「あれ? なんて漢字だったっけ」と悩むことが多くなっていませんか? 少しだけ思い出す努力をしてみるものの、結局は「まあ、いいか」と諦めることもあったりして、記憶の衰えを実感することもあるのではないでしょうか? しかし、思い出すことが記憶力の鍛錬につながると言われています。
「脳トレ漢字」第136回は、「界隈」をご紹介します。ネットの記事や雑誌などでよく見かけるという方も多いでしょう。実際に読んで書いてみるなどして、漢字への造詣を深めてみてください。
「界隈」は何とよむ?
まず、「界隈」の読み方をご存知でしょうか? 「かいすみ」ではなく……
正解は……
「かいわい」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「そのあたり一帯・付近」と説明されています。その地域や近くの場所のことを意味する「界隈」。最近では、インターネット用語として使われることもありますが、こちらは一般的な「界隈」の意味ではなく、特定のジャンルなどを指して使われています。
「界隈」は、「そのあたり一帯」という意味を持つため、例えば「新宿界隈」と言うと、新宿一帯という意味になるのです。一方で、「その近辺」という狭い範囲を指す言葉でもあるため、「日本界隈」という使い方はしません。
「界隈」の漢字の由来とは?
では、「界隈」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「界」は「さかい」を、「隈」は「すみ・くま」を意味します。「境界」や「区域」という意味を持つ「界」と、「かたすみ」や「暗がり」という意味を持つ「隈」が合わさった結果、「そのあたり一帯・付近」という「界隈」の意味が出来上がったと考えられます。
「界隈」と「周辺」の違いは?
「界隈」と似た意味を持つ言葉として、「周辺」が挙げられます。「界隈」と「周辺」には、何か違いがあるのでしょうか?
「周辺」とは、「あるもののまわり、あるものの付近」という意味です。決定的な違いは分かりづらいですが、「界隈」はある特定の地域「全体」を指すのに対し、「周辺」は特定の地域の「まわり」に焦点を当てていると言えるでしょう。
例えば、「新宿界隈」と言うと、「新宿全体」という意味になりますが、「新宿周辺」と言うと、「新宿のまわりの地域や建物」という意味になるのです。また、「職場周辺」という使い方はしますが、「職場界隈」とは言わないですよね。
このように、「周辺」は特定の建物のまわりという意味としても使われますが、「界隈」は地域以外のものを指す言葉として使われることはあまりないと言えるでしょう。
***
いかがでしたか? 今回の「界隈」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? それぞれの漢字の意味や、似たような意味を持つ言葉との違いを理解して、正しい使い方ができるように心がけましょう。
文/とよだまほ(京都メディアライン)