最近の為替相場は円安傾向が続き、多くのメディアでも円安の影響について連日のように報じられています。そのため、為替や外貨について興味を持つ方も増えているのではないでしょうか。外貨建て個人年金保険は、為替の影響を大きく受けますので、加入を検討していてもどのように選んだらよいか迷われるかもしれません。
今回は、外貨建て個人年金保険に加入する際の「チェックしておきたいポイント」について見ていきましょう。100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。
目次
外貨建て個人年金保険をやってはいけないと言われる理由
加入する前にチェックしておきたいポイント
外貨建て個人年金保険が向いている人・向いていない人
まとめ
外貨建て個人年金保険をやってはいけないと言われる理由
外貨建て個人年金を解約した人の声として、「外貨建て個人年金保険は危ない」「加入してはいけない」といった意見が多く見られますが、それは何故でしょうか? 理由としては、個人年金保険の内容や為替リスクや諸費用について、「理解できていないうちに契約してしまった」ということが考えられます。
・為替の変動によって元本割れする可能性がある。
・思っていたより手数料がかかり、期待したほどのリターンを得られない。
などを契約した後に知ってしまったら、解約したくなるのも無理はありません。
外貨建て個人年金保険は、円建て個人年金保険と比べて高い利回りの商品を選ぶことが出来るというメリットがあります。しかし、為替の変動リスクや諸費用などの、いわゆる「デメリット」についても、十分に理解したうえで加入する必要があるでしょう。
特に、為替の変動リスクについては基本的な考え方を理解しておく必要があります。外貨建て個人年金保険は、保険料の支払いや年金・解約返戻金の受け取りを外貨で行いますので、保険会社は日本円を外貨に、あるいは外貨を日本円に交換します。
保険料の支払時
保険料が、月額100ドルの場合。
1ドル=100円であれば、月10,000円
1ドル=135円であれば、月13,500円
円高になれば、支払う保険料の負担は小さくなりますが、円安になると保険料の負担が大きくなります。
年金の受け取り時
年金額が、月額1,000ドルの場合。
1ドル=100円であれば、月額100,000円
1ドル=135円であれば、月額135,000円
円安になると、受け取る年金額が大きくなりますが、円高になると受け取る年金額が小さくなります。円高が進んだ場合は、たとえ高い利回りを得られたとしてもそれはあくまでも外貨ベースでの話。受け取り時の為替レートにより、円に換算した場合には元本割れする可能性もあるのです。
このように為替は、外貨建て個人年金保険に直接影響するものであることを理解しておきましょう。
加入する前にチェックしておきたいポイント
外貨建て個人年金保険に加入する前に、チェックしておきたいこととしては、主に以下のようなポイントがあげられます。
1.最低保証の積立利率
2.諸費用
3.為替相場
チェックをする際には、円建てよりも利回りが高いという外貨建てのメリットを生かすために、変動する為替リスクについてどのような視点で見ていくかが重要となります。
損益分岐点を見極める
「損益分岐点」とは、利益を得られるか元本割れして損失を生じるかの境目のこと。わかりやすく説明するために、通貨交換手数料などの諸費用は考慮せずに単純計算した例を見てみましょう。
<前提となる条件>
・契約時の為替レートが1ドル=120円
・積立利率の最低保証が、1.5%のドル建て個人年金保険
・10,000ドル(=120万円)を一時払いして、10年後に一時金として受け取る
積立利率が契約期間内で1.5%を上回ることがなかった場合は、年利1.5%で複利運用します。つまり、10年後に一時金で受け取る金額は11,605.40ドルになります。
円に換算すると、
・受け取り時の為替レートが、契約時と同じ1ドル=120円だった場合
→139万2,648円
・円高が進んで1ドル=100円になっている場合
→116万540円
1ドル100円のケースでは、契約時の120万円を下回るため元本割れになってしまいます。120万円を下回らないように受け取るには、1ドル=103.4円より円安であることが条件となります。つまり1ドル=103.4円が「損益分岐点」ということになりますね。
実際には諸費用がかかることや、受け取り方・受け取り期間などで損益分岐点の計算は複雑になります。自分で損益分岐点を見極めることが難しい場合は、ファイナンシャルプランナーに相談してみると良いでしょう。
外貨建て個人年金保険が向いている人・向いていない人
外貨建て個人年金保険への加入は、どのような人に向いているのか・向いていないのかについて見ていきましょう。
<向いている人>
・効率的に資金を準備したい人
円建て個人年金保険よりも高い利回りの商品が多いので、より効率的に資金を準備することが出来る可能性があります。
・資産を円以外の通貨に分散投資したい人
通貨を円以外に分散することで、為替の変動リスクをコントロールすることが出来ます。
・海外留学や移住などの予定がある人
海外留学や移住などの予定に合わせて加入することで、留学先や移住先の通貨で資産を増やし、現地の通貨で受け取り使用することが出来ます。
<向いていない人>
・為替リスクについて理解できていない人
外貨建て個人年金保険は、外貨を取り扱うため、常に為替リスクの影響を受けます。為替リスクについて理解ができていないという人には向いていないでしょう。
・決まった必要額を準備したい人
急激な円高が進んだ場合、払込保険料総額より受け取り金額の方が少ない「元本割れ」となる可能性もあります。決まった目的のために必要な金額を準備したい人には向いていないと言えます。
・長期間の加入が難しい人
個人年金保険は、支払った保険料を一定期間で運用して将来の年金原資にするため、長期間で加入することが前提の仕組みとなっています。そのため短期間で解約してしまうと、解約返戻金が払込保険料より少なくなる可能性が高くなります。長期間の加入が難しい人も向いていないと言えるでしょう。
まとめ
外貨建て個人年金保険は、円建て個人年金保険と比べて高い利回りの商品を選ぶことが出来るため、資金準備には大きなメリットに感じられます。しかしその一方で、デメリットも十分に理解した上で加入することが重要です。
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さまざまな金融商品が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。保険や金融商品を「販売しない」独立系のFPは、中立的かつ客観的な立場から相談に乗り、あなたのライフプランに合った正しい選択肢を示してくれます。
●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)
株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
問い合わせ先:03-6403-5390(株式会社SMILELIFE project)
株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com)
●編集/京都メディアライン(HP:https://kyotomedialine.com FB)