人間、いくら年齢を重ねても知らないことはたくさんあります。知らないうちに勝手に刷り込まれた自分の中の常識が間違っていて、「あれ、そうだったの?」といまさらながら思うこともあるでしょう。葬儀の作法などは、特にそんなことが多いかもしれません。「いまさら」と思わずに正しい知識を得ておくと、間違った選択をせずに済むことにつながります。ある程度の年齢になりますと、いつ不幸が起こるかわかりません。普段必要としない「葬儀に関する作法・知識」も身につけておきたいところです。
この記事では「納骨」について、京都・滋賀で80年の歴史を持ち年間約6,000件の葬儀を施行する、葬祭専門企業・公益社(https://www.koekisha-kyoto.com)がご紹介いたします。
もしもの時、その日の時に、この記事をお役立てください。
納骨の時期
納骨の時期については、法律上の期限はなく、いつ行っても問題はありません。遺骨を保管している人が自由に決められます。
納骨する日について
納骨は年忌法要のように決まった日はありません。基本的にいつ行っても構いません。しかし一般的に、「四十九日」や「一周忌」などの法要があるときに、納骨式もあわせて行う傾向にあります。これは参列者の方の負担を考えて、一度に済ませてしまおうというものです。また、新たにお墓を建立される場合は、そのスケジュールに合わせて考えなければなりません。一般的に多いのは「四十九日」「百か日」「一周忌」「三回忌」などに合わせて行われます。
納骨するまでの保管について
納骨するまでの間は、自宅で保管することになります。その際に気をつけるべきはカビの発生。湿気の多い所や直射日光のあたる場所は避けましょう。一般的に四十九日法要までは、仏間の後飾り祭壇にて安置しておきます。仏間がない場合や、四十九日法要以降はテーブルに白い布を被せ、日陰で風通しのいい場所にスペースを作り、骨壺を置きましょう。
納骨場所について
納骨先の種類は大きく3つあります。寺院が所有する「寺院墓地」、地方公共団体が経営母体となっている「公営墓地」、葬儀会館などが経営する「民間墓地」が代表的。また、それぞれにお墓のタイプとして「一般墓」「樹木葬」「納骨堂」「永代供養墓」などがあります。先祖代々のお墓がある場合、選択の悩みはないものの、「墓の継承」や「墓じまい」をどうするか、という問題に直面することもあるでしょう。
既存の墓がある場合
既に家代々のお墓があり、そこに納骨する場合は、戒名などを彫刻する費用を検討します。相場は3万円から5万円ほど。ただ、現地にて彫刻するので、車が近くまで入れない、彫刻用の機械が置けないなどの特殊事情がある場合のみ、墓石や墓誌をはずして持ち帰って作業することになります。その場合の費用は大きくかかる可能性もありますので石材店に相談しましょう。
既存の墓がない場合
新たにお墓を建立される場合は、墓石の発注から納骨式までの時間を考えて準備をしてください。半年くらいは見ておいた方がいいかもしれません。
墓石の購入平均費用は、およそ157万円(全優石・「2020年お墓購入アンケート調査」)。その他に墓を建てるための墓地購入費用が別途加算されます。
樹木葬の場合
墓石の代わりに、樹木や花を使って納骨する方法が樹木葬です。遺骨は樹木の根本に埋めます。樹木葬は永代供養となり、代々墓守をする必要がありません。また、種類は様々で、ガーデニングのような形式から、里山のようなものまで千差万別。費用は形態によって幅が広くなります。
納骨堂へ納骨する場合
納骨堂とは、一般的に屋内で遺骨を安置できる施設のことです。都道府県知事の許可を得た施設で、近年広がりを見せています。合葬型あるいは合祀型といわれるものは、骨壺は永代供養塔の中に個別で保管されますが、遺骨は他の人と一緒に埋葬されます。
納骨までの手順
納骨までの手順について、順を追ってご説明します。
納骨に関する手続き
納骨先によって変わるケースがありますが、一般的には下記の順で納骨式を段取りします。
1.納骨先を決める
既存のお墓、あるいは新しく墓を建立するなど、納骨先の場所と形式を確定させて意向を伝えます。この際、親族間で揉めないように、相談して決められた方がいいでしょう。
2.墓地や石材店に注文する
墓石に名前を刻むための注文や、墓石、そして納骨先を伝え注文をします。
3.寺院に納骨式の相談と調整をする
納骨式では僧侶による法要が必要ですので日程の調整などをしましょう。
4.納骨の日程を決める(埋葬許可証の確認)
墓地、会食場所、石材店、そして親族のスケジュールをすべて調整して日程を確定させます。その際、埋葬許可証が手元にあるかを確認しましょう。
5.参列者を決めて連絡する
納骨式にどこまでの人を呼ぶのかを、遺族や親族の間で調整しましょう。決まりましたら日程や場所を連絡しましょう。会食を行う場合はその旨も伝えます。
6.供花や供物などの準備をする
供花は、縁起の悪いとされる花を避けましょう。頭の垂れさがった藤の花や、花が落ちやすい椿などは避けなければなりません。供え物は故人が好きだったもので、お供えの期間が過ぎたら使えるものを選ぶとよいでしょう。
7.香典返し、お食事の準備をする
香典返しの品や、会食について注文しておきましょう。
8.当日を迎える
当日は納骨式を行い、会食をします。
納骨式
納骨式当日の一般的なスケジュールの流れになります。こちらも場所によってスケジュールや内容は変わってきます。
1.喪主、あるいは親族代表が挨拶
2.納骨(石材店、もしくは喪主)を行う
3.僧侶の読経と焼香(墓前の前で)
4.墓前に供物
5.会食(場所によって異なる)
僧侶が会食なさらない場合は、「御膳料」として5,000円から1万円を渡します。
まとめ
納骨は、亡くなられた方の遺骨を納めるだけでなく、お墓そのものをどうするか、という問題も考えなくてはなりません。亡くなられてからどうするかではなく事前に考えておくべき問題です。自分たちのことや、その後に続く世代のことも考え、最適な判断をすることが肝要です。
●取材協力・監修/公益社(https://www.koekisha-kyoto.com)
京都・滋賀で80年に渡り葬儀奉仕の道をひと筋にあゆんでいます。「もしも」のとき安心してお任せいただけるのが公益社です。
●編集/中野敦志(京都メディアライン・https://kyotomedialine.com FB)