歳をとるというのは厄介なものですよね。周りからは、年相応に物知りなどと思われたりして……。うっかり漢字の読み方なんか間違えたりしますと、とっても恥ずかしい思いをするなんてこともあるかもしれません。
脳の方は、若い時のようにパッパと記憶中枢からひっぱり出せなくなってきているかもしれませんが、「歳をとってきちゃって、なかなか思い出せなくて……」なんて言い訳をするようでは、サライ世代の沽券に関わる?
そんなことにならないように、動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。
「脳トレ漢字」第113回は、「手繰る」をご紹介します。「記憶を手繰る」などの言い回しを耳にしたことがあるのではないでしょうか。
この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
「手繰る」はなんと読む?
「手繰る」という漢字、読み方に心当たりはありますか? 「てさぐる」でも「てあやつる」でもなく……
正解は……
「たぐる」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「両手で代わる代わる引いて手元へ引き寄せる」、または「物事をそれからそれへと引き出す。一つ一つもとへたどる」と説明されています。「糸を手繰る」のように実際に両手を動かす動作に加えて、「記憶を手繰る」のように頭の中の動きを表すときにも使いますね。
「手繰る」と「寄せる」を組み合わせた「手繰り寄せる」という言い方も一般的です。「寄せる」は「ものを近くに移動させる」という意味なので、こちらの方が「たぐる」の意味が強調されています。
また、「手繰る」は「手探る(てさぐる)」と混同されやすいです。「手探る」は「見えない所にあるものを手先の感覚で探り求めること」を意味します。はっきり分からないまま物事を進めるときに用いられる点が「手繰る」との意味の違いといえるでしょう。
「手繰る」の漢字の由来とは?
「手繰る」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「手」は「てのひら」、「繰」は「順々に」という意味です。よって「手繰る」は「両手で順々に手元に引き寄せること」を表します。
「手」を「た」と読み、動詞の上につく場合は、手に関する動作であることを強調する効果があります。他にも「手向(たむ)ける」「手折(たお)る」「手綱(たづな)」などが「手」を「た」と読む言葉です。
「手」の難読漢字「手水」「御手洗」とは?
「手」には「た」以外にも読み方があります。「手水」と「御手洗」、それぞれの読み方に心当たりはありますか?
正解は「ちょうず」「みたらし」です。「手水(ちょうず)」は「てみづ」の音便化した読み方で、「てみづ→てうづ→ちょうず」と発音が変化したとされます。元の形である「てみず」と読んでいる神社もあるようです。
「御手洗(みたらし)」は「おてあらい、手洗い」の丁寧表現であり、「便所」の婉曲表現です。「みたらし」以外にも「おてあらい」「みたらい」とも読みます。
同じ「手」でもこれだけたくさんの読み方があります。一つの読み方にとらわれすぎず、柔軟に知識を吸収していくことが大切です。
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いかがでしたか? 今回の「手繰る」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 記事を通して、定期的に難読漢字の記憶を「手繰って」いきましょう。
来週もお楽しみに。
文/トヨダリコ(京都メディアライン)
アニメーション/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
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