えになりました。
次に、「Generative Pre-trained Transformer(GPT)」を一般の人にでもわかりやすく訳して」と聞いて、返ってきたのが以下の回答です。(一部省略)
『「Generative Pre-trained Transformer(GPT)」をわかりやすく訳すと、「生成前処理トランスフォーマー」という意味になります。…(省略)… Transformerは、自然言語処理においてよく使われるモデルの一種で、文章の表現を効率的に学習することができます。生成前処理とは、事前に学習したモデルを利用することで、さらに高度な自然言語処理のタスクを実現することができることを指します。』
初心者にとてもわかりやすい回答というわけではありませんが、わからなければ質問を続けていくということができ、AI側もそのたびに答えを返してくれます。
日本語を理解する仕組み
でも、一体なぜ、英語サイトのChatGPTで日本語の会話ができるのでしょうか。ChatGPTに聞いてみます。
質問「日本語の質問をどうやって理解するのですか」
これもプログラミングにくわしくない人にはわかりにくいかもしれませんが、日本語を処理するアルゴリズムやデータベースを使用しているということですね。
そして、回答からわかったことは、ChatGPTは日本語やその文化的背景に関する理解が不十分な場合もあるという点で、これは、本レッスンでチェックしようとしているChatGPTの異文化理解能力についてのChatGPT自身の自己認識と言えるでしょう。
後編では実際に質問を投げかけて、異文化理解の観点からChatGPTの回答をチェックしてみることにしましょう。
文・晏生莉衣 (あんじょう まりい)
教育学博士。国際協力専門家として世界のあちこちで研究や支援活動に従事。国際教育や異文化理解に関するコンサルタントを行うほか、平和を思索する執筆にも取り組む。近著に日本の国際貢献を考察した『他国防衛ミッション』(大学教育出版)。https://note.com/mariianで発信中。