少子高齢化・核家族化が進む中で大きな社会問題になっている、一人暮らしの高齢者の「孤独死」。
「一人暮らししている高齢の親が心配……」と不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで終活に関する情報を発信するメディア「終活瓦版(https://syukatsukawaraban.com/)」を展開する株式会社林商会(https://hayashi-grp.com/)では、「離れて住む一人暮らしの親の孤独死に対する意識や対策、親との関わり方」についてアンケート調査を実施しましたのでご紹介いたします。
調査期間:2022年11月9日~2022年11月23日
調査機関:クラウドワークス
調査方法:インターネットでのアンケート調査
調査対象:一人暮らしの高齢の親をもつ20代~60代以上の男女
有効回答人数:200名
80%の人が「一人暮らしの親の孤独死」について考えた経験あり!
「親の孤独死について考えたことがありますか?」という質問に対しては、82%の人が「ある」と回答しています。
高齢者の孤独死が、ニュースなどで取り上げられるケースが増えている昨今。
離れて暮らす家族のもとに顔を出すことが難しかったコロナ禍の影響もあり、一人暮らしの親の孤独死について不安に思う人が増えたのではないでしょうか。
では、一人暮らしの親の孤独死を防ぐために対策を行なっている人は、どのくらいいるのでしょうか?
親の孤独死対策を行なっている人は57%!
「親の孤独死対策を行なっていますか?」という質問に対しては、「行なっている」と回答した人が57%で、全体の6割近くを占める結果になりました。
自分を産み育ててくれた大切な親に、寂しい最期を迎えさせたくない……、そんな思いを抱えながら、みなさん実際にどのような対策を行なっているのでしょうか?
親の孤独死を防ぐために行なっている対策
「親の孤独死対策を行なっている」と回答した人に対する「具体的に取り組んでいることを教えてください」という質問には、「定期的に連絡する」が98票を集め、50票の「定期的に訪問する」、9票の「訪問サービスを利用」が続く結果となりました。
では、それぞれの回答の理由をみてみましょう。
1位:定期的に連絡する
・電話をしますが、ちゃんと出て会話できるなら安心できるから。(60代の母親をもつ30代女性)
・毎日の日課を決め、おはようからLINEをし返信を待ち生存確認をしています。連絡がなかったら近所の人に連絡して確認してもらうようにしてます。(80代の父親をもつ20代女性)
・周りに住んでいる人とコミュニケーションが取れていない為、何かあっても気づいてもらえない可能性が大きいので、自分から直接親へ連絡を取るようにして変化に気づけるようにしている。(70代の父親をもつ30代女性)
・テレビなどで孤独死のニュース、話題、映画等を見たため。これまで親に育ててもらってきたこと、私を産んでくれた親の世代に自分自身がなってみて改めて親への感謝の思いが込み上げ、何かできることはと考えたときに些細なことながら連絡をまめにしようと思うようになった。(70代の父親をもつ30代女性)
タイミングや頻度を決めて、定期的に電話やLINEで親に連絡を取っている人が多く見られました。
高齢の親をもつ人にとって意識せざるを得ないのが、認知症の問題です。定期的に連絡を取っていれば、電話口での話しぶりやLINEの返信などから親のちょっとした変化にも気づきやすく、認知症の兆しもキャッチしやすいでしょう。
また、連絡が取れなかった場合は近所の人にサポートしてもらう人がいる反面、「周りに住んでいる人とコミュニケーションが取れていない」親を心配する人も複数見られました。
このような子世代の心配は、地域社会とのつながりが希薄になっている現代の世相を反映しており、今後ますます深刻化すると考えられます。
2位:定期的に訪問する
・連絡を取るよりも直接あって話をした方が気付けること(生活環境や家の様子等)が多いため。(70代の父親をもつ40代男性)
・母が一人暮らしで、車にも乗れないので日常的な買い物などを届けるためや、家の掃除などで週に2回以上は訪問するようにしている。倒れたりしてないかも不安なので出来るだけ毎日連絡は取るようにしている。(60代の母親をもつ30代女性)
・生存確認のため。実家に車を置いてから仕事にいき、帰りも車をとりに行けば一日に2回は短時間でも気にかけることができるので。親は申し訳なく思ってしまうといけないので、駐車場がわりにきてるだけだから気にするな? と伝えている。(70代の母親をもつ40代女性)
・母からも連絡が来ますが、毎週連絡したり、歩いて行ける距離にスーパーや、かかりつけのクリニックがないので、定期的に実家に行き、病院送迎したり、買い物に連れて行ったりしています。(80代の母親をもつ50代女性)
親の住んでいる家と行き来しやすい場合は、毎日や週1日など定期的に連絡を取りつつ、定期的に訪問する人が多いようです。
「実際に顔を見て話したい」という理由のほか、買い物や通院、掃除などのサポートを理由に挙げる人も多く見られました。
電話やLINEでのやり取りでも生存確認は可能ですが、実際に顔を見て言葉を交わすリアルなコミュニケーションの安心感は、やはり絶大です。
3位:訪問サービスを利用
・小規模多機能型居宅介護のサービスを利用しています。主に通所介護と、自宅まで来て様子を見てくれる通いのサービスを利用しています。そちらの施設とも定期的に連絡をとっています。(80代の父親をもつ40代男性)
・定期的に連絡する事でお互いに安心出来ますし訪問サービスを利用したりスマホのアプリを使い何かあった時にすぐ対応出来る様に対策を行っています。(80代の母親をもつ50代女性)
・訪問サービスを使用することで生存確認をすることができる。(80代の母親をもつ50代女性)
・訪問サービスの利用は、自分が近くに住んでいないから。(70代の父親をもつ40代女性)
80代の親をもつ人にとって、介護福祉のプロによる訪問サービスは命綱です。
親を心配する気持ちがあっても、自身の生活もあり、親との距離も離れている……そんな子世代のジレンマを受け止めてくれる訪問サービスのスタッフは、大切な親を見守ってくれる第2の家族とも呼べる存在なのでしょう。
上記のほか、スマホの見守りアプリや民間企業の見守りサービスを利用して、万が一の事態にもすぐ対応可能な対策を取っている人が複数みられました。
それぞれ取っている対策は違えど、「大切な親を守りたい」という思いとともに「できる限りのことはしてあげたい」という決意のようなものを感じます。
「孝行したいときに親は無し」そんなことわざのような思いはしたくない……。
親がいる間にできるだけの手を尽くせば、親がいなくなっても前を向いて過ごしていけるのではないか……そんな子世代の心の声が聴こえてくるようです。
また今回のアンケートでは、一人暮らしの親との距離感についてもお聞きしたので、ご紹介します。
離れて住む一人暮らしの親に会うための時間
「親と会うための移動時間(片道)を教えてください」という質問に対しては、「1時間」が53票を集め、42票の「2時間」、32票の「30分」、22票の「5時間」、18票の「3時間」が続く結果となりました。
上位の回答は、親に何かあっても「すぐ」駆けつけられるとは言い難い距離です。
では、親にはどのくらいの頻度で連絡を取っているのでしょうか?
親との連絡頻度
「親との連絡頻度を教えてください」という質問に対しては、「1週間に1回」が42票を集め、38票の「2~3日に1回」、30票の「1か月に1回」、29票の「毎日」、22票の「2週間に1回」が続く結果となりました。
全体の半数以上の人が、1週間に1回以上の頻度で一人暮らしの親に連絡を取っているようです。
先述の通り、親の孤独死を防ぐ対策として、多くの人が定期的に親に連絡を取ったり訪問したりしています。
しかし、万全を尽くしているつもりでも、いつ何が起こるかわからないのが人の命。親の身に何か起こっても、すぐに駆けつけられない人もいるでしょう。
何かあってから後悔しないために……孤独死に対する認識を深めたり親と終活について相談したりすることが、必要なのではないでしょうか。