最近、パソコンやスマートフォンの普及により、自ら字を書く機会はめっきり減少してきました。その影響からか、「読めるけれども、いざ書こうとすると書けない漢字」が増えていませんか? 以前はすらすらと書けていたのに、と書く力が衰えたと実感することもあります。
動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
「脳トレ漢字」第110回は「酢橘」をご紹介します。生産量の9割を一つの県が占めており、8月中旬~9月下旬にかけて旬をむかえる果物です。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
「酢橘」はなんと読む?
「酢橘」という漢字、読み方に心当たりはありますか? 四国のある県の名産品です……
正解は……
「すだち」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「ミカン科の常緑低木で、果肉は酸味が強く、香気がある」と説明されています。徳島県の特産として有名な酢橘は、ユズに似ていて、果実は小さく球形です。
実を食べるのではなく、皮の香りや果汁の酸味を楽しむ「酢橘」やカボスのような柑橘類は「香酸柑橘類」と呼ばれます。独特の香りから、料理の香味料として使われ、焼き魚や松茸、鶏肉など、焼き物に絞るのが人気です。熟す前の青いうちに収穫することで、風味が強く爽やかで清々しい風味が楽しめます。
「酢橘」の漢字の由来とは?
なぜ「すだち」は「酢橘」という漢字を使うのでしょうか? これは「酢橘」の語源に由来します。
「すだち」という名前は、すだちの果汁を食酢として使っていたことから、「酢橘(すだちばな)」と呼ばれたことに由来しています。「橘」とは「生食された柑橘類の総称」のこと。「すだちばな」が省略されて「酢橘(すだち)」になったと考えられています。
「酢橘」という漢字は、この名前に由来していたのです。
「酢橘」は徳島原産の果物
「『酢橘』といえば徳島県」というイメージがありますが、それもそのはず、「酢橘」は徳島県に原生していた果物なのです。原産地である徳島県では、江戸時代に食用の果実として栽培。戦後、1960年代に商業生産が本格化し、1980年代にはみかんの転換作物として生産が拡大したことで、県を代表する特産物となりました。
こうした歴史的背景から、徳島県が「酢橘」の生産量の約98%を占めるようになったのです。
***
いかがでしたか? 今回の「酢橘」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? すがすがしい香りと爽やかな酸味で、あらゆる食材を引き立てる「酢橘」。旬の味わいが、まだまだ続く暑さを乗り切るお手伝いをしてくれるのではないでしょうか。
来週もお楽しみに。
文/トヨダリコ(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB